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トキトキメキメキ

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「やるしかないんだよね……」久保史緒里は、梅澤美波を見つめて、海の方を見ないようにしながら、弱く笑みを浮かべた。「神の言葉が、本当の意味で力を発揮できる瞬間を、作ってみせるから……、それまで守ってね梅!」
「おうよ!! てかずっと守るよそりゃ! 仲間だろ!」


――今現在――


 20メートル以上の水柱を打ち上げながら、海面から蠢(うごめ)く巨大な漆黒の塊が上空へと立ち昇った――。
 吉田綾乃クリスティーの【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】が通信する……。

「美月が火ぃ出すよ珠美っ!!」

 阪口珠美は、【才能変化】を発動させる。
「ハァ~、ふう。レビよ木属性になれぇぇ‼‼ ハァ」
 レビィアタンの悍(おぞ)ましい巨躯が瞬間的な光を帯びた――。
 山下美月は傷ついた腹部を左手で庇いながら、汗を振り撒きながらレビィアタンの巨躯へと開い右手を圧縮させる。
「あきらめない‼ 私達は夢を叶えるしっ、今はこの世界を守護する立場のヒーローっ、私達はお前の悪を許さないしっ、負けない負けるもんかぁぁ‼ 絶対にあきらめないっ‼‼ あぁきらめてぇぇぇ、たぁぁまるかぁぁぁ燃え盛る紅い鳥(フラミンゴ)ぉぉぉーーっっ‼‼」
 大爆発の中から紅蓮の火炎が濛濛(もうもう)と空へと駆け上がる――。
 爆発する煙幕の中、レビィアタンはその獰猛な蛇の顔面を、山下美月へと向けて静止した。
「ハァやば……ハァ、こっち見てる?」
 山下美月は、崩れ落ちるようにして雷雲に片膝をついた。
 崩壊したレインボーブリッジから吉田綾乃クリスティーの【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】で通信が飛ぶ。

「美月がヤバいみんな、誰かどうにかしてあげてっ!! こっちも撃てるだけ撃ってるけど、全然びくともしないのっ!! あ、与田がカミナリやるよっ‼‼」

 久保史緒里は【神の言葉】を顕現する――。
「ハァ、海にいる佐藤楓と伊藤理々杏に、雷が届きませんようにっ‼‼ ハァ」
 海面が一瞬だけ光を発した――。
 与田祐希は眼光を鋭く突き付け、振り上げた指先をレビィアタンへと振り下ろした――。
「最高神雷帝次男乃正義(オブサイクロ・カーラ・アンテチェイッサー)ァァっっーーーっ‼‼ 美月逃げてぇぇぇーーーっっ‼‼」
 ズカカガガガドドォォン――と迸(ほとばし)る閃光が電光石火で幾重にも束ねられて、空気中に姿を現した巨大な海蛇を焼き殺そうと襲いかかる。その落雷は止まらない――。
「ハァ、今のうちに、梅ちゃん、美月を隠してっ‼‼」
 与田祐希は雷攻撃に意識を集中させたままそう叫んだ。
 吉田綾乃クリスティーの【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】が通信する――。

