二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

トキトキメキメキ

INDEX|7ページ/41ページ|

次のページ前のページ
 

「私なんて……、口にした事を、半分の確率で実現させるって、そぉんなよっくわけもわかんない能力よう? どうやってあんな獰猛(どうもう)な化け物と一戦やれっていうの……」
 梅澤美波は顔をしかめる。
「私だって火力不足だよ……。超身体能力と、この空扉しかないんだから。あるものを、与えられた力を駆使するしかないでしょ!!」
久保史緒里は、涙目で佐藤楓を見る。
「でんちゃんだって、勝てる? その刀で……。あっちすっごい斧持ってるよ?」
 佐藤楓は「うう~ん」と首を傾げて考え始めた。
 ふいに、三人の脳内に声が響く――。

――●▲■ミノタウロス。ギリシャ神話に登場する、頭が牛で身体が人の姿をした生き物だね■▲●――

 梅澤美波は青空の上の方を見上げる。
「何か、弱点とかは教えてくれないんですかマスター!」
 久保史緒里は弱気で囁く。
「負けちゃうよ~……」

――●▲■ミノタウロスは、クレタ島の王様ミノースの息子として生まれた。ミノースも妃(きさき)も普通の人間だったけどね、ミノースが海の神ポセイドンの怒りをかってしまった為に、その代償として、ポセイドンが妃に呪いをかけた事で、その怪物のような姿で生まれてきたのがミノタウロスだとされているよ■▲●――

 佐藤楓は、空に疑問の顔を浮かべる。
「そんなに強い相手なんですか?」

――●▲■困った事にね、ミノタウロスは人間を捕まえて貪(むさぼ)り食うのが特徴なんだ。捕まらないようにね■▲●――

 久保史緒里は泣きそうに項垂(うなだ)れる。
「絶対死ぬじゃん、死ぬやつじゃん、フラグじゃん……」
 梅澤美波は強く上空を見つめる。
「強いの? うちらじゃ勝てないの?」

――●▲■大きな身体に頑健(がんけん)な生命力を持つとされてる……。唯一(ゆいいつ)、君達にとっていい情報は、ミノタウロスは知能が低いという事だ。人間を餌(えさ)にするぐらいだからね、ミノタウロスは父ミノースによって地下に建造された迷宮に閉じ込められる。そして、そこで死刑囚なんかを食料として生きたらしい。しかし、このミノースの非道とミノタウロスの人間を食料とする業に対して、英雄テセウスが立ち上がり、テセウスは自らが生贄になり、ミノタウロスの元へと行き、なんと粗暴で狂暴なミノタウロスを討伐(とうばつ)したんだよ■▲●――

 梅澤美波は真剣な顔をしかめる。
「どうやって?」
 久保史緒里と佐藤楓は、黙って期待を込めて空を見上げる。

――●▲■そこまでは知らないよね。まあね、ミノタウロスは侮辱(ぶじょく)の悪だよ。そして楓君、君のさっきから思い出そうとしている能力は、【機械の身体(サイボーグ)】という力だ。ターミネーターと呼ばれる能力者が君だ楓君。能力は、身体を一時的に機械化し、超身体能力と攻防に長けた能力で、空を飛んだり海へ潜ったりと色々と万能だよ。後は知っての通り【刀(かたな)】という力で、サムライと呼ばれる能力者でもある。能力はわかるね? つまるところ、強いサムライになれるわけだね■▲●――

 梅澤美波は驚いたように、佐藤楓に微笑む。
「つ~よいじゃあぁん‼‼」
 久保史緒里も泣くのをやめた。
「それいこう、でんが中心にミノ……、なんとかを削っていけばいいよ。勝てる! 勝てるよ!」
 佐藤楓は上を見上げる。
「機械の身体(サイボーグ)の発動条件は? 何ですか?」

