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僕はきっと、この日を忘れない。

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 皆さんありがとうございました――。

 『笑顔の日も、涙の日も、勇気を下さってありがとうございます。――これからも、乃木坂46の応援をよろしくお願いします。本日は本当に、』

 ありがとうございました――。

 手を振るメンバー達は、大歓声響く中、ゆっくりと、この日の十周年の幕に消えていった。

       9

 二千二十二年五月十五日――。
 影ナレは、今野義雄氏であった。

「皆さん、楽しむ準備は出来ていますか? 最高に楽しんで、今日一日、お過ごし下さい」

 VTRが始まる。歴代の乃木坂46の姿が映し出されていく。様々な活動があった。様々なシーンがあった。大きな拍手と共に、オーバーチャーがかかる――。
 歓声が上がった。
 五期生の井上和が最初にステージ上に上がり、挨拶をした。次に、四期生の遠藤さくらが。続いて、三期生の梅澤美波が。続いて、二期生の鈴木絢音が。そして、一期生の和田まあやが、樋口日奈が。齋藤飛鳥が。秋元真夏が、挨拶をした。
 『インフルエンサー』が爆発と共に始まった――。齋藤飛鳥と山下美月のWセンターであった。
 『逃げ水』が与田祐希と岩本蓮加のWセンターで歌われる。このパフォーマンスでは、かつての大園桃子のポジションを岩本蓮加が勤め上げた。紫色のロングドレスであった。
 『いつかできるから今日できる』が始まる。バックスクリーンに十周年のメンバー達の手書きのメッセージが映し出されている。
 山下美月の煽りから『スカイダイビング』が始まる。会場中を手を振り駆け回る乃木坂46。曲中の山下美月の煽りが熱い。
 『三番目の風』が三期生によって歌われる。センターは与田祐希であった。広い広い広大な会場を駆け回る。曲中に与田祐希が大園桃子の『桃ポーズ』を決めた。

「与田ちゃん復活、てか!」風秋夕は大はしゃぎで叫んだ。「バンザーイ!」
「バンザイ。本当に良かった。これでもう言う事ないね」稲見瓶は笑顔を浮かべた。
「俺の魂は乃木坂と共にあるからなーー!」磯野波平は、まだライブは序盤であるが、号泣していた。「魂だろうがーー!」
「いやいやいや、雅樂さん観てるぅ? 昨日も凄かったけど、今回もすんっごいねー!」来栖栗鼠は興奮して、微笑む。「雅樂さん?」
「ちと、黙ってろ。しゃべると泣いちまう……」天野川雅樂は感動の渦の中にいた。
「小生は、こんな時間の為になら、地獄の連続勤務、真夏のアスファルトの上で重ね着汗だく我慢勤務を、耐え抜けるでござるううぅ!」姫野あたるは手に汗を握って叫んだ。
「ちょっと興奮しすぎておしっこ漏らしちゃいそうよ」宮間兎亜は御輿咲希ににんまりと笑みを浮かべた。「どんな感じ?」
「ええ、ええ、感動の最中ですわ!」御輿咲希は眼を輝かせて言う。「ちょっと興奮して卒倒しないように気を付けましょうね、とーちゃん。駅前さん」
「はい。気を付けないと、卒倒しそうです、本当に」駅前木葉は笑みを浮かべた。
「……」比鐘蒼空は黙って乃木坂46を見つめていた。

