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ジャンピングジョーカーフラッシュ

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「あ……瞬間的に、身体が、動いただけ……」
「いやあ……、死なないでぇいやあ……」
「ぐふっ――」
 矢久保美緒は一度、白目を剥いたが、また眼を見開いて起き上がった。
「いんや全っ然平気! てか完全無敵は伊達じゃないみたい!」
 清宮レイは泣きべそに、笑みを浮かべる。
「良かった………」
「美緒ちゃんにっ何っっすんだ蠅人間(はえにんげん)っ‼‼」
 ベルゼブブの頭上でぎゅるぎゅると前回転を繰り返す林瑠奈は、遠心力に乗せた右脚のかかとを、渾身の力で悪魔の脳天へと叩き落す――。
「粗砕(コンカッセ)っっ‼‼」
 ベルゼブブの雄牛(おうし)の顔面に在る野太い鼻腔(びこう)から、大量の鼻血が噴き出し飛び散った……。
 弓木奈於は叫ぶ――。
「黒見さんの剣は復活するっ‼ 悪を切り裂く聖なる剣っ‼」
「え、わっ!!」
 黒見明香の手元に長剣が突如として出現した。黒見明香は強くにやけて囁(ささや)く。
「黒くお染まりなさい――」
 黒騎士へと変身した黒見明香は、透き通った巨大な姿の愛馬『赤兎馬(せきとば)』に乗り込み、ベルゼブブへと突進を開始する。
 弓木奈於は叫ぶ――。
「璃果ちゃんは剛剣の剣士っ、その剛力と野望に斬れぬ物は無いっ‼」
「え、ごうけ…おわおっ!?」
 佐藤璃果の手元に三本の刀が出現した――。佐藤璃果は【可愛いの支配者】の能力を発動して権限する。
「私に三刀流やらせない事象なんて嫌い……、私の三刀流で斬られないなんて、大っ嫌い‼」
 抗(あらが)えぬ不思議な力により、条件は満たされる――。
 佐藤璃果は一本の刀を口に咥(くわ)えると、残る一本一本を両手に持ち構え、そして次の瞬間、ベルゼブブへと真正面から飛び込んでいった――。
「鬼斬(おにぎ)りっっ‼‼」
 黒見明香は剣を振り下ろしながら叫ぶ――。
「月牙天衝(げつがてんしょう)っっ‼‼」
 黒き衝撃波と幾重(いくえ)もの血飛沫(ちしぶき)がベルゼブブから上がった――。

『日照り地獄(シッキタース・インフィエルノ)――』

「もらう‼」
 筒井あやめの発声と共に、上空に現れた黒い太陽は瞬時にして悉(ことごと)く消え失せ、あやめの左手の上に浮かぶ〈紫色の背表紙をした本〉の白い一頁(いちぺーじ)に――『日照り地獄(シッキタース・インフィエルノ)』――と焼きついた。

