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ズッキュン‼‼

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駅前木葉は、興奮に涙を隠せずにいた。「凄いです、まなったんさん……」
御輿咲希は、我を忘れて圧倒されている。
宮間兎亜は今日、初めての涙をぬぐった。「ヤッバいの見してくれんじゃないのぉ~……、まなったぁああぁんっ‼‼」
「忘れぬ、絶対に、忘れぬっ‼‼」姫野あたるは、般若のような極まった顔面を泣かせていた。
「凄い………」比鐘蒼空は、それ以上の言葉が出てこなかった。唾を呑み込む。「……」

 『シンクロニシティ』が静かなる旋律の中、秋元真夏のセンターで始まった――。火花が立ち昇る――。

「まなったぁぁぁん‼‼」風秋夕は全力で叫んだ。
「夕も本気だね」稲見瓶は、にやける。「じゃあ俺も……。まなっ…っ、」
 その巨大で壮絶な大声に、稲見瓶は声をしまい、風秋夕は大笑いしながらすぐにそちら側を見つめた。
「まああなったあぁぁぁーーーんんっ‼‼」
 それは、磯野波平の大声であった。
「会場が赤いサイリュウムに染まってる~!」来栖栗鼠は大興奮する。
「なんっか……、くっ」天野川雅樂は、下を向いて、泣いた。
 駅前木葉は感動して、声を無くしている。
 御輿咲希も、感涙しながら声をしまっていた。
「まなったん! 可愛いわよぉ‼‼」宮間兎亜は嬉しそうに叫んだ。「さいっこうっ‼‼」
「まなったん……」比鐘蒼空は、見事なまでのその最高のパフォーマンスに、また言葉を失った。
 姫野あたるは強く見つめる……。


スペシャルサンクス・乃木坂46合同会社


 『好きというのはロックだぜ!』が賀喜遥香の煽りで、秋元真夏とのWセンターで開始された――。会場の外周へと走るメンバー達。タオルを回し、オーディエンスは大コールする――。宙を泳ぐ海洋生物とスポットライト――。賀喜遥香は叫ぶ『真夏さん大好きーーっ‼‼』――。最後、秋元真夏と賀喜遥香は笑顔で抱き合った。

 『帰り道は遠回りしたくなる』が秋元真夏のセンターで始まった――。
 過去がどんなに眩しくても、未来はもっと眩しいかもしれない……。風秋夕は、唇を噛みしめながら、涙を浮かべてそう口ずさんだ……。

 磯野波平は、風秋夕のその言葉に、ふいに顔を険しくしかめて、歯を食いしばる。
 巨大スクリーンの、秋元真夏を見つめた……。

 マイネームイズ、ハンサムキング……。ディア、セクシープリンセス……。
 俺ゃあ、頭は良くねえよ。でもなあ、犬だって別に頭なんて良くねえべ?
 けどよ、犬だって飼い主や恩人に対して、感謝とか忘れねえじゃねえか。
 じゃあ俺だってそうだ……。まなったんが世界一好きだ……。こんな馬鹿な俺にもズッキュンを届けてくれた、そんなまなったんが世界一好きだ……。
 未来がどんっなに、眩(まぶ)っしくても……。過去も、おんっなじぐれえに、眩っしいまんまだぜ……。
 愛なんて言葉、信じてもなかったけどよ……。どうやら、愛ってえのが、この気持ちにゃあしっくりくるみてえだわ。
 愛してっぜ、まなったん――。
 宇宙がな、木端微塵になってもよ。
 空なんて真っ暗になっちまって、例えそれが落ちてこようともよ……。

 磯野波平は、顔を腕で隠しながら、嗚咽で跳ね上がる肩を我慢させる……。

 この世がどうなろうが、ファンはまなったんのそばにいるし、絶対にまなったんを守るもんだ。俺も、そのファンん中の1個だぜ、まなったんよう……。
 なんたって、まなったんと俺らファンは、結婚してっからな。
 んんじゃあ、一生一緒だな。
 愛しててもいいか、ずっとよう。
 なあ、まなったん……。
 大好きだぜ……。
 一回、さよならか……。
 じゃあな、俺の初恋――。

