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僕はきっと、この日を忘れない。

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「乃木坂ってさ、すっごく、美しいよね!」来栖栗鼠は満面の笑みで言った。
「う、美しい……」天野川雅樂は、恥ずかしそうに言う。
「さくちゃんも、随分と立派な乃木坂になったわよね~。うっとりしちゃうもん」宮間兎亜は半眼を笑わせた。
「ええ、誰一人欠けないままでいてほしいですわ。この乃木坂という結晶を、まだ観ていたいもの」御輿咲希は大きな瞳を輝かせる。
「……」比鐘蒼空は、深呼吸をした。

 遠藤さくらのセンターで『制服のマネキン』が披露される。レーザー光線の中、必死にメンバー達は原点ともいえるこの楽曲を歌い、踊りきった。
 齋藤飛鳥のセンターで『世界で一番孤独なラバー』が開始される。噴き上げる炎の演出の中、この人気曲をシリアスにクールに歌い踊る乃木坂46は美しかった。
 秋元真夏のMCが始まる。昨日は『ぐるぐるカーテン』から、今日は最新曲の『アクチュアリー』まで、披露させて頂きました。続いての楽曲は十周年の記念に創って頂いた楽曲です。

「他人のそら似か……」風秋夕はにやけた。
「名曲だ」稲見瓶は囁いた。
「好きなんだよなー」磯野波平は呟いた。
「みんな、成長してるね」来栖栗鼠はにっこりと微笑んだ。「凄くなりすぎて、ついていくのがやっとだよ~」
「気ぃ抜くと、置いて行かれちまうな」天野川雅樂は、小さく笑みを浮かべた。「同時進行で生きていこうじゃねえか、乃木坂って時代とよ」
「スーパースターとは、どんな気分なんでござろうか」姫野あたるは無垢に呟いた。「どんな景色でござるか、みんな……」
「私達は星ですね」駅前木葉は姫野あたるに微笑んだ。「何色もの輝きを反射する、乃木坂という夢が創り出す星空……」
「感動なんて言葉では、とてもじゃないけれど、表せないですわね……」御輿咲希は乃木坂46を見つめたままで囁いた。
「こんな時間を迎えられるなんてね。それも乃木坂と運営さんの努力の形よね」宮間兎亜は呟いた。
「……」比鐘蒼空は黙ってスピーチを聞いている。

 想いを語っていく乃木坂46のメンバー達……。
 乃木坂は、本当に夢が叶う場所でした……。
 一期生は、最近はなぜか集まると、写真を撮ります。ここにいるみんなの事が、とっても大切です。
 『他人のそら似』が始まる……。乃木坂46の十年間が詰まったこの楽曲が、全国のファンの涙を誘う。
 齋藤飛鳥の煽りで彼女がセンターを務める『おいでシャンプー』が始まる。会場中に広がった乃木坂46。『コーンな楽しい一日は無いです、皆さん、十周年、ありがとうございます!』と乃木坂46が声を合わせた。
 『夏のフリー&イージー』が歌われる。会場中を駆ける。観客席を指差して笑顔になるメンバー達。
 筒井あやめのセンターで『太陽ノック』が始まった。
 齋藤飛鳥の『こんな可愛い子達に、もっと応援くれませんか~!』という煽りから、齋藤飛鳥センターの『裸足でサマー』が開始された。トロッコも登場し、会場中に広がったメンバー達は、駆け回り、オーディエンスに歌う。打ち上げ花火が盛大に上がった。

「裸足でサマーやっばー!」磯野波平は興奮して叫んだ。
「飛鳥ちゃーーーん!」風秋夕は全力で叫んだ。
「飛鳥ちゃーーん!」稲見瓶は大きく叫んだ。
「ああー……、もう感動が、凄い事になってるよぉ……」来栖栗鼠は苦笑する。
「飛鳥ちゃーーん!」天野川雅樂は大声で叫ぶ。
「か、感動するでござるううぅ!」姫野あたるは泣く。
「飛鳥ちゃーん!」駅前木葉は叫んだ。
「可愛すぎる~! 飛鳥ちゃーーん!」宮間兎亜は熱狂する。
「なんて可愛らしい曲なのかしら……」御輿咲希は呟いた。
「すっげ……」比鐘蒼空も、気が付けばそう呟いていた。

