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ジャンピングジョーカーフラッシュ

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 遠藤さくらはユウから「あ~ん」されたプリンをもぐもぐしながら、真剣な表情で天井付近を見つめる。
 佐藤璃果も、真剣な面持ちで天井の近くを見上げた。
 林瑠奈は黙って、首を鳴らしてから、上の方を見上げる。
「そういえば、ごっつい能力やったな~……」
 賀喜遥香はそうにやけながら囁くと、そのまま棒付きの飴玉を咥(くわ)えた口を閉じて、上の方の空間を見つめた。
 あやめは、先ほど戦闘時にて垣間見た、早川聖来の能力を思い出しながら、静かに上方の虚空を見つめた……。

――●▲■聖来君、君の能力は、知っての通り【電撃の支配者】だ。クエスト・サンダーエンペラーと呼ばれる能力だね。様々な発声と共に、様々な、形状、攻撃範囲、電圧、の異なる電撃を使用する事が出来る■▲●――

「おお~~!」
 早川聖来は可愛らしい笑みをいっぱいに浮かべて拍手した。
「テスラコイル…、とかいう技、使っとったなあ?」
 賀喜遥香は早川聖来をにやけたままで見つめた。
「高周波高電圧共振地獄(テスラコイル)です。高周波、高電圧、共振、地獄、と書いて、テスラコイル、です」
 早川聖来はにこっと上品に微笑んだ。
「えー、てか……。今、技の名前言わなかった?」
 筒井あやめは、無表情のままで驚愕(きょうがく)する。
「え、うちらって今、変身中なんだよねえ……」
「ほんまや……」
 賀喜遥香は眼を驚かせて、上の方を見上げた。皆もつられて、天井の近くを見上げる。

――●▲■うん。攻撃をする、相手を倒す、この標的にこういう攻撃をする、という意思と意識がないからね。そういう時、無差別に能力は発動しない。安心したまえ■▲●――

「高周波高電圧共振地獄(テスラコイル)は、電撃を真横に、発生させる技です」
 早川聖来は自慢げに微笑んでそう言った。
「続きを」
 筒井あやめはそう言って、上を見上げた……。

――●▲■璃果君、君の番だ。君の能力は、【可愛いの支配者】だね。君はクエスト・プリティと呼ばれる能力者だ。その能力は、とある様々な発声で、指定した条件を無条件に満たしてしまえる、というモノだ。指定されたモノの能力向上、または、能力を低下させる能力だね■▲●――

「なんや、ごっついパンチ撃ち込んどったよなあ?」
 賀喜遥香は小さくなってきた棒付きの飴玉を器用に口の中で転がしながら、佐藤璃果に興味深そうな顔を向けた。
 佐藤璃果は、はにかんで答える。
「私が「嫌い」と否定した物は、嫌われない為に必死になるそうです……。時に、攻撃力を上げたり、敵の防御力を下げたりと、敵の身体にも通じる能力みたいで……」
「ん。すご……」
 筒井あやめは、二箱目のDARSのチョコレートを食べながら驚いた。
「ちょと、チョコ一個ちょだい……、あむ。どこにあったん? これ」
 賀喜遥香はチョコレートを口に放り込んで、筒あやめを不思議そうに見つめる。棒付きの飴玉は手に持たれていた。

――●▲■瑠奈君、君の一つ目の能力は【超身体能力】だ。君はパワーと呼ばれる能力者であり、文字通り、超身体能力を身につけている。そして、もう一つ、君はシャーターと呼ばれる能力者でもある。能力は【叫び】。とある様々な発声により、発声というより、この場合は叫びだね。叫ぶ事によって、標的に精神ダメージを与える。標的の身動きを止めたり、食細胞の一種である樹状細胞を破壊して、獲得免疫系の働きを完全に無効化してしまい、標的の魔法やウィルスに対するダメージを飛躍的に大きくするという能力だ。今から説明する美緒君と君とは、必要不可欠なパートナーとなる。互いの能力の相乗効果を狙える関係性にあるからだね■▲●――

 その場は、天井の方の空間へと視線を釘付けにされ、しんと静まり返っている。
 ユウ達五人の召喚獣は、何処かから持ってきた雑誌を読んでいた。

――●▲■美緒君、君の能力は【薬剤師】。パーメシストと呼ばれる能力者だ。その能力は、とある発声で何もない空間に平手打ちをし、標的に平手打ちの感触が伝わると、効果発動までの必要条件が揃う、というモノだったね。更にとある発声で、標的の体内にウィルス効果が発動する。瑠奈君が弱体化させたあとで、確実に多大な効果を得る事の出来る二人そろうと効果絶大の能力だ■▲●――

「確かに……、物理攻撃が効かない相手とかにもってこいな能力やんなあ?」
 そう言った後で、賀喜遥香は少年のように、白い歯をみせて無邪気に笑った。
 筒井あやめは、仲間達の能力を記憶しながら、その使い時も同時に思考する……。

――●▲■かっきー。君の一つ目の能力は【超身体能力】だ。君も知る通り、パワーと呼ばれる能力者が君だ。しかし、君はまだその能力に限定して戦闘をしているね。さっき、君から、いつ開花するのか? という質問があったけど、それはイメージの問題だよ。能力はイメージを潜在能力が具現化し、現実化してくれるモノだ■▲●――

「そうなん?」
 賀喜遥香は、皆の顔を見る。
 筒井あやめは、首を傾げた。
 林瑠奈は言う。
「あのう~……、最初の、赤いカーテンの通路だけの世界、あったっしょ?」
 皆は、それを思い出して、大きく頷(うなず)いた。
 林瑠奈は、言葉を続ける。
「その時にい、うちらが注文したイメージが、能力とか、年齢とかに、直接関係してるみたいな……。なんか、そんな事聞いた気がする」
 賀喜遥香は、宙を見上げる。
「で、さあ……。うちのも一個の能力って、なんやったっけ? 忘れた……」
 筒井あやめは上品な表情で苦笑する。アイス・カフェラテをストローでごくごくと飲みながら……。

――●▲■かっきーのもう一つの能力は、【重力の支配者】。君はクエスト・グラビティと呼ばれる能力者だ。その能力は、とある発声で、万有引力を完全に無視して、物質を強烈に引き付ける。また、とある発声で、万有引力を完全に無視して、物質を強烈に弾き飛ばす、という能力だ■▲●――

「ふうん……。で、使えるん? その能力……」
 賀喜遥香は座視でそう言った後で、閃(ひらめ)いたように言葉を急がせる。
「ていうかな、マスター。その、とある発声、ちゅうんがもう、憶えとらんねん! なんて言えば使えるん? 教えてくれるんやろ? もう教えられない、とか、マジで勘弁な!」

――●▲■教えるよ。物質を引き付ける、引力の発生条件は、「引力(いんりょく)」と発声する事。物質を弾き飛ばす、斥力の発生条件は、「斥力(せきりょく)」と発声する事。以上の二つだ■▲●――

「まんまかーい………」
 賀喜遥香は、そう呟きながらも、内心で安心していた。飴玉の溶け終わった棒を、口から出して、躊躇(ためら)いも無くポケットにしまった。変身を解けば綺麗に消えるからである。
「あのう!」
 遠藤さくらであった。さくらは小さく片手を挙げて、必死で上の方を見つめていた。
 皆が自然と、遠藤さくらの事を見つめている。皆は各々の取ってきておいた食料品で、食事を開始していた。
「私の、私達の能力って!」