 磯野波平は、顔を片腕で隠したままで、「おめでとうな、まなったん」と、震える声で微笑んだ。

 『最後のタイトハグ』が秋元真夏のセンターで歌われる――。花びらが舞い上がっていく……。


スペシャルサンクス・秋元康先生


 VTRが流れる――。秋元真夏は生田絵梨花を語る。私の卒業を支えていたのは生田絵梨花であったと語った。
 この後披露するのは、ずっと憧れだった楽曲だという。
 そして二曲目、戦う二人がテーマの楽曲だという。

 『言霊砲』が秋元真夏、与田祐希、山下美月、久保史緒里によって歌われる――。バックスクリーンにて、三人への秋元真夏からの手紙が映し出されていた。そして、メンバーから秋元真夏への手紙が……。歌の歌詞も、秋元真夏への歌詞へと最後、変換されていた。実に涙に包まれたステージであった。
 『忘却と美学』が秋元真夏と梅澤美波の受け継がれるキャプテン・ユニットで歌われた――。間奏中、秋元真夏は梅澤美波へとエールを贈る。抱き合って曲を追える二人は、そのままトークへ……。

 あまりに素敵な人すぎて、隣にいるのが恐れ多いぐらいだったんですけど、引き継いでいきたいと思います……。
 桜井玲香、二代目、私、三代目、梅澤美波。ここのポジションについた人にしかわからないつらさもあると思うけど、楽しさもあるから――。がんばって下さい――。

 次の楽曲、秋元真夏は、二人で歌いたいという。そう、大好きなメンバーと――。

 『大嫌いなはずだった』秋元真夏と、鈴木絢音は、声を泣かせたままで、これを歌い始めた――。外周をゆっくりと歩きながら、純白のロングドレスを揺らしながら、二人は掛け合うようにして、この楽曲を精一杯の笑顔で歌って、泣いた――。
 鈴木絢音は、『今まで、本当にありがとうございました』と、花束を手渡した……。

 ご卒業、本当におめでとうございます――。

 これからも、大好きです――。

 鈴木絢音は、涙を堪えたまま、声を上ずらせたままでそう伝えた。

 秋元真夏は、微笑んだ。『ありがとう――』。

 二人は最後、メインステージで抱き合った――。オーディエンスに背中を向けて、涙をぬぐう秋元真夏は、振り返ってから、屈託なく微笑んでみせた。

 姫野あたるは強く強く、秋元真夏を見つめる――。

 最近、何をしていても自然とやっていた『ちゅ』をやらないでござるな……。
 最近、『よいしょ』を言わなくなったでござるな……。
 最近、強がりを言わなくなったでござるな……。
 なんだってわかるさ……。君を、ずっと好きでいたんだから――。
 僕はたぶん、本当の暗闇を知っている……。そして、同時に、本当の光の在りかも知っている……。
 いつか、君がやった『ズッキュン‼‼』で、僕のハートには穴があいたままなんだよ……。それは、ハート形をすいた、恋の穴だ……。
 なんだろうね。最後の瞬間を、何度も見つめてきたのにね……。
 またこんな気持ちになってる。
 それはそうだよね、まなったん。
 だって、君の卒業式は、これが最初で最後なんだから――。
 伝えなきゃいけない言葉がある。
 伝えなきゃいけない言葉が、溢れてくる……。
 だけども、僕はそれらを全部、うまく言えなくて、大好きやありがとうの色をしたその言葉たちを、君に相応(ふさわ)しい、気高く美しい形にできないや……。
 まなったん、平凡な言葉でもいいかな……。
 かっこよくも綺麗でもないありきたりな言葉でもいいかな……。
作品名:ズッキュン‼‼ 作家名:タンポポ