――●▲■【機械の身体(サイボーグ)】の発動条件は、「私はサイボーグだ!」という意識で何かを発声すればいい。言葉はなんでも大丈夫だよ■▲●――

 久保史緒里は、真剣な表情で必死に空に顔を向けた。
「私のヒーロー能力っ……、梅のヒーロー能力も、改めて詳しく教えて下さい! マスター!」

――●▲■うん。いいよ。史緒里君、君の能力は【神の言葉】。ゴスペルと呼ばれる能力者が君だね……。能力は、口にした事象、現象を五割、つまり、50%の確率で実現させるというチート能力だね。この場合、君が巻き起こす現象、事象は、熟練度の有無は無関係に五割を現実にしてしまうという恐ろしい力でもある。力は使いようだよ? よく考えながら使ってね。美波君、君の能力は【超身体能力】だ。パワーと呼ばれる能力者が君だね。それと、君は【空扉(そらとびら)】の能力も持ち得ている。エリザベスと呼ばれる能力者が君だ……。【空扉】の能力は、空間に自在に扉を出現させ、一時的な異次元空間を創り出し、時間を止めながらどの空間にも自在に出入りする事が可能な能力となっているよ。いい能力だ、力は使いようだね■▲●――

 梅澤美波は二人の顔を見て、笑みを浮かべて頷いた。
「行くよ……。さっき、ミノタウロスが地面に斧を突き立てた瞬間に戻るからね。時間はそこから動き出す……」
 久保史緒里は言う。
「私が注意を引くから……、でんはその間に機械人間になって、あいつを斬って。梅は私が危険な時に、空扉で助けて」
「おっけい!」梅澤美波は微笑んだ。
「了解した!」佐藤楓も笑みを浮かべた。
 梅澤美波は、出現させた扉を開く――。
 ミノタウロスは雄叫(おたけ)びを上げながら、夥(おびただ)しい涎(よだれ)を散布(さんぷ)し、粉々のコンクリートから埋(うず)まった斧を引き抜いた。
 佐藤楓は構える。
 久保史緒里は、【神の言葉】を行使(こうし)して叫ぶ。
「私は闘牛士(マタドール)になれるっ!! 如何(いか)なる攻撃もひらりとかわす闘牛士(マタドール)だっ‼」
 久保史緒里の身体が一瞬だけ白く発光した。次の瞬間、久保史緒里は黒いケープジャケットを身に纏った闘牛士に変身していた。手には赤いケープという名の布を持っている。梅澤美波は瞬(まばた)きをせずにミノタウロスの事を観察している。
 ミノタウロスは渾身の一撃を久保史緒里の脳天へと振り下ろした――。
「ひょいっと!」
 久保史緒里はケープをひらめかせ、間一髪のタイミングでその攻撃を避けた。
「でんっ‼‼」
 佐藤楓は【機械の身体(サイボーグ)】の能力を行使して、権限する――。「やらかした!やらかした!」と叫ぶと、次の瞬間、佐藤楓の身体は蒸気を吹き上げるサイボーグへと変化した。
「斬りますっ!!」
 佐藤楓は背中に突起したジェット噴射で宙を加速していきながら、刀を振り上げた。
 ミノタウロスは狂気の眼玉をそちらへと向けて、斧を振り下ろす――。佐藤楓の刀とミノタウロスの斧が接触し、火花を上げる力の鍔迫(つばぜ)り合いが始まる……。
「すんっ…ごい、力だ、こいっつ……!!」
 ミノタウロスは雄叫(おたけ)びを上げる。
 梅澤美波は口に両手をそえて叫ぶ。
「でん1回引いてっ、久保が注意を引いてる間に、私にいい作戦があるっ、真っ向からじゃこいつには歯が立たない!!」
「わか…った!!」佐藤楓は斧の圧力に押されるように、地面へと脚をつく。その両脚がアスファルトへと埋(うず)まる。「とりあえず脱出しますっ! 久保ちゃん頼んだっ‼」
 久保史緒里は【神の言葉】を行使(こうし)して叫ぶ。
「私は美味しい人間っ、世界中で一番美味しいお肉は私のお肉っ‼」
 久保史緒里の身体が一時的に発光した。
「よしっ! でんっ逃げて!!」
作品名:トキトキメキメキ 作家名:タンポポ