 2017年、2018年の乃木坂46のVTRが流れる。その年二年連続でレコード大賞を受賞した事はまだ記憶に新しい。久保史緒里は、人生の半分、乃木坂があるから、もう人生が乃木坂46だと語ってくれた。この年、名曲が生まれた。それはライブではかかせない曲になっているとナレーションが告げた。
 『日常』が流れる。センターは久保史緒里であった。薄紫のロングドレスを激しく揺らして舞い踊る。渾身の一曲であった。
 『誰よりそばにいたい』がしっとりとしたメロディで始まる。センターは佐藤楓であった。受け継いできたアンダーライブを守り続けていくと誓い、これからもアンダーライブをよろしくお願いしますと告げた。歓声が沸き上がった。
 『キャラバンは眠らない』が始まる。会場中に空気砲を持ったメンバー達が広がり、プレゼントを発射していく。
 『ジコチューで行こう』が始まった。センターは齋藤飛鳥である。会場中に広がり、踊り、歌う歌姫達。
 梅澤美波の煽りから『空扉』が開始される。センターは梅澤美波である。トロッコも登場し、メンバー達は会場を走る。
 梅澤美波の挨拶から、秋元真夏のMCが始まった。山下美月はこのライブで、皆さんとの絆がより深まるんじゃないかなと思うと、語ってくれた。
 遠藤さくらは十周年のライブという事で、素敵なライブにしたいなと語ってくれた。
 与田祐希は、「ライブやってみてどうだった? て色んなメンバーにきいてみたんですけど、口を揃えてみんな、ヤバいよ、ヤバいよ、って言うから。きっと会場が凄く広くて私達も隅から隅まで走ってくから体力的に凄いよって意味だと思ったんですけど……。そのヤバさもしっかりと感じつつ、ここに立てる嬉しさとか皆さんのお顔が見れる幸せとかを凄く感じている」と語り、「昨日まで温存していたパワーを今日は全部放出できるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします」と笑顔で意気込みを語ってくれた。
 梅澤美波は、ずっきゅんを連発したいと語ってくれた。
 五百城茉央は、緊張してしまいますが、全力で一生懸命頑張りたいと思います、そしてこのライブを先輩達と同じように素敵なものにしたいと思いますと語ってくれた。
 齋藤飛鳥は、スタッフさん達の愛情のようなものが伝わって来て、私達今日は生きて帰れないくらい精一杯がんばります、と五百城茉央風のモノマネをして語ってくれた。
 まさかの事が起こったのだった……。
 西野七瀬が、ステージに立った。

「嘘だろーー!」風秋夕は髪を掻き上げて絶叫する。「なぁちゃーーん!」
「マジかよっなぁちゃーーん!」磯野波平は絶叫する。「嘘だろマジかよーー!」
「何このサプライズ……」宮間兎亜は、それからしばらく絶句する。
「すっごいねーー、なぁちゃん来ちゃったよー!」来栖栗鼠は微笑んで、叫ぶ。「なぁちゃーーん!」
「うわ……。なぁ、ちゃんだし……」比鐘蒼空は驚愕(きょうがく)した。「夢だ、これは……」
「比鐘ぇ、ちゃんと眼ぇ明けて見やがれ」天野川雅樂は鳥肌を立てながら、比鐘蒼空の方を覗き込んで言った。「本物だぜ比鐘……。どうするよ?」
「とりあえず、泣く」比鐘蒼空は眼を細め、歯を食いしばった。
「なぁちゃん殿の参上でござるぅ!」姫野あたるは大興奮する。「ライブでまた、なぁちゃんを拝める日が来るとはっ……」
「なぁちゃん! わっ、本当に?」駅前木葉は驚愕を隠せないでいる。
「これは、言葉が出ない……」稲見瓶は襲いくる感動の波に身を委ねて、少しだけ眼を瞑った。
「なぁちゃんですわっ、わーー!」御輿咲希は大興奮する。「キャーー!」

 『帰り道は遠回りしたくなる』が西野七瀬のセンターで歌われる。火柱が爆発する中、彼女達は瞬間的にかつての仲間との形を取り戻した。
 西野七瀬を迎えてのトークが行われた。
 VTRが流れ、2019年の乃木坂46が映し出される。遠藤さくらは、センターに選ばれた時の事を語る。言葉には表せない何か、ずん、とした何かは確かにあったと語った。あそこに立ってしまうのが申し訳ないなと思ってしまって、気付いたら、泣いていたと。