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ズッキュン‼‼

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「すねたくぅちゃんも見てみたいけどね。きゅんだわ。はいイナッチ、てれさパンダ~?」
 稲見瓶は答える。
「発見」
「楽しんでる?」
「かなり」
 池田瑛沙は小川彩にその笑顔を向けた。
「あーやの、長くてあれ、なかなか覚えらんないやつ、やって……」
 小川彩は時間を気にしながら、苦笑した。
「えーやだ……。てか、もう帰らないとかなりヤバい……。お母さんに怒られちゃう」
 風秋夕ははにかむ。
「お母さんに怒られちゃう世代って、可愛すぎんか? あー今の、か~なり可愛かったなー……。俺の今までの可愛いランキング、2位ぐらいかもな」
 冨里奈央は興味深そうに微笑んだままで、小首を傾げて風秋夕にきく。
「1位は? なんです?」
「1位はね、骨折った事ある? だね」風秋夕は上品に笑みを浮かべた。「飛鳥ちゃん。ハマスカ放送部での一言。が今んとこ1位かな。可愛すぎん? 骨折った事ある? て質問……、かわちい!」
稲見瓶は無表情で囁く。「あるね。右脚の中指を折った。あれはサッカーの部活中で」
 風秋夕は笑顔で言う。「うん聞いてない。はい、ひめなじゃなくて~?」
 稲見瓶はすかさずに答える。「ひな~」
 風秋夕は嫌そうに稲見瓶を見つめた。「楽しいのそれ?」
 稲見瓶は頷いた。「かなりね」
 磯野波平はでかい声で『せえ~~のぉっ‼‼』と、菅原咲月に微笑んだ。
「え、」菅原咲月は、慌てふためきながらも、答える。「さ、さ~つきちゃ~ん……」
「は~~あ~~い~‼‼」磯野波平は元気よく答えた。
 風秋夕は嫌そうにそちらを一瞥する。「逆でしょうが、そこは……。あんたが返事してどうすんのよ……」
 姫野あたるは必死に拝み倒していた。
「な、ならば、小生の変顔で笑ったならば、お願いしますでござる‼‼」
 井上和は、少しだけ考えてから、苦笑した。
「いいですよ。なんか、私に得はないんですけど……、たぶん笑わないと思うんで」
「そうでござるか! うむ、感謝するでござる。では、変顔でござるな。いくでござるよ?」
「はい」井上和は冷静に、姫野あたるの顔を見つめた。
 姫野あたるは、眉(まゆ)を顰(ひそ)めて眼を極限にまで見開き、上唇(うわくちびる)を強烈に吸い込みながら、その上唇に舌(した)を当てて、上唇を強烈に吸い込んだまま、下唇(したくちびる)を人差し指と親指で引っ張り下げた……。
 井上和は眼を大きく開けて、『……っふ』と笑った。
 姫野あたるは変顔を解除してばんざいをする。
「やったでござる~~‼‼ は~いやるでござるよにゃぎ殿~‼‼」
 風秋夕と稲見瓶は騒がしいそちら側を一瞥する。
「なんだ? キャバみてえなノリしちゃって……」
「そういえば、最初はパーで、かっきーがキャバクラ46か、というセリフがあった……。あれはかなり面白かったね。面白いのは、この秘密を共有してる人に限られるだろうけど」
 岡本姫奈は純粋な子供のような笑顔ではにかんだ。
「これからやるんです、和が……。例のあれを」
「え!」風秋夕はすぐに話題に飛びついた。「あれ! やるの!」
 井上和は首を項垂れるようにして、苦笑を強いられていた。
 奥田いろは笑顔で言う。
「え、撮影とか、あり?」
「な~し!」井上和はむくれて言った。「ていうか、ほんとやめて」
 冨里奈央はそちらを見つめて怯えている。磯野波平が、胸元のボタンを外して、胸筋を自慢げに『どうだね?』と冨里奈央に見せていた。
 五百城茉央は、磯野波平の腕をひっぱった。
 磯野波平は五百城茉央を見つめる。
「やめてあげて……」
 磯野波平は、その五百城茉央の弱い笑みに数秒間見とれてから、『やる気~~?』と叫んだ。
 五百城茉央は、苦笑して、冨里奈央を一瞥してから、また磯野波平を見つめて言葉を返す。
「げん、き~?」
 磯野波平は右腕の上腕筋を折り曲げる事で強調させて、巨大な笑みを浮かべた。
「僕! 五百城っ‼‼」
 風秋夕は声に反応する。
「だからそれは五百城ちゃんのセリフでしょうが……、なんであんたが言うの……」
「はい、にゃん、にゃん、にゃぎ~……」
 井上和はその必殺技を披露して、顔を横に伏せて苦笑した。
 風秋夕は驚愕する。
「や、見逃した‼‼」
 稲見瓶は満足げに拍手する。その表情は無であるが。
 姫野あたるは大きく手を打って大はしゃぎする。
「にゃんにゃんにゃぎ、バンザ~イ! でござるの巻~‼‼」
 磯野波平は真剣な表情で小川彩を見つめた。
「なああーや、時間ヤベえだろ……。送ってくからよ、な? 家、教えてくれな」
 風秋夕は激しく激昂する。
「そういうの禁止っ‼‼ な、じゃねんだよなじゃ‼‼」
 池田瑛沙は、いつの間にかカラになっているカフェ・ラテの器を見て驚いた。
「あれ……。カフェラテが無い……。無くなってる……。あの、誰か飲みました?」

