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にゃんこなキミと、ワンコなおまえ5-1・2

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「無我夢中で大好きだ幸せだって気持ちを与えて与えられるセックスは、手間取ろうがうまく快感が拾えなかろうが、頭と心が、ずっと気持ちいい。この奥に、ずっと残るんだ。十年経っても、きっと二十年、三十年経っても、それこそ思い出すたび一生『あぁ、あのときはあんなセックスしたな。幸せだったな』って笑える。気持ちよかったなじゃねぇぞ。頭と心が、ずっと幸せを覚えてるんだ。あのさ、性欲処理でしかなくてもセックスはセックスだけどよ、快感だけに支配されずに幸せだって笑えるなら、それはメイク・ラブって言うんだよ。どれだけ傍目にゃみっともなかろうが、笑い話になろうが、気持ちいいだけのセックスじゃないメイク・ラブなら、ずっとずっと気持ちいい。そういうのが、おまえらにはあってるよ」
 語る声音はやわらかく、けれども常に飄々とした態度を崩さない宇髄にしては、真剣そのものなひびきをしていた。
 思い出しては、幸せな時間だったと笑えるセックス。メイク・ラブ。じんわりと胸に染み込んでいく宇髄の言葉に、杏寿郎は、コクンと小さく喉を鳴らした。

 もしかして、宇髄もそういうセックスをしたことがあるんだろうか。今も、幸せだと笑えるんだろうか。

 問いかけは喉元でとまり、杏寿郎は、浮かんだ疑問をそのままそっと飲み込んだ。
 根掘り葉掘り聞いてどうする。気心知れたといっても、なにもかも余さず伝え合わねばならないなどという道理はない。筒抜けなのは致し方ないにしても、宇髄たちが無理に聞き出そうとしてこないのと同じように、杏寿郎だって、宇髄たちが心に秘めた想いまで暴こうなどとは思わないのだ。
 杏寿郎の顔にも自然と真剣な色が浮かぶ。コクリとうなずいた杏寿郎を見つめる宇髄の目は、やっぱりやさしい。
 そっと触れてみた自分の胸から、鼓動がトクトクと掌に伝わってくる。この心臓が刻むのは、義勇が好きだ、大好きだと訴える、恋の音。抱き合う日がきたら、きっともっと大きく強く。

 一生この奥に残る、愛を作りあう行為。
 義勇と睦み合うなら、そういうのがいい。そういうのだけが、いい。

「あの……宇髄。一つだけ、聞いてもいいだろうか」
「んー? なによ」
「その、一生モノなそういう行為は、一度きりなんだろうか。俺は、義勇とは一生ずっと、そういう気持ちで抱き合いたい。一生モノの幸せなメイク・ラブというのは、何度ここに残せるんだろうか」
 少し気恥ずかしく、けれどもまっすぐ宇髄を見つめて問いかけた杏寿郎に、宇髄はパチリと一つまばたきした。すぐに秀麗な顔は破顔し、宇髄は明るく、たとえようもなくやさしく、断言してくれた。

「心配すんな、俺さまが派手に太鼓判押してやる。おまえと冨岡なら、一生モノの愛をずっと作りつづけられるさ。俺さまが約束してやんよ」