『狂死蠅(ミガ)――』

「うえっ、あれはいらない!」
 あやめは苦そうな顔をする。
 ベルゼブブは巨大な死の蠅(はえ)を召喚(しょうかん)した後(のち)、ヒーロー達の総攻撃で拡散していた意識を統合集中させて、詠唱(えいしょう)へと心頭滅却(しんとうめっきゃく)し始めた……。
 田村真佑は力を溜(た)めながら叫ぶ――。
「もうすぐ一分っ‼‼ 味方に当たらないよう全力で行って‼‼」
 早川聖来は上空に跳び上がったまま、両手、両足を伸ばして、叫ぶ――。
「最高神の雷霆(ケラウノス)っっ‼‼」
 早川聖来の【雷撃の支配者】の能力を行使した、触れた物質その全てを溶解させる最強の火力を秘めた雷撃が、ベルゼブブへと真っ逆さまに落ちる――。
「最高神の雷霆(ケラウノス)っ‼」
 掛橋沙耶香が【暗記】の能力を行使して、極大の稲妻をベルゼブブへと落とす――。
 二筋(ふたすじ)の神成(かみなり)は、ベルゼブブを庇(かば)うかのように狂い飛んでいた死の蠅(はえ)に落雷した……。
「髪の導きをっ‼ 奥義、行きますっ!!」
 金川紗耶は【髪士】の能力を発動する――。地中に深く突き刺さった幾束(いくたば)にも分けられた鋭く鋭利な髪の毛が、瞬間的に地下を掘り進んで、詠唱中(えいしょうちゅう)のベルゼブブの脚元から飛び出した――。
「髪様っ、突き刺されぇっ針千本(はりせんぼん)っ‼‼」
 四方八方からジグザグに突き進む無数の髪の刃が、ベルゼブブを文字通り四方八方から貫(つらぬ)いた――。
 矢久保美緒は叫ぶ――。
「イケるっっおうえっ! 使えるっ! 使えるってわかる‼」
 次の瞬間、矢久保美緒は顔つきを変えて、「行くね」と呟(つぶや)いた。
「許されざる者(ペインパッカー)っっ‼‼」
 田村真佑の【完全無敵】の能力発動時間内における矢久保美緒の念能力により、自身の受けたダメージを元にしてオーラを球状の力の塊に具現化し増幅させる。矢久保美緒の纏(まと)っていた洋服も、高熱を防ぐ重厚な衣服へと変化していた。
「太陽に灼かれて(ライジングサン)っっ‼‼」
 矢久保美緒は約熱のオーラを太陽のように打ち上げて、周囲の景色ごとベルゼブブの人影を焼き尽くす――。
 筒井あやめは開きっ放しになっている〈紫色の背表紙をした本〉の頁(ぺーじ)を意志の力だけで捲(めく)り、囁(ささや)くように叫んだ――。
「超爆発(エクスプロシオン)っっ‼‼」
 掛橋沙耶香は【暗記】の能力を行使して叫ぶ――。
「超爆発(エクスプロシオン)っ‼」
 太陽の約熱に焼かれているベルゼブブの台座が完全に溶解し、悪魔は無意識にのっそりと立ち上がる……。超絶特大の超大爆発にベルゼブブの両腕の肩から先が程無(ほとな)く砕け散った……。
 詠唱(えいしょう)を終えたベルゼブブは、雄牛(おうし)の形相を激しく笑わせていた。
 田村真佑は溜めていた力を開放しながら叫ぶ――。
「あとの事はみんな任せたっ! 汚辱(おじょく)っっ‼‼」
 田村真佑の全身に虎模様(とらもよう)のような縞(しま)の色素が現れ、周囲の重力権限を彼女は完全に独占する――。
「ひゃっはははっは~っっ‼‼ オ~ラオラオラァァーーっっ‼‼」
 重力を自在に操り、周囲の岩石を巨大なまま多数浮遊させ、高速で悪魔へとぶつけていく――。そのまま田村真佑は、重力を収束(しゅうそく)させた小型のブラックホールを旁出(つくりだ)し、笑う事を止めようとしないベルゼブブに命中させていく――。
 血飛沫(ちしぶき)が飛び散り、賀喜遥香は宙を舞う田村真佑の真下まで走る――。やがて、地上の岩肌へと田村真佑は気を失いながら真っ逆さまに落ちた……。
 賀喜遥香は気絶している田村真佑をがっしりと両腕で受け止めた――。
 田村真佑の【完全無敵】の能力『オールスター』の効果が零(ぜろ)に成(な)った――。ヒーロー達の纏(まと)っていた迸(ほとばし)る白きオーラが悉(ことごと)く消えて無くなる……。
 松尾美佑は【予言者】の能力を駆使(くし)して、十秒先の未来を読み取った。
「あやめちゃん防御魔法唱(とな)えてっっ‼‼」
 筒井あやめは咄嗟(とっさ)に叫ぶ――。
「聖域(イエロ)っっ‼‼」
 悪魔はその破滅の言葉を囁いた……――。

『最悪混沌地獄気象天変地異(ペッシムス・カオス・インフェルヌス・メテオ・ロギア)――』

 真っ赤に染まる富士山頂の火口(かこう)から、滾(たぎ)るマグマが噴き出してくる……――。数多(あまた)の溶岩(ようがん)が天から降り注ぎ、暗雲からは雷(いかずち)が稲光(いなびかり)を落とし、吹雪は巻き起こった――。
 巨大な地震に大地は裂けて大口を開け奈落(ならく)が開口した――。雹雑(ひょうま)じりの吹雪はその身を凍えさせ、マグマが伝う岩肌を凍結させる……。