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ポケットにしまう有限の涙と無限の栄光。

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「何? 何がついてる?」松尾美佑は、口元をちびっと舐める。
「肉の汁、みたいの」佐藤璃果は、己で言って己を笑った。「汁って……」
「取れましたっすよ、ミュウちゃん」天野川雅樂はそう言って、また焼肉にかぶりついた。
「天野川君、七夕で何お願いしたに? したにとか言っちゃった、んふふ。したの?」松尾美佑は色々と喋った。
「自分はー、お恥ずかしいんですが……、乃木坂の更なる飛躍と、秋元先生と今野さんのご健康を、お祈りさせて頂きました」
「すっげー、すっげえとか言っちゃったすっごぉい、真面目」佐藤璃果はうっすらと笑みを浮かべた。
「嘘じゃないでござる!」
「嘘だね!」
 姫野あたると矢久保美緒は、何やら言い争いを始めていた。それを田村真佑は笑いながら見守っている。
「小生、乃木メで送られてくる写真の中で、矢久保ちゃんの写真がいっちばんテンション高く上がるでござるよ!」
「うっそーだーね」
「本当でござる! 何ゆえ信じてくれなんだ、矢久保きゅん!」姫野あたるは、大袈裟なボディランゲージで訴える。「小生は今大切な秘密を特別に思い切って暴露してるでござる! 嘘は皆無でござるよ! なんなら、夕殿はZeebraさんは大好きでござるが、エミネムは嫌いでござる! これもまた真実でござる!」
「ヱミね、何?」矢久保美緒はきき返す。
「ままそれはいいんでござるが、小生は矢久保ちゃんの写真に上がるでござるよ! 信じるでござる!」
「しーんじな~~い」矢久保美緒は、ぷいっと余所を向いた。
「ねえダーリン?」田村真佑が言う。
「ぬ?」
「私は?」田村真佑は、舞い降りた天使のように、可愛らしく上目遣いで小首を傾げてみせた。声色も少しだけ上げて言う。「私じゃダメ? 私じゃ上がらない?」
「上がるでござぁる!」姫野あたるは、満面の笑みで言った。
「ほらあ~」矢久保美緒は座視で二人を見つめた。
「まゆたーん、何食べてるの~?」
 筒井あやめは、田村真佑が胸の前に持っている焼肉の載った紙皿を覗き込んで言う。
「あ、じゃあ何が美味しぃ?」
「えーあーねえ」田村真佑は、新しく笑みを浮かべて答える。「一番美味しかったのはぁ、タン。でえ~、次に美味しかったのがぁ、ハラミ。でえぇ、その次がぁ、豚トロ!」
「ねえ~、あやめちゃーん。チーズスティック買いに行こう~?」
 清宮レイは、甘えた態度で筒井あやめに言った。
「ダメー。今からタンと、ハラミと、えと、何だっけ?」
「豚トロね」
「豚トロ食べるんだから」筒井あやめは、清宮レイに微笑んだ。
「え~……」清宮レイは顔を曇らせる。そして瞬間的に微笑んだ。「じゃいいや、レイも焼肉食べよっと」
「あー、スヌープとドクター・ドレーのやつだね、これ」
 来栖栗鼠は、夕焼けの会場を高く見上げてにこやかに囁いた。会場にはDr.ドレーft.スヌープ・ドッグの『ネクスト・エピソード』が流れていた。
「あやめちゃん、好きなだけ焼肉食べようよねー」来栖栗鼠はそう微笑んでから、清宮レイにチーズスティックを差し出した。「はーいレイちゃーん。向こうから取ってきたよー」
「あ~~チーズスティック~~! ビッグ・ラァ~ブ!」清宮レイは大喜びで来栖栗鼠からチーズスティックを受け取った。「作りたて~! あはあ~!」
「レイちゃんからビッグラブ貰っちゃったー」
 来栖栗鼠は、辺りをきょろきょろとしながら、天野川雅樂に今の出来事を自慢しに向かった。
