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トキトキメキメキ

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 山下美月は座視で呟(つぶや)く。
「任務優先しろって、言いまくってた人は誰でしたっけ……」

――●▲■誰それ。さあレビィアタン退治に出発進行!! それゆけ、イケイケ僕の夢のヒーロー達! おのが信念を貫いて、本当にその夢を叶えちゃえ!!■▲●――

       12

 青海にもしも主や怪物がいるのであれば、それは間違いなく弱肉強食の生存競争に劣らぬであろうこの海の大海獣、黒く渦巻く漆黒の大海蛇、レビィアタンだろう――。
 その全長は約33000フィート、地上で直立すれば、航空機が飛ぶ高度にまでその巨躯は達する。
鱗は編み込まれた鋼のように木目細かく、手脚は無く、三俣(みつまた)に割れた巨大な尾と、巨大すぎる渦巻く胴体と、数百本の鋸歯(のこぎりば)が生えた引き裂けた黒色(こくしょく)の唇(くちびる)のある大口と、コモドドラゴンと鰐(わに)を合成合体させたかのような凶悪な爬虫類の頭部を持った大海蛇の怪物。
 それがレビィアタンであった――。

 東京湾の海面に浮かぶ怪しげな大きすぎる黒影が、うねりを渦巻きながら崩壊したレインボーブリッジにまで高波を荒立てている。
 崩れたレインボーブリッジにて、ガトリングガンを二機・機銃装備している吉田綾乃クリスティーは、レビィアタンが浮かび上がってくるその瞬間を、恐ろしく渦巻く黒い海面を見つめながら只管(ひたすら)に待っている。その制服はところどころが赤い鮮血に染まり、肌にも深手といえる傷口がいくつも開いていた。
「もう二時間も戦ってるのに……、ふえ~ん、四万発以上食らわしてるんだよ? これって、効いてるの?」
 疲労しきった吉田綾乃クリスティーは、疑問の表情で、岩本蓮加を見つめた。
 崩壊したレインボーブリッジの柵の外側に陣取る蓮加は、傷だらけの満身創痍をものともせずに、下を覗いたままで、小首を傾げた。
「ASP効いてなさそうだったから……、ASP水中銃の、水中銃弾あんじゃん? 最初撃ってたやつ……。あれやめて、もうずっと蓮加フルメタルジャケット……。え吉田は?」
「私ずっとエクスプローラー……」吉田綾乃クリスティーはガシャンと、500キロ以上あるガトリングガンを軽々と持ち上げて鼻を掻いた。「炸裂弾……、うげ、鼻血だ」
「でも、この作戦しかなくない? 麗乃ちゃんの能力が言った作戦なんだし……」
 蓮加はそう言って、また覗くだけでも戦慄(せんりつ)に背筋が凍りそうな巨大な黒い影が蠢(うごめ)く海面を見下ろして、中村麗乃の提案した作戦を思い出していた……――。


