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僕はきっと、この日を忘れない。

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「まあやちゃんはよぉ、マジで俺以外の奴と付き合ったら嫉妬、じゃすまねえなー……。わかるか?」磯野波平は必死になって肉を食べている和田まあやから視線を移して、風秋夕と姫野あたるを一瞥した。「男ならわかんだろ、そういうの」
「小生は、世界中が自分を好きと言っているのに、それでも、暗黙のルールを破ってでも一人の男性を選んだのなら、素直に祝福するでござる」
 姫野あたるはそう言った後で、急激に寂しくなって、顔をしかめて叫ぶ。
「やっぱり嫌でござるぅ、うううぅ~!」
「お前にそんな根性あるわけねえだろう」磯野波平は呆れた。「とーちゃん食べてっか? 刺身もうめーんだぜ、ここのぁ」
「いただいてるわ」宮間兎亜は印象的な半眼で笑った。「本当に、ただなのよねえ? 後で会費です、とか言われないわよねえ?」
「言わないよ」風秋夕はにっこりと微笑んだ。「いつでも、お腹いっぱい召し上がれ」
「ほーんと、別世界ねー、ここは……」宮間兎亜はそう呟いてから、視線を皆へとうろつかせる。「さっきの話だけど、あたいは飛鳥ちゃんが誰かに恋をしたら、ある意味乃木坂の終わりだと思ってるわ」
「……」
齋藤飛鳥は黙ったままで、つぶらな瞳で宮間兎亜を見つめながら、もぐもぐと一所懸命に食べている。
「恋か。しなでくれというのは押しつけがましいし、するなというのも無理だよな」風秋夕は言った。
「俺の愛情は変わらない」稲見瓶はティッシュで眼鏡のレンズをふきながら、囁いた。
「最終的に、飛鳥ちゃんが幸せな選択をするなら、どんな結果でもいいよな」風秋夕はにっこりと微笑んだ。「今はほとんど、俺達ファンと結婚とか恋愛してくれてる感じなんだから、これ以上何を望むよ?」
「そうね。望まないわ。満足だもん」宮間兎亜は微笑んだ。
「私が恋したら、どうなの?」秋元真夏は空気感をからかうように言った。「乃木坂おわちゃう?」
「深すぎて何も言えない」風秋夕は苦笑した。「とーちゃん、そういう事はブリーフィング・ルームに来て言いなね」
「ぶりーふぃんぐ・るーむ?」
「お題を出して、それについてディスカッションする場所だよ。後で、場所を教えよう」
 稲見瓶はそう言って、キムチ鍋をおかわりする。
「白米欲しくね?」
 磯野波平は言った。
「それだ……」
 和田まあやは賛成した。
「じゃあさ、チャーハン、頼んでシェアしない?」風秋夕は微笑む。
「お前どんだけチャーハンっ子なんだよ……」磯野波平は鼻を鳴らして座視をした。
「じゃあさ、飛鳥ちゃんちのデブ飯じゃないけどさ、ご飯に、このキムチ鍋の汁入れるってどう?」
 風秋夕はにっこりと微笑む。
「あ……。それだ」
 齋藤飛鳥は、風秋夕を無表情で指差していた。