「梅ちゃん今のうちに美月を隠してっ!!」

「わかりました! 空扉(そらとびら)‼‼」
 梅澤美波は〈空扉〉を出現させ、酷く負傷している山下美月の眼の前で、扉を開けた。
「美月行くよっ」
「わり…、立てない」
「捕まんな!」
 二人は雷鳴轟(とどろ)く中、〈空扉〉の中へと消えた……。
 雷鳴が轟轟(ごうごう)という積乱雲の唸りと共に止まった。
 与田祐希は、ぺたん、と雷雲にしりもちをついて、激しく切れる呼吸を整える。
「ダメだハァ、ハァ、ふう~ちょい休む……、ハァ」
 真黒く炭化した巨躯から蒸気が濛濛と上がるが……、最強の獣・レビィアタンは嘲笑うかのような鼓膜を潰しかねない強大な咆哮を上げた――。
 炭化した上澄みの部分が、バラバラと剥がれ落ちていき、光沢を作る鋼の鱗が露わになる……。この二時間以上もの決戦において、レビィアタンの巨躯には一切の傷が見当たらなかった。
 レビィアタンは、その感情の無い真黒い眼玉を天空の方にいた、雷雲に乗る梅澤美波と久保史緒里と、山下美月に向けた。嗜虐的(しぎゃくてき)な思考を持つその大海蛇の残虐性が、裂ける唇からの巨大な奇声で伝わってくる……。
 吉田綾乃クリスティーは、恐れ戦いて囁く……。
「殺される……、このままじゃ、全員食べられて終わる……、クソ、どうして銃弾が効かないのぉっ‼」
 蓮加は、隣で叫んだ吉田綾乃クリスティーを静かに一瞥してから、気がついたかのように、背中の四角い鞄から、器用に後ろ手でそれを取り出した……。
 吉田綾乃クリスティーは、ガトリングガンを連射したままで、蓮加の手に持つ道具に気を取られた。
「何それ……」
 蓮加は、小首を傾げてから、吉田綾乃クリスティーを笑顔で見つめた。
「わっかんないけど、もううちら死ぬじゃん? その前に、試せる希望の1つ……。この任務の前に、魔界の魔王からもらった小槌(こづち)……」
 ガトリングガンを二機とも一斉掃射させながら、吉田綾乃クリスティーは、思い出した顔で、大袈裟に頷いた。
「あ~あ……、確か…、それで呼び出せ、とか言ってたよね……。えやってみよう? どうせ死ぬんなら、魔王でも大王でも、味方につけちゃおうよ!」
 蓮加は切れた唇を笑わせた。
「やってみますか……」
 蓮加は、小槌を小さく上から下に振り下ろしてみた……。

「なんだ!?」
「空が暗く‼‼」
「与田の雷?」
「祐希今なんもしとらんよねえ、なに?」

 たちまち天上の積乱雲は更に闇を帯びた暗雲と化し、凄まじい津波のような水飛沫を打ち立てながら、海上に、大海蛇の背に跨る巨大な毛むくじゃらの鬼神が現れた……。
 ヒーロー達は、吉田綾乃クリスティーの【仲間意識統一通信(ボイスチャット)】を通じて、一部始終を理解した上で、海上に現れた巨大な鬼神を強く見つめる。
 レビィアタンは驚愕しているのか、背に跨(またが)られている事を嫌悪しているのか、その巨躯をくねらせて大抵抗している。
 しかし――。巨大な鬼神は、計り知れない剛力で大海蛇の胴体を締め付ける――。鬼神の腕力に、レビィアタンは奇声を上げて激しくその巨大な蛇の巨躯をうねらせていた。

『我ヲ呼ビ出シタナ、誇リ高キ夢ノ契約者共ヨ……。我ノ力(ちから)ヲ信ズルノカ』

 蓮加は咄嗟に叫んだ――。
「信じてるからあんたを呼んだんでしょっ!! 私らもう打つ手なしって感じなのねっ、あんたにどうにかできる、この状況っ! そいつはこの世の最強の獣だよっ‼」

『此(こ)レハ悪五郎ノ魔力ガ創リ出シタ法螺(ほら)ナル妖(あやかし)カ……』

 吉田綾乃クリスティーは咄嗟の機転で、大声を上げる――。
「そうだよ神野悪五郎の仕業なんだよっ!! 今のところあんたより凄いんだよっ‼‼」

『魔界ヲ征(せい)スル魔王ハ、我一人デ充分成(じゅうぶんな)リ……、悪五郎ォォ、我ノ底ノ無シ怒リヲ今コソ思イ知ルガイイィィィ‼‼‼ 我ガ名ハ山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)ンンン、真成ル魔界ノ魔王成リ‼‼‼』

 巨大な毛むくじゃらの鬼神である山本五郎左衛門は、レビィアタンの鱗を掴んだ巨大な両腕を、更に直径二キロメートル以上もある地平線のようなでかい筋肉の塊に化けさせた。
 猛烈なる雄叫びを上げながら、山本五郎左衛門は、レビィアタンの鱗に立てた鍵爪を減り込ませていく――。
 大海蛇は大きくうねり、大抵抗しながら炎を吐き上げ、天へと絶叫している。
作品名:トキトキメキメキ 作家名:タンポポ