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ジャンピングジョーカーフラッシュ

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遠藤さくらも、一つに集まってこちらへと向かって歩いてきている、新ヒーロー達四人を見つめる。
 すとん――。と着地し、賀喜遥香も、筒井あやめと遠藤さくらのそばに立ち、歩いてくる四人のヒーロー達を見つめた。
 遠藤さくらの召喚している、黒いスーツ姿の五人も、さくら達のそばで、歩いてくる四人組を見つめていた。
 林瑠奈は、賀喜遥香に握手を差し出した。
「うちは林、林瑠奈いいますねん。あんたらが、マスターのおっしゃってたヒーロー達やろ? よろしゅうな……」
 賀喜遥香は、棒の付いた飴玉をごろん、と違う方の頬に転がしながら、笑みを浮かべて握手に応じた。
「大阪? うちもやん。賀喜遥香っていいます。よろしく」
 矢久保美緒は屈託のない笑みを浮かべて、遠藤さくらに握手を求めた。
「え~~、君、可愛いね~なんていうのう? お名前は~?」
 遠藤さくらは、戸惑いながらも、握手に応じる。
「え、遠藤さくらです……。初めまして」
「初めまして~矢久保美緒で~~す!」
 筒井あやめは、差し出された手に、握手する。
「筒井あやめです」
「佐藤璃果です。よろしく」
「聖来さん雷系?」
 ユウは早川聖来に微笑んだ。
「え……。なんで…、名前知ってるん? あ、そか、マスターか……。えでも、うちら、合流する仲間は三人、て、聞いててんけど」
「あ、あ、あの」
 遠藤さくらは慌てながら、片手でユウ達五人を紹介する。
「この、スーツの人達は、私の召喚した人達なんです………」
「えー、サモナーかい~、レェベル高っ!」
 早川聖来は、愉快そうに驚いてみせた。
 次の瞬間、赤い世界が色を取り戻した――。
 林瑠奈は、大袈裟(おおげさ)に背後に振り返って突っ込む。
「いや今くたばったんかい! んじゃ生きとったんかい今まで……。危な……。ちゃんとしっかり確認せんといかんな、今後は……」
 賀喜遥香は皆の顔を見回す……。
「みんなお疲れさま。とりあえず、近くのコンビニでも探して、休憩しながら情報交換でもします?」
「それもらい、やな」
 林瑠奈はにやけた。彼女はデザイン入りの黒いTシャツにガラパンを穿いていた。
「うん。お腹もすいたし」
 佐藤璃果は微笑んだ。彼女は白いロゴ入りのTシャツに、ジーンズ姿であった。
「さくちゃん、行こ?」
 矢久保美緒は遠藤さくらに手を差し出す。彼女は白い柄入りのブラウンのワンピース姿であった。
 遠藤さくらは黒いシンプルなTシャツにジーンズ姿である。賀喜遥香は黒いキャップの帽子に、黒の個性的な裾の長めのTシャツ、それに黒いロングパンツ姿であった。筒井あやめは、黒いボタンシャツに、ジーンズ姿である。彼女達は任務時のユニフォームにと、この洋服を戦闘用の洋服に決定したらしい。動きやすさがポイントなのであった。
「うちなあ、早川聖来、いいますねん……。レストラン行って、せらずキッチンしたろか? 聖来お料理得意能力の一つやで?」
「うん、とりま今日はいいや。せらちゃんの料理、んマジでうまかってんけどな、今は話し合いに聖来ちゃんもおってほしいわ」
 林瑠奈は真剣な面持ちでそう言った。早川聖来は納得する。
「変身したままでいいやんなあ?」
 賀喜遥香はどや顔で皆に納得を貰う。
「ほな、コンビニ探そや。あそいでな、うちの事は、かっきー、て呼んでや」

