ズッキュン‼‼
オーバーチャーが流れる――。
ピンクの蝶が飛び回っている……。それは、会場中に……。
外周から、乃木坂46が登場した。先頭を歩くのは、梅澤美波――。
メインステージからは、秋元真夏が、紫の光を真っ二つに割り、登場した――。
秋元真夏は笑顔で言う。
『乃木坂46秋元真夏、卒業コンサート、スタートです!』
『ぐるぐるカーテン』が秋元真夏のセンターで始まった――。初めて見るピンク色のロングドレス……。ステージで輪になる乃木坂46――。バックスクリーンにはいつかの乃木坂46の姿が――。
『おいでシャンプー』が始まった――。久しぶりにオーディエンスのコールである『ダメダメダメ!』と秋元真夏の『皆さんのハートに、ズッキュン‼‼』が見れた。
『走れバイシクル』が始まる――。左右の外周に並んで歌って踊る乃木坂46……。激しいコールが続く――。
秋元真夏のトークが始まる……。
「まなったん、しょっぱなから泣き泣きかと思いきや、しっかりしてるな」風秋夕は笑顔で稲見瓶を一瞥した。「最後だなんて、まるで嘘だな」
「うん」稲見瓶は、巨大スクリーンに眼を釘づけたままで言う。「まるで、本当に嘘みたいだ、こんな日が来るなんて……。嘘でもいい」
「何言ってんだ無表情」磯野波平は、呆れたしかめっ面で溜息を吐いた。「最終回のねえ漫画ほど最悪なもんはねえだろうが……」
「来栖ぅ……」天野川雅樂は、涙をぬぐった。「俺は、泣き虫なのか……」
「えっへへ、泣き虫でいいじゃ~ん」来栖栗鼠ははにかんだ。「その方が、男前だよ」
「まなったんさん……」駅前木葉は、涙を堪えて囁いた。
「始まっちゃったわね~」宮間兎亜はにんまりと微笑む。「なに、もうあんた泣いてんのう?」
「真夏さん、笑っていますね……」御輿咲希は、弱々しく微笑んだ。
「比鐘殿……、小生達の人生を照らし続けたお人の、卒業式でござる……」姫野あたるは、秋元真夏を見つめながら言った。「精一杯、叫び、コールし、泣き笑おうじゃないか! でござる!」
「はい!」比鐘蒼空は、大きな声で答えた。その眼は秋元真夏を放さない。
セーラー服にチェンジした乃木坂46が激しく踊る――。フラッシュが明滅し、スモークが上がる……。大きな炎の爆発を皮切りに、『制服のマネキン』が秋元真夏のセンターで始まった――。
バックスクリーンで、かつての乃木坂46も舞い踊る……。
次は、ずっと憧れだったという楽曲が始まるらしい。
『ガールズルール』が秋元真夏の煽(あお)りと共に始まった――。『真夏の恋して、卒業していく』という歌詞の部分も、暗黙の了解で秋元真夏が映し出された。巨大なクジラが宙を自由に泳ぎ回っていた。
『太陽ノック』が秋元真夏の煽りから始まる――。外周からメインステージへと戻り、彼女達はステージいっぱいに広がってパフォーマンスした。
秋元真夏を筆頭とした『改めましてこんばんは、乃木坂46です』――。
梅澤美波がMCでトークが始まる。
メンバー達は思いを語った。
VTRが流れる。ナレーションは種﨑敦美であった。次の楽曲は、秋元真夏、初披露だという――。
『バンドエイド剥がすような別れ方』を秋元真夏と菅原咲月のWセンターで開始する――。5期生と、最後の1期生が共闘しているその姿は、永久にファンの心に焼きつくだろう――。
『ジャンピングジョーカーフラッシュ』が秋元真夏と筒井あやめのWセンターで開始される――。4期生と最後の1期生。共に弾けるように弾み、踊った――。
