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ジャンピングジョーカーフラッシュ

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――●▲■うん。さくら君の能力は【召喚者】。君はサモナーと呼ばれる能力者だ。「おいで」という発声で、召喚獣を召喚できる。君の場合、力のコントロールが出来ていないみたいで、同時に五人を同時召喚しているみたいだね■▲●――

「ん?」
 ユウは遠藤さくらに上品に微笑んだ。
 遠藤さくらは五人の事を、順番に数えていくように、ゆっくりと見つめていた。

――●▲■続いて、さくら君の召喚する、召喚獣ユウの能力は【空間転移】だ。彼はイリュージョニストと呼ばれる能力者で、空間を自在に操り、空間を自由自在に転移させる事が可能だ。次に、召喚獣ビンの能力は【凍結する表情】。ウィザードと呼ばれる能力者で、彼は所謂(いわゆる)、氷結系魔導士だね。続いて、召喚獣ナミヘイの能力は【剛力裸(ゴリラ)】。パワーの能力者で、筋肉を爆発的に向上させ、攻防に特化した身体になる力だ■▲●――

「あんた……。いつまで、さくちゃんのせとるつもり? ゴリラみたいな身体して……」
 賀喜遥香は、ナミヘイに座視で言った。
「俺の能力もゴリラって名前なんだぜ?」
「知っとるわ! 今聞いたわ!」
 遠藤さくらは、床に手をついて体勢を動かし、ナミヘイのあぐらから退こうとする。しかし、ナミヘイがさくらの腕をがっしりと掴み、引き戻すのであった。
 ユウはユウで、遠藤さくらの右手を、しれっと己の左の手の平の上に乗せている。

――●▲■いい? 続いて、召喚獣アタルの能力は、【愛しき呼称】。ウィザード・ダーリンという能力者だね。とある発声で、指定された事象が、なんとなくそれっぽくなる、という能力だ。続いて召喚獣コノハの能力は、【笑止】。サイキックと呼ばれる能力者だ。その能力は、とある発声で、一定時間ダメージ完全無効化。ただし、使用回数に制限があるね。全てさくら君の精神力と体力を消費して使用可能な能力だ。信頼関係が深まれば深まるほど、その消費量は減っていくよ■▲●――

 筒井あやめは、真面目な眼差しで、天井近くの空間を見上げた。ポッキーをぼりぼりと貪(むさぼ)り食べながら……。
「最後に、私ですね……。マスター、私の能力は?」

――●▲■うん。最後に、あやめ君の能力は、【略奪者】。君はアンノウン・アビリティ・クラス・ブックと呼ばれる能力者だ。「いでよ」という発声で、背表紙が紫色をした本が出現する。続いて、「もらう」という発声で、標的の技能力を吸収、略奪。更に、吸収、略奪して本に名前の記された技能力の名前を精確に発声すると、その技能力を使用可能。という力だ■▲●――

 筒井あやめは、己の能力を再確認して、深い納得の頷きを漏らした。
 賀喜遥香はあぐらで体勢を後ろへと反らして、床に後ろ手をついて、天井を見上げる。
「他にはもうないん? うちらに、隠しとる事……」

――●▲■うん? 隠してる、というかね……。君の精神年齢だけ、器となってる身体の年齢と適合してない。君の精神は小学四年生の十歳のままだ■▲●――

「んなっ!!」
 賀喜遥香は度肝(どぎも)を抜かれた……。続けて、声も出てこない。
 皆は、気まずそうに、賀喜遥香を見守っていた。
「んあ、あんたちょっと、なんてことすんねんアホかあっ! なんでうちだけ九歳の精神のままやねん! あんたゆっとったがな、選んだ年齢に合わせて、精神年齢も年齢に合ったもんを与えるってえ!」

――●▲■言ったよ。そして、その後で君は言ったよ。「いや、やっぱこのままでいいや。大人になんか、なってたまるか」てね■▲●――

「んな!!」
 仰天して眼玉を見開いている賀喜遥香に、皆は苦笑を浮かべていた。召喚獣の五人は不思議そうにしている。
「はよ身体の精神年齢にしいやあ~~っ!! しばくで、んっと!!」

