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トキトキメキメキ

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 地獄を彷彿(ほうふつ)とさせる空気を焼き尽くす爆炎がその者を包み込み、迸(ほとばし)る雷光が凄まじい稲妻となってその者に降り注いだ。
 ハルカカナタはその者を睨みつけながらも、気を失いそうなまま、なんとかで自我を保ったままで爆風と熱風に耐え身構え続ける。
 濛濛(もうもう)とした煙幕から、声だけが囀(さえず)る……。

『超高速航法(ワーム・ホール)――』

 歪んだ空中に、弧を描くように湾曲した円角の【穴】が出現した――。それは空気諸共(くうきもろとも)、辺りの物質を周囲の質量ごと手当たり次第に吸い込んでいく……。
 ハルカカナタは浮き上がり、無我夢中で抵抗するが、虚しくも【穴】へと吸い込まれていく。
「ワープ‼‼ まったかよっちくしょぉぉハァ! 一体俺の夢っつう契約はどこで終いなんだハァ、ぐああぁぁーーっ命の恩人ズ、絶対、ハァ負けんじゃねえぞぉぉぉーーっ‼‼ 生きて会えたらっ、おうああぁぁぁぁ――」

「カナタっ!!」蓮加は射撃を続けながら叫んだ。「やめろ顔無しぃぃーーっ!!」
 踊り狂うように、舞いを舞うように、その者は銃弾を躱していく。

『私の名はα(アルファ)……――。此(こ)の大宇宙の、奇跡の仕組み其の物で在り、歴史の歯車なのです。貴女方の夢は、どの程度、この世に齎(もたら)す明日の光と成るでしょうか。他愛もない抵抗は止(よ)しなさい。曾雌(そし)て、死して其(そ)の夢を妨(さまた)げ、私の繁栄足(はんえいた)る破壊活動に小曾(こそ)、夢を見出すがいいでしょう』

――●▲■そうはいかないよα(アルファ)、この世界は大小様々な夢が形作って出来ている世界なんだ、幼少期の人類がヒーローとして闘い、その尊い夢を、世界を、大人達が創り彩っているんだよ‼‼ 僕のヒーロー達を愚弄(ぐろう)する事は例えお前でも僕が許さない‼ お前の正体が今、こちら側でも判明したところだ。ヒーロー諸君、聞こえているかい? こいつは、人類の進化そのもの、地球の『叡智(えいち)』の悪だ……■▲●――

 α(アルファ)は唱える。

『脳神経回路分子解析再現(ブルーレイン・プロジェクト)――』

 ヒーロー達の身体が紫色に発光する……。
「またうちらの偽物が出てくるんじゃないのっ‼?」蓮加はα(アルファ)を射撃するが、命中しない。「なんで当たらないのっ‼‼」

『人形複製(バイオ・プリンター)――』

 ヒーロー達の複製人間達が、ぞくぞくと溢れかえっていく……。ヒーロー1人につき、十三人ほどの複製人間が現れた。
 猛攻撃を繰り出してきた複製人間達は、自分自身のオリジナルしか狙っていない様子であった――。
 梅澤美波は剛力で複製人間を殴り飛ばしていきながら、頭脳の中の声の主へと意識を集中させる――。
 皆も苦戦を強いられる戦闘を繰り広げながら、脳内の声の主の言葉に意識を集中させていた……。

――●▲■正式名称α(アルファ)、通称・無限数、してその正体は……『137』だ。奴はね、『137』という宇宙的共通数値、そのものなんだよ。謂(い)わば、『137』という数字こそが、大魔王とされた奴の正体だ■▲●――