「林、何食べてんの?」
 掛橋沙耶香は、笑顔で林瑠奈に言った。
「え。何食べてんの、て……。食べるなって言ってんの?」林瑠奈は、ほぼ真顔で掛橋沙耶香を見つめる。
「違うから」掛橋沙耶香は笑う。「どこの部位食べてんの、てきいてんの~」
「うっそ。カルビ」林瑠奈は微笑む。
「つかぬ事をおききしますが、拙者のお肉はどこにいったでござるか!」
 弓木奈於は、林瑠奈と掛橋沙耶香の間に割って入った。
「どぉお? ダーリンかと思ったぁ?」弓木奈於ははしゃいで言う。「びっくりした? あびっくりしてる、その顔は」
「いやびっくりはしたけど」林瑠奈は言った。
「えダーリンってさぁ、せっしゃじゃなくて、しょうせい、じゃない?」掛橋沙耶香は、そう言って焼肉をちびりとかじった。「え絶対そうだよ、しょうせいだよ、ダーリンは」
「そうだっけ?」弓木奈於はきょとん、と林瑠奈を見つめる。「そうなの?」
「うん、たぶん」
「てかなおのお弁当知んない? あお弁当じゃないや、お肉」弓木奈於は屋台の台の上を眼で探す。「あ~あったあ~」
「ママの焼肉より美味しい!」金川紗耶は大喜びで言った。「んヤバっ、柔らかっ、ヤバぁ~、柔らか~い」
「え、ママの焼肉って、スーパーで買って来たお肉じゃない? 普通」柴田柚菜は、可愛らしい顔つきで金川紗耶を一瞥した。「そりゃ普通にこっちの方が美味しいでしょ」
「ちっがうの、うちのママの料理知らないからだよ」金川紗耶は眼を見開いて言う。「ちょ~う美味しいんだって、マジで。ママの料理。今度食べに来な、一度」
「焼肉って、料理なの?」柴田柚菜は笑みを浮かべる。「料理じゃなくない? ま別にいいけど。どっちでも」
「美味しければいいよねぇ!」
「うん。美味しい……。うちのママもお料理上手なの」柴田柚菜はそう言いながら、通りすがった遠藤さくらに微笑む。「さく、食べないと」
「あ、うん。今から食べる。んふ」
「あーとね、さくちゃんお肉頼む時、A5ランクでお願いしてみな」金川紗耶は一所懸命に遠藤さくらに説明した。「全っ然、違うからっ。んもううちのママのより美味しいの!」
「だから、焼肉ってママの料理じゃないでしょ」柴田柚菜は小さく笑った。
「うんわかったー」
 遠藤さくらは笑顔で、そして一所懸命な眼差しで、店主にA5ランクの焼肉を何種類か注文した。
「……」
 遠藤さくらは、しばしの間、焼肉を鉄板の上で豪快に焼き始めた店主のテクニックを見ていたが、視線を動かして、黙って焼肉が仕上がるのを待つことにする。
 夕焼けの射した広大なお祭り広場に、R&Bサウンドのシロの『キャン・ウィ・トーク』がかかる。大太鼓の木霊は巧みにサウンド・トラックのドラム音に合わせて叩かれていた。
「さくちゃん」
「あ、くろみ~ん」
 遠藤さくらの前に、屈託のない笑顔を浮かべた黒見明香が現れた。彼女も焼肉の載せられた紙皿を大事そうに手に持っている。
「たむろってんなー……」
「あ、飛鳥さん」遠藤さくらはにこっと笑った。
「飛鳥さん」黒見明香もにこり、と笑みを浮かべる。
 齋藤飛鳥と風秋夕は、焼肉屋台の前にてその脚を止めた。
「食べてますかー?」
「あ、今、頼みました」遠藤さくらは笑顔でたどたどしく答えた。「頼まれるんですか?」
「うん……、頼まれます」齋藤飛鳥はぽけっと頷いた。
「あ、飛鳥さん、A5ランクで頼んだ方が絶対お得ですよ!」金川紗耶が言った。
「A5なんてあんの!」齋藤飛鳥は整った大きな瞳を見開く。「あんったら、そんなもん食ってんのー……。ぜぇえーたくな……」
「A5なんてあるんだ?」風秋夕は微笑んだ。「へー。奮発したなー、イナッチめ」
「はいよ」
「あ、ありがとーございます」