二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ジャンピングジョーカーフラッシュ

INDEX|27ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

「さくちゃんだけが残ったのっ‼」
「そっちにも行かないとっ‼」
「黙ってきいて!!」
 賀喜遥香は、ベルゼブブの悲鳴が呻(うめ)き叫ぶ地獄の旋律(せんりつ)の中で、皆を振り返って言う。
「うちらが、そう決断したの……。あの敵は、きっとさくちゃんしか倒せない……。それを実感したし、さくちゃんが……。さくちゃんが残ると言ってくれたから、うちらはこっに応戦できたの……」
 田村真佑は、呟くように、皆に聞こえるぎりぎりの声で言う。
「さくちゃんの決断だよ………。でも、必ず、追いつくって、約束はした」
 柴田柚菜は強き表情で皆に言う。
「ベルゼブブ、倒そ! そしたら、さくちゃんとこ行けるじゃん!」
 早川聖来の全身に、パリ、パリリ――と、静電気のような反応が起こる。
「あかん……、さくちゃんの事思い出したら……、聖なる心忘れてまいそうやわ……。ベルゼブブ、丸焦げにして、早くさくちゃん助けに行こうや…、みんな!」
 田村真佑は強い視線で皆に言う。
「みんな揃ったから、使うよ、私の力……。一定時間、完全無双状態、完全無敵状態、みんながそれになる。それが私の能力、完全無敵。それ使い終わった後、私は動けなくなるから、私に構わずベルゼブブをやっつけて」
 金川紗耶は、うねうねと空中に己の長い髪の毛を漂わせながら強気に微笑む。
「仲間を守るのは、私のこの【髪士】の能力が最適みたい。どんな形にもなるかた~い髪の束(たば)だから、最前線で戦闘するタイプじゃない仲間も全部私が守ってみせる!」
 早川聖来は破裂しそうな狂気の視線で、叫ぶ事を終えたベルゼブブを睨みつける。
「ベルゼブブぅぅ……! 完全に丸焦(まるこ)げに焦がしたるわ……!」
 田村真佑はベルゼブブの方向を向いて叫ぶ――。
「行くよっみんなっ‼ オール・スターっ‼‼」
 田村真佑の【完全無敵】の能力発動で、その場にいるヒーロー達全員が一定時間、完全無双無敵状態になった。皆の身体からは白いオーラのような物が迸(ほとばし)っている。
 筒井あやめは、本を開いていない右の手の平を見下ろして、呟く。
「勝てる……。え、この力なら……、やれる」
 田村真佑は言う。
「もってせいぜいが一分ってとこ」
 賀喜遥香は叫ぶ。
「悪魔の大将相手にちょうどええチート能力や! みんなやったろうやないかぁっ‼」
 賀喜遥香を先頭に、全員がその場から散るように八方へと飛び出した――。

       13

 柴田柚菜は「インスパイア!!」と叫び、祈りを込める――。田村真佑の【完全無敵】発動時の柴田柚菜の【鼓舞する者】の能力発動でその場にいるヒーロー達全員に聖なる力が更に加わり、能力も更に飛躍的に向上した。
 北川悠理は【絵空事】の能力を発動して叫ぶ――。
「ベルゼブブが私達の攻撃をかわすなんて、そんなのは嘘!」
 パシン――。と空気に何かが走った。
 北川悠理は続けざまに叫ぶ。
「ベルゼブブが私達の攻撃を防御するなんて、絶対嘘っ!!」
 北川悠理の【絵空事】の能力により、また否定した事象、現象の条件が満たされた事を空気に走る感触が伝える。
「ベルゼブブが私達の攻撃を受けないなんて、認めない‼ 私達は拒絶するっ‼‼」
 パシシン――と空気に何かが走った――。ベルゼブブは防御、回避、ともに不可能な不思議な力に包まれている。