――●▲■はいよ。したよ■▲●――

「ん……、ちょ、あの、な、だ、今まで……、調子こいててすいませんでした!」
 賀喜遥香は、急にしおしおとした苦笑で、皆にぺこりとあぐらのままでお辞儀をした。
「なんか、関西弁抜けてへん? 私もなんか、標準語使えるんだよね、不思議と……」
 林瑠奈は、小首を傾げていた。
 筒井あやめは、可笑しかったので、くすくすと笑っていた。
「ガキすぎましたほんと、……すいません! これから、も、よろしくお願いします!」
 賀喜遥香は床に正座して、ぺこり、と深く頭を下げた……。
 五人の召喚獣には、何が起きのかが、全くわからない。

――●▲■とにかく、個人個人の力を向上させつつも、チームワークを心掛けて、仲間を信頼して戦いに臨(のぞ)むのが一番だ。明日もゆけ! 僕の正義のヒーロー達! 悪を見逃すな! さすれば未来は必ず、光溢れる世界となるだろう!■▲●――

 遠藤さくらは『信頼が深まれば……』という思いを胸に隠しながら、五人の召喚獣を見つめている……。
 賀喜遥香はこっ恥ずかしそうに、口を閉じて苦笑している。
 筒井あやめは、明日のバイトの事を考えていた……。

       6

 高層ビルの屋上――。筒井あやめは〈紫色の背表紙をした本〉を片手に、アスファルトに寝そべりながら、指先から蝗(いなご)の大群を発生させているベルフェゴールの背後に立ち、それを囁く……。
「もらう!」
 すると蝗(いなご)の大群はふっと空気の中に消え、あやめの右手の上に浮かんで開かれている〈紫色の背表紙の本〉の一覧に――『蝗(いなご)の群れ』――と光が頁(ぺーじ)に焼きつけていくようにして文字が記された。
 ベルフェゴールは驚いた顔で辺りを見回していた。寝そべりながら、己の指先を確認している。
「なんなのこいつ! やる気ないのに厄介な攻撃ばっかしてくんだけど!」
 林瑠奈は先ほど【叫び】を使ったが、どうやら無効化されたらしく、ベルフェゴールに状態異常は全くみられなかった。
 矢久保美緒の【薬剤師】の能力である『ウィルス・ミス』も平手打ちに感触が伝わらずに失敗に終わっていた。
「何で何も効かないのこいつっ、マスターこいつ強いんじゃないんですか!」
 矢久保美緒は叫んだ後で、頭の中の声に集中する。

――●▲■その悪は怠惰(たいだ)と色欲(しきよく)という恐れを司(つかさど)る悪だ。ベルフェゴールという、キリスト教における『七つの大罪』の悪魔の一人の姿を借りているらしい。だとすれば、さっきの蝗(いなご)の大群は、疫病(えきびょう)をまき散らす術に違いない。その悪は疫病、ウィルスを操る。ゆえに美緒君の能力は通じないだろう。それに、人々の怠惰が具現化した悪だ、精神攻撃も無効だろうね■▲●――

「タイダって何ぃ?」
 賀喜遥香はベルフェゴールとの間合いを取りながら叫んだ。

――●▲■怠(なま)けモノの事かな。色欲の恐れでもあるから、性的で不道徳な心を芽生えさせる術もたぶん使ってくるよ。その場合、エッチな術にかかった人の事は動画に収めておくけどいい?■▲●――

「いいわけあるか!」
 賀喜遥香は高く跳び上がりながら叫ぶ。
「しばき倒しますよマスターっ!」
 林瑠奈は、へたり込んで地に座っている矢久保美緒の肩を抱える。
「美緒ちゃん、この戦いはうちらは場違いらしい、とりあえず全力で美緒ちゃん守るから、私の後ろにいて」