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齋 藤 飛 鳥

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「いや、なら浴衣着(ゆかたき)てさ…『あんたの為に着て来たんだからね、…はい、おんぶ!』も今じゃ難しすぎる注文だし、同じくノギビンゴの妄想企画の、『このまま本当にデートしちゃいます?』もヤバいし、ノギビンゴの企画で、猫になった飛鳥ちゃんは、それこそ今じゃやれっていうのは難しすぎる注文だろうな……。猫になって段ボールくぐった後も、くぐる前も、当時ですで溜息ついてたからな、はっは」
 駅前木葉は微笑んだ。
「タマゴボーロ……、もかなり難しい注文ですね、ふふふ、ふ、ふ、ふ……、笑止!!」
 磯野波平はにかっと笑った。
「マウスダイナーの飛鳥っちゃん! パソコンマウスのCMのよう、ネズミ飛鳥っちゃん、過去1じゃね? ヤバさ的に言うとよ」
 姫野あたるは満面の笑みで思い浮かべる。
「小生はあの、犬のもこもこの衣装で歌って踊った、ケータイか何かのCMのあの、ワンワンワンワワン、もヤバすぎでござぁる!」
 稲見瓶は言う。
「バイトルのユニフォーム姿の飛鳥ちゃんも捨てがたい」
 駅前木葉は、高ぶる精神を、深呼吸で落ち着けながら、笑みを浮かべてしゃべる。
「私は、やはり、カップスターの毎月劇場の飛鳥ちゃんさん、ですかね。歴史がありますし、しかも、ドラマ形式でという、貴重すぎる形での歴史です」
 磯野波平はその野性味に整った顔に、懐かしそうな表情を浮かべる。
「俺ぁやっぱり、ヤバかったなぁ~、飛鳥っちゃんの、泣きながらの『神宮ぅ!!』だな、やっぱ!」
 風秋夕はうんうんと深く納得をみせる。
「お前、随所随所で、ちゃんと深いとこついてくるから、ぎり許せるよな……。そういうとこ、大事にしなね。じゃなきゃただの野蛮な猿だからね、あんた」
「誰が猿だねしっけいなっ‼‼」
 風秋夕は皆に笑みを浮かべる。
「おい、なんかさ、なんか、ビールでも呑まねえか? 今日まだアルコール取ってないだろ?」
 稲見瓶は、声で頷いた。
「そうだね、吞みたいかもしれない」
 姫野あたるは極上の笑みで微笑む。
「呑みたくなったでござる、くぅ~」姫野あたるは、込み上げた涙を堪えた。「見事な乃木坂人生! あっぱれ、でござる……。カンパイするでござるよ!」
「飛鳥ちゃんさんに、乾杯しましょう」駅前木葉は、その眼に涙を浮かべる。「イーサン、クリアアサヒを大ジョッキで、五杯、お願いしますね」
 電脳執事のイーサンが、しゃがれた老人大生の声のみで応答した。
 風秋夕は、笑顔で皆を見る。
「なんかかけようぜ? 何がいい? 歴史だからな、今日は」
 『じゃあ、扇風機!』。皆は声を合わせてそう唱えた。

