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トキトキメキメキ

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 ―ヴォルフガングパウリ―


――●▲■もちろん、この計算結果は間違いだね。パウリは冗談を言っていて、自らの馬鹿げた主張で、ボーアの興味をひこうとしていたんだ。しかし、パウリはまたこうも付け足した■▲●――


 しかし私は、π(パイ)とα(アルファ)の間に、何か深い関係があることを本気で信じています。
 ―ヴォルフガングパウリ―


――●▲■パウリは、その深いモノがなんなのかを見つける事はできなかったけれど、死ぬまでα(アルファ)について考え続けたんだ。彼は次の言葉を言い残している■▲●――


 私が死んだら、悪魔に最初にする質問はこうだ。『α(アルファ)の意味はなんなのか?』
 ―ヴォルフガングパウリ―


――●▲■α(アルファ)に憑りつかれた、もう1人の天才物理学者は、リチャードファインマンだ。ファインマンは20世紀を代表する物理学者の1人だね。彼もまた、α(アルファ)に興味があり、どうして『137』という値を持っているのかを、理解しようとしていた。ファインマンはかつて、こう言っている■▲●――


 それは50年以上前に発見されて以来、ずっと謎のままだ。
 全ての優れた理論物理学者は、この数を壁にはって、日々悩んでいる。
 α(アルファ)はもしかしたら、円周率に関係しているのかもしれないし、ネイピア数に関係しているかもしれない。
 こいつは全くもって、物理学における重大な謎の1つだ。
 人間の理解の及ばないところから姿を現した。魔法の数なのだ。
 ―リチャードファインマン―


――●▲■ファインマンは、α(アルファ)の値が、物理学の理解に重要な役割を果たしているにも関わらず、既存の理論や数学によって同質できない事について指摘しており、α(アルファ)を、神秘的な数であると言及している。
さて、物理学者達は、なぜそんなにα(アルファ)に拘(こだわ)るんだろうか? α(アルファ)の値がどうであろうと、そんなのどうだっていいことだと思わない? 思うの? ねえ、思わない? 思う? どっち?■▲●――

「どうでもいいわ!!」梅澤美波は青空に苛(いら)ついた。「弱点探してんですよこっちは!!」

――●▲■ね。そんな感じでしょ? でもね、α(アルファ)は光と物質がどのように相互作用するかを記述するだけじゃないんだよ。この数は、物理理論で用いられる最も基本的な物理定数と繋がってるんだ。
物理定数とはね、自然界のあらかじめ持っている数値のことで……、例えば設計図に書かれている数値のようなモノだね。
宇宙において、もっとも基本的な定数である『電子の電荷』『光の速さ』『真空の誘電率』『プランク定数』を組み合わせると、これらの単位は完全に打ち消され、その結果、単なる数字となり、更にこの数値は137分の1となるんだ。
宇宙の設計図に記されているこの四つの数を組み合わせると、『137』という、単位のついていない、ただの無次元の数ができあがるんだよ。更にこの数は、様々な自然現象で姿を現すよ。
例えば、二つの電子の反発力は、光子の反発力よりも137倍弱く、水素原子の電子の速度は光速の137分の1だ。
更に、電子の運動エネルギーは、電子の静止質量エネルギーよりも137倍も小さく、電子の半径は、電子の波長の137分の1だ。
『137』は、他の自然分野にも登場する――。それは例えば、黄金角だよ。137度は、黄金角と呼ばれてるんだ。黄金角は、ピボナッチ数列や、黄金比と関連する角度でね、植物の葉や、花の配置、貝殻(かいがら)の螺旋(らせん)、渦巻銀河(うずまきぎんが)の角度など、自然界の多くの構造にみられる確率的で、美しい配置を産み出すんだ。このことは、『137』という数字が生命や宇宙のデザインを決めている数字であることを示唆(しさ)している……。そして、そのα(アルファ)の要素を格として現れた悪が、奴であり、『人類の叡智(えいち)の結晶』自体が、未来において悪の現象を引き起こす可能性が高い。それが今現在戦っている、君達の敵の正体なんだ■▲●――

「核兵器とか、戦争とかが、たぶんあいつの言ってた破壊活動なんだね」梅澤美波は腕組みをした。「いや……。それだけじゃないな。人類の繁栄に伴(ともな)って悪化していった環境破壊とか、汚染問題……」
「病を解明したり、薬を開発するのにも、動物実験や人体実験が行われるし」久保史緒里は難しい表情で言った。「人は便利に走って、今までできてた事を自力ではしなくなる……。化学の発展が齎(もたら)す悪影響自体が、きっとあいつなんだ」
「いいからも、話す事は話すだよ」蓮加は退屈そうに囁いた。
 与田祐希は、眠たそうに伸びをした。「祐希半分も聞いとらんとよ。寝とったもん」
 佐藤楓は蓮加に微笑む。「ああ~、蓮加、ポテチちょ~だ~い!」
 阪口珠美は不思議そうに、ポテトチップスを齧(かじ)りながら蓮加を見つめる。
「持ってきたんだ……。それとも、銃みたいにパッと出せんの?」
 蓮加は阪口珠美を一瞥する。
「いや、持ってきただよ」

――●▲■あ、聞いてねえじゃん……■▲●――

「私は聞いてるよ」梅澤美波は腕組みをしながら言った。
「私も」久保史緒里は、大きな溜息を吐いた。「でも……、なんか、自然界の色んな事を作ってる数値だとか、宇宙をデザインしてるだとか……。物理学者が解けなかったとか、そんなん私達にどうにかできるの?」
「相手は宇宙なわけだよね」中村麗乃は真剣な面持ちで囁いた。「宇宙を殺せなきゃ、勝てないって事か……」
 岩本蓮加は、一瞥で耳を傾けていた中村麗乃の一言から、意識を騒がしいこちら側へと向ける。
 向井葉月は蓮加に笑う。
「なんでうすしおなの~?」
 佐藤楓はにやけて蓮加を見つめる。
「そうだよ~、コンソメでしょう普通~~」
 与田祐希は驚く。
「え、うそ? 普通のりしおやない? 祐希コンソメかのりしおばっか食べとるんやけど」
「いや歯につくじゃん、のりしお」蓮加は平然と笑った。「迷ったけどさ」
「気にすんなマスター」伊藤理々杏は虚空を見上げた。「聞いてる子は聞いてるから」
「ていうかさあ、マスターが弱点考えればよくない?」
 山下美月はそう言って、伊藤理々杏から空へと視線を移した。
「違う? 違います? なんか間違ってる? 契約違反?」

――●▲■何度も言うけどね……。相手は、この宇宙の生命体を全て死滅させて、宇宙の在り方自体をも変えてしまえる存在なんだよ……。弱点を考えろとか、そんな無責任な事急に言われても……。てか、奴は宇宙だからね。ほとんど。勝つんならさ、さっき麗乃君がちらっと言ったように、宇宙を殺せる攻撃? それぐらい必要かなあ。知らないけど。それしかないんじゃない?■▲●――

「なにその態度……、知らないけど、て……」山下美月は顔面を険しくさせる。
「他人行儀だなぁ~……」伊藤理々杏は苦笑した。「でも、人の形してたんだよね……」
「人類の叡智(えいち)が根源なら、あいつも何%かは人よ」中村麗乃は険しい表情で言った。彼女は現在、常に【頭脳王】の能力をフル稼働させている。「宇宙を殺しちゃうなんて……、そんなの、ブラックホールか……、死のガンマ線ぐらい……」
作品名:トキトキメキメキ 作家名:タンポポ