 十周年スペシャル企画が始まった。航空写真を撮るという。会場でペンライトを使い、文字や形を造ってくようだ。

 3・2・1・カシャ――。

 乃木坂46アリガトウと描かれていた。
 ドローンを更に上空に飛ばして、今度は乃木坂46の『10周年ありがとう!乃木坂46』というメッセージと共に、会場のペンライト・アートを航空写真に収めた。

 3・2・1・カシャ――。

 10周年記念モニュメントがある場所に、生田絵梨花、白石麻衣、西野七瀬の三名が待機していた。10本の巨大なローソクに、炎を灯していくというのだ。

「この三人ヤバない?」風秋夕は鳥肌の立つ腕を触って笑った。
「ぞくぞくしてるとも」稲見瓶は笑顔で、眼鏡の位置を直した。
「十一本の、蝋燭(ろうそく)か……」磯野波平は感慨深く呟いた。
「なぁちゃん、可愛い……」比鐘蒼空はぼうっと呟いた。
「いくちゃん、笑ってますね」駅前木葉は笑みを浮かべて、誰にでもなく囁いた。
「まいやんも、笑顔が眩しいでござる」姫野あたるは笑顔で言った。
「凄い、どんな感じなんでしょうね、創ってる側は……」御輿咲希はふと囁いた。
「熱のこもった完璧な時間よね」宮間兎亜は囁いた。
「火ぃ灯す、てのも……エモいな」天野川雅樂は呟いた。
「今日エモすぎ~……」来栖栗鼠は満面の笑みを浮かべる。

 11年目の巨大なローソクは、会場の乃木坂46で灯してほしいとの事であり、それを実行するという――。
 日産スタジアムの上部の方に巨大な炎が灯った――。
 齋藤飛鳥のセンター『きっかけ』が盛大な生演奏の中始まった。純粋な力の放つ、大興奮のステージであった。
 オーケストラを率いて、秋元真夏センターの『サヨナラの意味』が開始される。いつもと一風変わった豪華なステージになった。心配された秋元真夏の歌唱力も涙を誘う素晴らしいものであった。
 齋藤飛鳥のMCで、次が10周年記念ライブを締めくくる最後の曲だと告げられた。

「それでは聴いて下さい。君の名は希望……」

 齋藤飛鳥のセンターで『君の名は希望』が始まった。壮大なサウンドの生演奏で、乃木坂46はこれを感動的に歌い上げた。
 秋元真夏のMCが、代表して、齋藤飛鳥にトークを振った。彼女はオーケストラで歌えたことに感謝し、また、ファンの存在にも感謝した。
 皆さん本当に、――ありがとうございました。
 手を振り、ゆっくりとそでへとはけていく乃木坂46……。
 オーケストラは『君の名は希望を』盛大に奏であげた。

「マジでヤバい……」風秋夕は、にこり、と笑みを浮かべた。「ブラボー!」
「最高だ」稲見瓶は、眼鏡の位置を直した。
「ガチっで、最強んステージだわなー……」磯野波平は涙をぬぐいながら呟いた。
「いやー、凄いよ~。泣けるステージばっかりだね~」来栖栗鼠は涙をふいた。
「ほんとだな。俺、もっとマジで生きよう……」天野川雅樂は、しんみりと呟いた。
「おいらは、もっと真剣に、……」比鐘蒼空は呟いた。
「もうこんな時間を知っちゃうと、次の十五周年記念ライブを待っちゃうわね!」宮間兎亜はにんまりと笑った。
「いいえ、次のライブも、たぶん想像を超えてくるのでしょう。そういうグループですもの、乃木坂46は……」御輿咲希は、小さな笑みをこぼして囁いた。
「また改めて思い知りました。乃木坂46という時間、そのものを……」駅前木葉は情的に囁いた。
「僕は、きっと、この日を忘れない……」そう呟いた姫野あたるの頬に、大粒の涙が落ちていった。