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僕はきっと、この日を忘れない。

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 『でこぴん』が始まる。賀喜遥香、秋元真夏、遠藤さくら、齋藤飛鳥、山下美月、この最強の五人で披露される。齋藤飛鳥が黄色、遠藤さくらがピンク、秋元真夏が紫、賀喜遥香が水色、山下美月が朱色、それぞれがでこぴん色のロングコートを楽曲中に脱ぎ捨てる演出もあった。
 『他の星から』が始まる。佐藤楓、久保史緒里、筒井あやめ、岩本蓮加、清宮レイ、早川聖来、田村真佑の七人で歌う『他の星から』。

「他の星からっ! これってガチの名曲な!」風秋夕は笑顔で叫んだ。
「例えようのない良さがある」稲見瓶は激しくペンライトを振る。
「衣装も好きなんです!」駅前木葉は興奮して叫んだ。
「あーケツふった! こーのケツふんのがいいんだよなー!」磯野波平は大興奮して曲調に合わせてジャンプする。
「この曲を、いつかは玲香さんやなぁちゃんが歌って踊ってたんだなぁ……」天野川雅樂はしみじみと囁いた。
「はあああこのっ、身体中が弾け飛ぶような快感っ!」姫野あたるは感じている。
「ダンスも歌詞も可愛すぎるよね~。僕も踊りたいな~」来栖栗鼠はペンライトを振りながらへへらと笑った。
「ベストテンに入りますわ! いやファイブかもですわね!」御輿咲希は巨大スクリーンに興奮した眼差しを叩きつける。
「前奏でもう会場がざわつくのよね~」宮間兎亜は無邪気に笑った。
「………」比鐘蒼空はごくりと唾を呑んだ。

 2013年の乃木坂46のVTRが流れる。久保史緒里が乃木坂46についてインタビューされている。七枚目シングルセンターに選ばれた堀未央奈が映し出される。
 山崎怜奈と鈴木絢音のWセンターで『バレッタ』が歌われる。
 齋藤飛鳥のセンターで『君の名は希望』がしっとりと始まる。そのメロディと歌詞は今を走り、未来の乃木坂46へと届くだろう。
 齋藤飛鳥の会場へのメッセージから『ロマンティックいか焼き』が始まる。日産スタジアムの会場全体に広がりを見せる乃木坂46。所々で、空気砲を構えたメンバー達がプレゼントを会場のオーディエンスへと撃ち込んでいた。
 山下美月の『日産スタジアム~、いっくぞ~!』という掛け声と共に、山下美月センターの『ガールズルール』が始まった。『今日はこんなに素敵な景色を観れて、本当に幸せでーす! 皆さんの事が、大大大好きでーす!』と賀喜遥香が声を高らかに上げた。

「美月ちゃーん待ってましたーっ!」風秋夕はペンライトを高らかに上げ、大はしゃぎする。
「笑顔の魔法を使う美月ちゃんはまさしく最強だ」稲見瓶は笑みを噛みしめて、ペンライトを大きく振った。
「この曲が初期楽曲というのが信じられないでござる!」姫野あたるは眼に入った汗を気にもせずに一所懸命にペンライトを振る。
「可愛すぎます美月ちゃんさんっ!」駅前木葉は身体中で微笑んだ。
「ああ抜けに写る飛鳥ちゃんが可愛すぎるわ~!」宮間兎亜はどうしようもなくはにかんだ。
「美月ちゃん、美しいわっ! 美月ちゃーーん!」御輿咲希は叫んだ。
「ヤベえだろーこの興奮っ!」磯野波平はそう言ってから、合いの手を叫ぶ。
「今日ちょっと歓声が聞こえんな。ふふ、たえらんねえか、まあ」天野川雅樂は笑った。
「もっと好きんなっちゃうよー美月ちゃ~ん!」来栖栗鼠は困った顔で微笑んだ。その眼は山下美月を見つめている。
「………」比鐘蒼空はペンライトを振る。呼吸を荒くしていた。