――二時間前――


 中村麗乃は【頭脳王】の能力を発動して、約0.5秒でその作戦を思いついた。
「まず、綾てぃーが【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】の能力で、みんなと通信しながら、火薬が濡れちゃいけない蓮加と一緒に、レインボーブリッジで待機、海面に蛇が現れたら、一斉射撃しながら、綾てぃーはとにかく【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】で蛇の動きをみんなに通信!」
 吉田綾乃クリスティーは海の方を見ないように、その場にしゃがみ込みながら「は~い」と小さく手を上げた。
 中村麗乃はてきぱきと与田祐希を指差す。
「与田と梅ちゃんと史緒里と美月と葉月とたまちゃんは、与田の【神の子】の能力で呼ぶ雷雲に乗って、広範囲に浮遊しながら、蛇が浮き上がってくるのを待つ。与田、できるよね?」
 与田祐希は「あ、うん、うんたぶんできる」と焦りながら答えた。
 中村麗乃は作戦説明を続ける。
「でんは【機械の身体(サイボーグ)】で水中から攻撃、なるべく腹の部分に刀で攻撃ね! 理々杏は【幻獣憑依】で水属性のポケモンの能力に変身して、水中、また水面から蛇を攻撃! その間、与田はとにかく雷雲から、特大の雷で海ごと、蛇に電撃を食らわせて! その度に、たまちゃんは【才能変化】の能力で、理々杏とでんの属性を、電撃耐性のある属性に変える。いい? できる?」
 与田祐希はにこり、と親指を立てた。「やるよ」
 阪口珠美は海の方を見て、その戦慄に身体を硬直させている。「まさか、あのでかいのが相手じゃないよね……。え、海のサイズじゃんだって……」
 佐藤楓は小首を傾げる。「何分、っくらい、一気に潜ってられんだろう……」
 伊藤理久々杏は腕組みをして考えながら、気がついたように、強いの笑顔で親指を立てた。「OK、でも、何をどうするかだな~……」
 中村麗乃は作戦説明を再開させる。
「葉月は、雷雲の上から、状況をみながら【猛獣使い】で理々杏に直接戦闘指示を出して、できるよね?」
「はい」向井葉月は微笑んだ。それから、驚く。「わわ、なんか海が今盛り上がったけど……、うっそ!! あんなに……、でかいのぉ? 聞いてない聞いてなぁい‼‼」
 中村麗乃は海を一瞥してから、その顔を驚愕させながら、なんとか、言葉を続ける。
「も……、桃子は、【式神】の上から、独自に動いて、水の中にも攻撃、海蛇が海面から飛び出してきてからも攻撃、OK?」
「はい!」大園桃子は誠実に、海の方を見ないようにして頷いた。「式神さん達、お願いね……、もう少しだけだから……」
 中村麗乃は強い視線で山下美月を見つめる。
「美月が要(かなめ)……、海中からの、でんと理々杏と、桃子の【式神】と与田の雷で、たまらずに海面へと飛び出してきた海蛇を、美月の【発火能力(パイロキネシス)】の炎で丸焼きにする。できるね?」
「わかった~」山下美月は、にこり、と力こぶを作ってはにかんだ。それから、海の方を見て、その表情を驚愕させる。「え、えええ、え……、でかいとかの問題じゃ、なくなぁい? え怖いんですけどぉ~~……。燃えるか?あんなん……」
 中村麗乃は、阪口珠美を、梅澤美波、久保史緒里と、見つめていく。
「たまちゃんは…、美月が火で蛇を焼く時も、蛇の属性を燃えやすい属性に変え続けて……、手応えがあるまでずっとだよ? たまちゃんの【才能変化】は成功率が七割の確率だから、体力は削られていくだろうけど、何度も試して!」
「おけ!」阪口珠美は海の方を見ないように、微笑んだ。「り」
 中村麗乃は作戦説明を続ける。
「ビーストテイマー中の葉月は、時々【トムとジェリー】で、蛇を海からおびき出して。その場合は、雷雲で高く跳び上がってからか、逃げ回りながらやらないと、丸のみにされるから気を付けて」
「え~、丸のみってえぇ……」向井葉月は、海の方を指差して、苦笑する。「やるよ……。あれ相手に、鬼ごっこって……、か~なり無理あるけどね……」
 中村麗乃は、梅澤美波と久保史緒里を見つめる。
「梅ちゃんは、【空扉】を活用する事、史緒里と一緒の雷雲に乗りながら、史緒里は、とにかく蛇が海から顔を出しそうな【神の言葉】を使う! 綾てぃーの【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】で通信しながら、梅はたまに【空扉】でみんなの雷雲や【式神】、レインボーブリッジの上に様子を見に行って……。史緒里もつれてって、史緒里の【神の言葉】は成功率が半々、防御面に不安ありだから、それは梅が守ってあげて」
「おっけえ!」梅澤美波は気合を入れた。「久保、やるよう!!」
作品名:トキトキメキメキ 作家名:タンポポ