 破壊された戦闘現場を後に、変身状態のままで、近隣のセブンイレブンに到着した七人のヒーロー達と五人の召喚獣は、各々の好むドリンクとフードを勝手に手に取り、輪になるように床に座って休憩の時間を設けていた。座るスペースがかなり必要だったので、ユウの能力で三つの長い陳列棚が外へと瞬間転移されていた。尚、全員が変身を解いた後、破壊された戦闘現場も消費されたドリンクとフードも、野外へと転移された陳列棚も、元通りになる。遠藤さくらが変身を解くと、召喚獣である五人の姿も消えてしまうが――。
「ていうかさー……、あと、何人なん? 集まるヒーローって」
 賀喜遥香は、棒の付いた飴玉を口の中で転がしてから囁いた。
「それな。マスターにきいた方が早いんとちゃう?」
 早川聖来はきょとん、とした表情で言った。
 賀喜遥香は空中を見上げる。筒井あやめも、自然と天井近くの空中を見上げていた。皆も宙を見上げる……。
「聞いてる? マスター……。あと何人なん? うちらと一緒に戦う仲間って。あとうちの事、遥香君、ちゅうのやめてぇや。キモい死ぬマジで。かっきー、いうてや」

――●▲■かっきー。みんな、今日の任務は完了だね。お疲れ様。どう、手強かったでしょう? あれは人の恐れの形を借りた、人間の生み出す殺意の塊(かたまり)だよ。伝染病(でんせんびょう)や自然災害(しぜんさいがい)の化身ほどには、まあ手強くない相手だけど、人間の悪の衝動や悪の強欲の化身は、いずれもいつの時代でも厄介な相手だ。気を抜かないように■▲●――

「アホマスター……。質問に答えぇやぁ~……ボケ」
 賀喜遥香は上の方を睨みつけて言った。
 遠藤さくらが、くすん、と笑っていた。
 筒井あやめは、また意識を上方の空間に集中させる。真剣な表情で、DARSのホワイトチョコレートを食べながら……。

――●▲■残すところ、あと九人だ■▲●――

「九人……」
 筒井あやめは呟いた……。
「多いのか少ないのか、微妙なとこやなぁ……」
 賀喜遥香も呟いていた。

――●▲■一人は黒見明香(くろみはるか)。能力は【黒の騎士】と【白の魔導士】。トランスフォーマーと呼ばれる能力者だよ。二人目は、弓木奈於(ゆみきなお)。能力は【言霊士】。ヒプノティストと呼ばれる能力者だ。三人目は松尾美佑(まつおみゆ)。能力は【予言者】。プロペットと呼ばれる能力者だね。四人目は■▲●――

「待って待って、待ちいやちょ……。えぇ? 一人目、クロミいうたんか?」
 林瑠奈は指折り数えながら、表情を険しくしながら言った。
「黒の騎士と、白の魔導士って、どういう能力よ?」
 矢久保美緒は上の方の空間を見上げながら、真剣に発言した。

――●▲■とある発声をきっかけに、剣術に長けた黒い鎧を纏った騎士に変身するのが、【黒の騎士】。発声をきっかけとして、白装束を着た癒し系の魔導士に変身するのが、【白の魔導士】。だよ■▲●――

「このヒーロー能力が、全部、音声入力式なんは、なぜ?」
 林瑠奈は、疑問の座視を浮かべた。
「癒し系だって。それ絶対必要やん!」
 賀喜遥香はあぐらを組み替えて、素直に喜ぶ。
「剣術にたけた騎士、ていうのも強そうじゃない?」
 矢久保美緒は皆の顔を見回すように微笑んだ。
「あ、じゃあ、全員の能、力? ちゃんとさ、把握しとこ? その方がよくないですか?」
 筒井あやめは真剣な面持ちで発言した。DARSのチョコレートを、無表情でこりこりと食べながら……。

――●▲■だから言ってんじゃん。今全員の能力を……■▲●――

「詳しく聞きたいんです!」
 遠藤さくらは、精一杯で発言した。頬に駄菓子を詰め込みながら……。
「クロミさんの続き、聞こう?」
 佐藤璃果は皆にそう言い、天井の付近を見上げた。
「マスター、続き、お願いします……」