 2014年の乃木坂46がVTRに映し出される。当時活動を休止した生田絵梨花のスピーチが流れた。アンダーライブが開始されたのもこの年だった。決して最初からアンダーライブに活気があったわけではない、しかし、熱く想いを伝えるアンダーメンバーの存在はその頃から輝きを放っていた。
 西野七瀬がその存在感を強めていったのもこの年からであった。かつて彼女が務めたこのセンター曲は、刻々と過ぎる時の流れの中で、今でも燦然と輝き、受け継がれている。
 齋藤飛鳥のセンターで『気づいたら片思い』が歌われる。
 賀喜遥香センターの『夏のフリー&イージー』が始まった。バックスクリーンには西野七瀬率いる乃木坂46が映し出されている。トロッコも発車して、メンバー達はその笑顔を会場中いっぱいに振り撒いた。賀喜遥香の熱い煽りが会場中の燃える魂を一つにした。
 久保史緒里のセンターで送る『何度目の青空か?』が重みのある旋律と共に始まる。いつか生田絵梨花がセンターを務めていたこの名曲を、久保史緒里はしっかりと、その魅力を消さずに受け継いでいた。
 まさかの事が起こった。

「嘘だろっ! おいマジかっ!」風秋夕は驚きを隠せずに叫んだ。
「まりっか!」磯野波平は叫んだ。
「まりっかでござるぅ!」姫野あたるは仰天する。
「まりっかさんよっ!」駅前木葉も叫んだ。
「まりっか……」稲見瓶は驚愕する。
「今日、ほんっと、ヤバいわね~……」宮間兎亜はにんまりと微笑んだ。
「おい、まりっかって、あれ本物か来栖!」天野川雅樂は浮かれている。
「ほ~んものだよ雅樂さぁん! ほらまりっかだよ~っ!」来栖栗鼠も大興奮していた。
「鳥肌が、止まらない日なのね……」御輿咲希は微笑んで、呟いた。
「………」言葉を失った比鐘蒼空の眼に、涙が浮かんだ。

 卒業生である伊藤万理華がセンターとして、『ここにいる理由』を歌い始めたのだ。会場中がこれに湧いた。
 2015年の2月22日。研究生であった二期生全員の正規メンバーへの昇格当時のVTRが流される。紅白歌合戦の出場決定に、笑みをこぼさずにはいられないメンバー達。初ドキュメンタリー映画、悲しみの忘れ方、初 主演ドラマ、初森ベマーズ。乃木坂46の歴史が映し出されていく。
 遠藤さくらセンターの『命は美しい』がCGグラフィックと同化した静かなる華麗な演出で開始された。
 岩本蓮加のセンターで『僕がいる場所』が歌われる。紫のロングドレスであった。メンバー達は一糸乱れぬダンスを魅せる。
 久保史緒里と山下美月のWセンターで送る楽曲は『今、話したい誰かがいる』である。
 筒井あやめセンターの『太陽ノック』が軽快なサウンドで始まる。久保史緒里の気持ちよい解説によって、会場中がペンライトで染まる。まずはピンク色に。続いて赤に。続いて、水色に。
 ピアノの気高く悲し気な演奏から『悲しみの忘れ方』が始まる。紫一色に染まる会場。

「悲しみの忘れ方、でござるか……。いささか、小生には深すぎるでござる……」姫野あたるは号泣する。
「いい曲だよな、ダーリン。な? ダーリン?」風秋夕は姫野あたるの方を覗き込む。
「泣いてるよ」稲見瓶が代わりに答えた。
「しょうせい、ここまで頑張れたのは、全部、乃木坂と、波平殿のおかげでござる!」磯野波平は涙声でそう叫ぶと、下品に笑った。
「乃木坂だって、泣くのですわよね」御輿咲希は呟いた。
「人間だもの……」宮間兎亜はハスキーな声でまったりと言った。
「いーい歌だわ……本当に」駅前木葉はうるっとくる。
「雅樂さぁん、泣くの早くなぁい?」来栖栗鼠は不思議そうに天野川雅樂の顔を覗き込んで言った。
「うるせえ、来栖。普通泣くだろ……」天野川雅樂は声を殺して、感動に浸った。
「………」比鐘蒼空はその映像と音楽を脳裏に焼き付ける。