       18

 齋藤飛鳥は半分だけ、眼を覚ましていた。意識のもう半分は眠っている。
 時刻は深夜の二時二十四分を過ぎたところであった。
 稲見瓶は赤らんだ頬をそのままに、無表情で説明する。
「2012年2月22日に、『ぐるぐるカーテン』リリース。飛鳥ちゃんのシングル初選抜だ」
 磯野波平は顔をしかめて言う。
「あれだよなあ? オーディションの後、最初の乃木坂選抜、みてえのがあって、それ飛鳥っちゃん最初落っこちて、次の選抜で、飛鳥っちゃん初選抜入りしたんだよねなあ? 歌出す前の選抜でよぉ」
 風秋夕はにこやかに頷いた。
「そそ。まあバラエティ選抜的なやつな? それこそ乃木どこ選抜だよ。まあ…なんだ、メディア選抜な」
 稲見瓶は様子を見て、言葉を再開させる。
「1枚目は選抜入りを果たした飛鳥ちゃんだけど、2枚目の選抜発表でその名前は無かった……。次に選抜入りを果たしたのは、4枚目の『制服のマネキン』だよ」
「そう」風秋夕は感慨深く声で頷いた。「その次は7枚目、『バレッタ』な。シングル表題7枚目までで、飛鳥ちゃんの選抜入りは3回だ……、深いなぁ、やっぱり」
 稲見瓶は言葉を続ける。
「11枚目の『命は美しい』で、飛鳥ちゃんは4回目の選抜入りを果たすんだけどね。ここまで、飛鳥ちゃんはアンダーと選抜を行ったり来たりしながら、本当に心労を重ねた……。後で改めてその話をしようよ、今はとにかく、ここからの、飛鳥ちゃんの快進撃の話だ」
 姫野あたるは大興奮する。
「12枚目の『太陽ノック』も、もちろん飛鳥ちゃん殿は選抜入り! それどころではござらん! 飛鳥ちゃん殿は11枚目から現在の31枚目『ここにはないもの』まで全曲、選抜入りをするでござる!」
 駅前木葉は耐え切れずに、発言する。
「表題シングル『裸足でサマー』では、初の選抜、表題でのセンターを経験します……、鳥肌が止まりませんね、アンダーの番組を観ればいつもそこにいた飛鳥ちゃんさんが、とうとう選抜の表題センターに輝いた瞬間でした……」
 稲見瓶はにこやかに囁く。
「19枚目の『いつかできるから今日できる』では、なぁちゃんとのWセンターだったね」
 風秋夕はクッションに腕を置いて、にっこりと微笑む。
「舞台『あさひなぐ』の主演を務めた……」
 稲見瓶は頷いて、言葉を続ける。
「そこまでの計算でいうと、2015年にファースト・アルバム『透明な色』。2016年に2ndアルバム『それぞれの椅子』。2017年に3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』がリリースされてるね」
 姫野あたるはクッションを抱きしめてじたばたと脚ではしゃぐ。
「21枚目シングルでまたセンター! その名も『ジコチューで行こう!』でござる!」
 稲見瓶は嬉しそうに、薄い笑みをみせる。
「23枚目の『シング・アウト』でもセンターを務める。飛鳥ちゃんの快進撃は続いて、配信シングル『ルート246』でもセンターを務める、そして、一時的でもあるけど、『アクチュアリー』も美月ちゃんとのWセンターを務めた。うん、そして現在の31枚目『ここにはないもの』も、飛鳥ちゃんがセンターを務める事になる。ここまでだと、2019年に4thアルバム『今が思い出になるまで』。2021年にベスト・アルバム『タイム・フライズ』がリリースされてるね」
 風秋夕は大きく人差し指を伸ばして、にこやかに言う。
「飛鳥ちゃんの最初のセンターは、『海流の島よ』だ!」
 磯野波平は顔をしかめる。
「それいつん時だっけか?」
 風秋夕は答える。
「『走れバイシクル』の時だな」
 稲見瓶はクリアアサヒの入った大ジョッキをテーブルに戻して、煙草を吸いたくなった気持ちを、寝ぼけている齋藤飛鳥を見つめる事で我慢した。
「まあね……、飛鳥ちゃんの参加曲は沢山あるけど、さっき語りかけた通り、ここではアンダー時代の飛鳥ちゃんの参加曲をまず最初に振り返ろうか」
 風秋夕はにやけた。
「OK……。さあ来い、アンダー時代……」
 稲見瓶は、「まず」と、少しだけ抑揚のある声で言葉を再開させる。
「二枚目の時、『狼に口笛を』。2012年だね」
「飛鳥っちゃんいたっけか!」磯野波平は驚いた顔をする。「あれ飛鳥っちゃん、狼だったんかよ! そうだっけか!」
 稲見瓶は頷く。
「3枚目、『涙がまだ悲しみだった頃』も、飛鳥ちゃんのアンダー参加曲だね」
 風秋夕は、寝ぼけて呆然としている齋藤飛鳥を一瞥して、うっとりと微笑んだ。
 磯野波平は会話に興奮している。
「涙がまだ悲しみだった頃のMVで、飛鳥っちゃん、目立ってたよなあ?」
作品名:齋 藤 飛 鳥 作家名:タンポポ