『ほう、ではこれはどうだ――。最強台風(イスキローテリ・テューポーン)――』

 瞬間的にその周囲を凄まじい巨大な暴風雨(ハリケーン)が襲う――。風圧の抵抗は多少受けるが、しかし鎌鼬(かまいたち)のような衝撃波の斬撃攻撃はヒーロー達には通じない。
 田村真佑はベルゼブブの腹部へと跳び込んでいき、連続して攻撃を繰り出していく。そのうちに、何撃かが黒い閃光に包まれた重い攻撃に変化していた。――それは打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪みであり、黒く光った呪力が稲妻の如(ごと)く迸(ほとばし)り、平均で通常時の2.5乗の威力という驚異的な打撃である。
「黒閃(こくせん)っ‼ 黒閃(こくせん)っ‼ え三回でたっ! 効いたでしょぉ~悪魔さぁ~んっ‼」
 賀喜遥香は右の手の平に意識を集中させて呟(つぶや)く……。その右手の手の平に、赤い球体が創り出されていく。
「おおできるできるマジでやれそうっ‼ 術式反転・赫(じゅつしきはんてん・あか)……――。反転術式によるプラスの呪力を使用して、無限を発生させる事で、対象物を弾き飛ばす技。つまり斥力(せきりょく)‼」
 更に、賀喜遥香の左の手の平にも、青い球体が創り出されていく……。
「術式順転・蒼(じゅつしきじゅんてん・あお)……――。無限を収束(しゅうそく)して、ある種のブラックホールみたいな吸い込む力の反応により、特級呪霊ですら認識できない速度の殴打を繰り出す事が可能、今の私……。つまり引力(いんりょく)‼」
 賀喜遥香は、その術式反転の赫と、術式順転の蒼を、掛け合わせる。
「虚式・此(きょしき・むらさき)っ……」
――そうする事で生まれる紫色をした球体であり、仮想の質量を、見る事も触れる事もかなわない回避不能な速度に乗せて、その紫色の球体に存在する『究極の重さ』だけを賀喜遥香はベルゼブブへと打ち放った――。

『狂豚(スース)――』

 ベルゼブブの眼前に突如(とつじょ)として召喚(しょうかん)された発狂している巨大な豚(ぶた)に、賀喜遥香の放った此(むらさき)が衝突し――豚を消し飛ばしながら、ベルゼブブの右脚に重い深手を負わせて此(むらさき)は消失した……。
 清宮レイは右手を拳銃のように形態模写し、左手でそれを支えるように掴んで、指先の銃口をベルゼブブへと調整する。
「えっえっ、読んだ事ない漫画の知識が溢れてくるんだけどっ、本当に使える技なのかがわからないっ!!」
 指先の銃口をベルゼブブに向けながら混乱する清宮レイに、後方から松尾美佑が声を叫ぶ――。
「それは私達がマスターからもらってる指定年齢に合わせた仮の頭脳だからっ、指定した年齢の知ってそうな知識は最初っから記憶とて預かってるんだと思いますっ! つまり未来の私達の年頃の子達が知ってそうな知識を、私達は今使ってるのレイちゃんっ‼」
「OKっ! 霊丸(れいがん)っ――‼‼ おおー撃てた撃てたっ!」
 清宮レイが指先から撃ち放った光線銃は、綺麗な直線に走り、ベルゼブブの左耳を撃ち抜いた。
 ベルゼブブは新しい痛みに激しく激昂(げっこう)する――。

『狂猛虎(ティグリス)――』

 清宮レイの眼の前に突如(とつじょ)として召喚(しょうかん)された発狂する巨大な猛虎(もうこ)は、今にも嚙(か)み砕(くだ)くと豪語するかの如(ごと)くに清宮レイへと飛び掛かった。
不意を突かれて動けずにいる清宮レイを庇(かば)うようにして、猛虎の牙に飛び込んだのは矢久保美緒であった。
「矢久保さんっ‼ うわあああ、かめはめ波(は)――――っっ‼‼」
 清宮レイは合わせた手の平から大きな光線を打ち放った。猛虎は呻(うな)りを上げながら光線の中に弾けていった……。
 清宮レイは、地に伏せた矢久保美緒に素早く駆け寄る。
「矢久保ちゃん……、なんでえ?」