『僕の衝動』が秋元真夏と伊藤理々杏と与田祐希によって開始される――。外周を歌い歩きながら、徐々に集結していく3期生。最後には、メインステージに集結し、曲の中盤では、岩本蓮加と秋元真夏が抱き合うシーンも見られた。
秋元真夏の本気のダンスを魅せて下さい。と、伊藤理々杏が懇願し、秋元真夏はソロダンスを披露し、ラスト、秋元真夏と伊藤理々杏は数秒間の決め顔を披露した。
VTRで秋元真夏は語る。ユニットに己の名前があると何よりうれしかったと――。
続いては、かつて女子高カルテットと呼ばれていたユニットの楽曲です……。
『口約束』が秋元真夏のセンターで開始する――。秋元真夏、吉田綾乃クリスティー、佐藤楓、金川紗耶、林瑠奈、柴田柚菜、弓木奈於、の七人でこれを歌った。
VTRが流れる。こういうのを見たかった――と、そのユニットを見た時に感じたと、秋元真夏は語る。可愛い曲を踊るとなった瞬間に、アイドルスイッチがパチンと入るという。
この曲を歌うのに、同じモチベーションにきてくれそうな二人を選びました。
『ごめんねスムージー』が秋元真夏のセンターで始まった――。歌うメンバーは、秋元真夏と阪口珠美と田村真佑である。可愛らしいピンクと紫とオレンジのドレスを振り動かして、可愛らしさの結晶体はにこやかに笑顔という名の幸せを振りまいた――。
VTRが流れる。続いての楽曲は、ずっと昔から憧れの曲だという。最後にかっこよく決めたいなと思います――。
『魚たちのラブ・ソング』がマグロに扮した秋元真夏によって開始された――。歌唱メンバーは、カクレクマノミの筒井あやめ、タコの山下美月、カマキリの黒見明香であった――。背景は海底である。実に秋元真夏らしい演出であった。
VTRが流れる。言葉だけでは説明できないものが選抜発表にはあるなと思うと秋元真夏は語る――。次は、かなり昔のアンダー楽曲になるという。秋元真夏が乃木坂46になって初めて振り入れをした楽曲――。
二曲歌います。続いての曲の印象は、カッコ良さに心掴まれたと彼女は語った。
『涙がまだ悲しみだった頃』が秋元真夏のセンターで開始される――。チェックの格子柄と赤のスパンコールが印象的な衣装で、彼女達は初々しかったその楽曲を卓越したパフォーマンスを持って再現した。
『アゲインスト』が秋元真夏のセンターで始まる――。洗練さたダンスが誇りと気高さを覚えさせる――。特大のコールが響いた……。
ありがとうございます――。伊藤理々杏のMCでトークが始まる。秋元真夏が感想を述べた。そして、誇り高き乃木坂46の大黒柱であるアンダーズメンバーが秋元真夏への想いを語った。
VTRが流れる。乃木坂は、個々というより、団体で魅せるパフォーマンスをしてきたのかなと思うと秋元真夏は語る。
乃木坂を語る上では、次の楽曲は外せないと語った。一曲は、白石麻衣のポジションで、一曲は、西野七瀬のポジションだという。
続いての二曲は、レコード大賞受賞曲――。
『インフルエンサー』が激しい炎の爆発と共に、秋元真夏と遠藤さくらのWセンターで始まった――。
「インフル~! やっぱインフル~って感じだなあ!」風秋夕は大きな笑顔でサイリュウムを大きく振った。
「やっぱり凄い……」稲見瓶は硬直する。「この興奮は、乃木坂のカラーそのものだね……」
「赤と桃色の衣装で!」天野川雅樂は興奮する。
「まなったんとさくちゃんは桜色だね~!」来栖栗鼠は楽しそうに笑った。
「まなったんとさくちゃんのWセンターかよっ‼」磯野波平は、ファンタをごくごくと飲んだ。「ぜんっぶ汗で出てっちまう!!」