       6

 少しだけ時を遡る。乃木坂4610thバースデイライブまで残り二週間ちょっとをきった頃の夜、〈リリィ・アース〉の地下六階に在る〈無人レストラン〉一号店には、珍しく三、四期生が勢ぞろいしていた。
 店内にはロブ・ベイス&DJイージー・ロックのR&B HipHop曲の『ブレイク・オブ・ドーン』が流れている。
「ねえたこ焼き~、頼んだぁ?」早川聖来は可愛らしく周囲にきいたが、また流されてしまった。「んねえ~え~、た~こ~焼~き~!」
「れんかヴァロ全然やってない……」岩本蓮加は佐藤楓を見つめて言った。「もうやっても全然ダメだよたぶん」
「私もワリカーやってなーい」佐藤楓は腕を掴んで苦笑した。「それよか筋肉痛だよ」
「そ。筋肉痛ヤバすぎ……」岩本蓮加はくしゃ、と顔をしかめた。
「ゆうき今日お財布忘れちゃって、大変だった、タクシー」与田祐希はたこ焼きを口に入れながら言った。「聖来ちゃん、あるよ? たこ焼き……」
「あ~! あったんですか~!」早川聖来は大喜びする。
「タクシー、またエリザベスで乗ってきたんか」佐藤楓は与田祐希に笑った。
「エリザベス」与田祐希は眼元だけにやけて頷いた。
「せいら、お好み焼き、食べるの?」賀喜遥香は席を立ち上がったままで、早川聖来にきく。
「たこ焼きあるからいら~ん」早川聖来はご満悦で答えた。
「イーサン、あの、エビフライ定食、一つお願いします。まゆたん、何か食べる?」賀喜遥香は田村真佑にきく。
「うん、ドライフルーツ食べてるから、いいよ、大丈夫、ありがと」田村真佑はひたむきにドライフルーツを食べ進めている。
「あの、しーちゃん…、飲み物、ビールでよかった?」賀喜遥香は手を伸ばして、ビールとグラスを手に取る。「なんか余ってるんだけど」
「あ、そか。じゃ、はーい、貰いまーす」久保史緒里は立ち上がって、賀喜遥香からビールとグラスを受け取った。「はるかは? 飲み物ちゃんとある?」
「ありー、ます」賀喜遥香は笑みを浮かべた。「ジュース、飲みます」
「吉田、何頼むの?」久保史緒里は吉田綾乃クリスティーにきいた。
「あい。とりあえずカニのメニュー見てる」それから吉田綾乃クリスティーはテーブルを一瞥した。「ねえ、カニとか乗るかなあ? テーブルに」
「乗るんじゃない?」久保史緒里は答える。
「じゃあ~ん」山下美月は背中の後ろから雑誌を取り出した。「実はここに、デビュー10周年記念公式ブックがあるだけど……」
「あー」
「おー」
「この飛鳥さん、超~、可愛くない?」山下美月はページを開いていく。「梅もかんわいいっ!」
「あー撮ったねー……」梅澤美波は料理に夢中になりながら、瞬時に反応した。「もう出たんだ?」
「なんかここにあった」美月は笑顔でページを開いていく。
「こーのクリスティーヤバい、鬼可愛いんですけど」阪口珠美は吉田綾乃クリスティーを一瞥して口元をにやけさせた。「梅ちゃんも可愛い。この梅ちゃんからもいい匂いするもん、もう。この久保ちゃんからもいい匂いが漂ってくる……」
「写真から?」梅澤美波は苦笑した。
「ありがと」久保史緒里も苦笑した。
「理々杏ヤバーい、鬼可愛い~」阪口珠美は面白がって雑誌に視線をうつむける。
「僕それ撮った時、何考えてたかな~……」伊藤理々杏は考える。「なんっか、考えてたんだよね~……」
「やまはやっぱ凄いね、お姫様みたい」阪口珠美は山下美月に言った。
「なんか、違う人みたいだよね」山下美月はえくぼを作ってにやける。「たまみも可愛いよ」
「ケーキ頼まない?」向井葉月は皆に言った。
「もう?」梅澤美波は驚く。「もういく?」
「あ、ケーキって言ったら、たまみ犬用のケーキ食べた事あるよ」阪口珠美は微笑んだ。
「何で食った」梅澤美波は突っ込む。
「えどんな味なの?」山下美月は微笑んだ。
「なんかね、スン、てした味だった……」
「じゃあ犬用のケーキはやめて、人間用のケーキ食べようね」向井葉月はメニュー表を物色し始める。
「人間用って……」梅澤美波は言葉をしまった。
「与田とかっきー、写真集すっごいねー」山下美月は思い出したかのように言った。「二人ともビジュ強めだもんねー」
「んー?」少し反応を見せたが、与田祐希は必死に食べている。「あんか言っあ?」
「かっきー目指せ何万部?」山下美月は面白がってきく。
「いやー、いやいや、そんな、何も……はぁい」賀喜遥香は屈託なく笑った。