       13

 二千二十三年二月十二日――。夕食を取り終えた乃木坂46三期生と最後の一期生でもあり、二代目キャプテンでもある秋元真夏は、〈リリィ・アース〉の驚異的な面積を誇る巨大空間であるエントランスフロアの、東側のラウンジにて、小休憩を設けていた。
 尚、三期生で、伊藤理々杏だけは、これから生配信を控えているというスケジュールの都合上、その場にいなかった。
 岩本蓮加はカフェラテを飲みながら、久保史緒里を一瞥した。
「ばちぼこ久保ってるらしいよ、今日のダーリン。えてか、久保ってる、て何?」
 久保史緒里は、苦笑しながら答える。
「めちゃめちゃついてないって事よ。へえ~あそうなんだ、どうしたんだろうね、ダーリン……。え、誰から聞いたの? ダーリンと、ラインとかしてないよねえ?」
 岩本蓮加は苦笑した。
「しーないよ。さっき夕君がライン見ながら言ってただけ」
「わわ、なんか来た‼‼」
「えっ、えっ、怖い怖い‼」
「誰誰っ‼」
 短い悲鳴が上がった為に、秋元真夏は納豆餅を食べながら、そちらを一瞥した。
「んんんっ‼‼ んん、ん~ん‼‼」
 秋元真夏同様、三期生の皆も各々が個性的な驚きを表していた。
 風秋夕は、眉間(みけん)を顰(ひそ)めた……。
 東側のラウンジへと近づいてくるのは、姫野あたるであった。
 磯野波平は、まじまじと姫野あたるの顔を睨みつけながら「つか、誰だお前は?」と呟いた。
「いやいや、姫野あたるでござるよ……、皆がダーリンと呼ぶ男でござる……」
 呆気(あっけ)にとられ始めた皆を尻目に、姫野あたるは、稲見瓶が空けた、稲見瓶と風秋夕の間の席にて着席した。
 山下美月は、笑みを浮かべたまま、呆然と姫野あたるを見つめている。
 与田祐希は「え、そういう人だっけ?」と笑っていた。
 風秋夕は、隣に座り込んだまま、情けない顔で己を見つめてきた姫野あたるをまじまじと見つめて、囁く。
「ようダーリン……。なんつうか、その……、見ない間に、ずいぶんと……、青いな」
 姫野あたるの顔面は青い油性塗料がべったりと張り付いていた。
「現場でペンキ職人が、梯子(はしご)からペンキを落としたでござるよ、しかも下で警備していた小生の頭の上に!!」
 梅澤美波は眼を見開いて姫野あたるを観察しながら言う。
「とれないの? 顔、洗った?」
作品名:ズッキュン‼‼ 作家名:タンポポ