       15

 向井葉月は複製人間達に羽交い絞めにされながら、【猛獣使い】の上位互換である【猛獣召喚】を芽生えさせる。
「ガァァァゴイル200体ぃぃ、出てきてこいつらを食い殺せぇぇ‼‼」
 ギャアギャアと上空の彼方から舞い降りてきたガーゴイルは、身長が160センチ前後の物が200体ほどいた――。その200体が一斉にムカイハヅキの複製人間達に襲いかかる……。
 向井葉月は息を切らしながら、己の拳を見つめる。
「私はヒーロー……、岩をも砕く破壊力と…、重力をも凌駕する飛行能力がある‼‼」
 向井葉月は【超身体能力】と【超能力】を同時に芽生えさせた――。
 α(アルファ)がその変化に気がつく。

『貴方は、契約の力を書き換える能力者ですか』

「違うよっ! でもあんた久保の時に言ったじゃない!」向井葉月は息を切らしながら、強くα(アルファ)を睨みながら笑みを浮かべた。「それは強い【暗示】で、超常現象を巻き起こすのは、あなたの持った【超能力】に過ぎない、って!! だから信じてみたの……」

『此(こ)れまでに数多の契約者達を屠(ほふ)ってきました。然(しか)し、確かに超常的な力を持ってして、私の羽根を食い千切っていった五人の人狼(ワーウルフ)や、あの四人組や、あの三人組……、あの二人組、一匹狼の強者達、そうですね、其の他にも、強者は確かに、存在は認めます』

 向井葉月はガーゴイルに意識的な支持を出しながら、α(アルファ)を険しく見つめる。
「その人達はヒーロー? ……その人達はどうなったの?」

『私とは決着が着きませんでしたね、然(しか)し恐ろしかった。その恐怖も又(また)、私の生み出す破壊活動の一部へと姿を変えるのですが――。私と同等足(どうとうた)る大い成る存在を幾多も相手してきたのでしょう。祖(そ)の頃の私はまだ未熟で有り、逃げ出す事が唯一の生存確率を上げる選択肢でした――。契約者には、確かに覇成(はな)る者が存在します。けれど、貴女方は今の私の前に現れてしまった……。羽根が無くとも重力に逆らい、契約者達の放つ無数の殺意をも無に帰せる大宇宙の理(ことわり)たる存在、私を止められますか?』

 向井葉月は強気で微笑む。「能力もアップして、こちとら経験値もハンパないんだよ、今更お前にびびってもしょうがねえだろ! お前がうちらを強くしたんだ、後悔しろ!」

『後悔ですか、フフフ。此(こ)れ歩度(ほど)の小事で、戦況は変わりませんので、此れは敵に塩を送るとは言い難い変化ですね。如何(どう)か足掻(あが)いてみて下さい。云っておきますが、私は未(いま)だ、一度多利(いちどたり)とも貴女方に攻撃を仕掛けていません。観測している段階です。其(それ)でも、既(すで)に力の差が明確だと思いませんか』

 中村麗乃は【魂を奪うもの】の上位互換における【魂を変化させるもの】へと能力を飛躍させた――。
「私は女優、私の役は怪力のタフガイで、空も飛べて、ええと、ええと……、どんなに強力な敵の攻撃も、はじき返す鞭(むち)を自在の操る、女王様‼‼」
 中村麗乃は突如として出現した鋼鉄製の鋼の編み込まれた鉄鞭(てつべん)を振り回し、空高くに跳び上がって複製人間達の攻撃を躱(かわ)しながら、鉄鞭で複製人間達を打ち砕いていく。
 α(アルファ)はずっと観測している。
『此処(ここ)に着(き)て、また覚醒者……』

 阪口珠美は『流行(トレンド)』の上位互換である『制定(エナークメント)』を開花させた――。
「私が最強だって事はもう決まってるの……。力も無限に湧き上がってくるし、空だって飛べる……。眼からはビームが出せるし、口からは火を吐くぞ……」
 次の瞬間から、阪口珠美は口から炎を噴き出しながら剛腕で敵を薙ぎ倒し、眼から出すビーム光線で敵を焼きつけ、複製人間の攻撃を空を飛ぶ事で回避するという有限実行を行った。
 α(アルファ)はそれも見ている。
作品名:トキトキメキメキ 作家名:タンポポ