恩送り 飛ぶ鳥・飛鳥―2011~2023―
『ごめんねフィンガーズ・クロスト』が、エース遠藤さくらのセンターで続いて始まる――。火花が幾つもステージに立ち昇り、早くも盛り上がりは最高潮に達した。バックスクリーンは海中に潜り、瞬時にしてその場を海底にした。
『君に叱られた』が、もう一人のエース賀喜遥香で開始される――。『始まったぞ~4期生ライブ! 横アリ、盛り上がってるか~! 今日は最高の一日に、みんなでするぞ~‼‼』と賀喜遥香は得意の煽りで絶叫した。会場に広がるメンバー達。サビではメインステージ上にいた賀喜遥香も走り、中央のアリーナステージに異動した。アリーナでパフォーマンスが開始される……。空中を、海洋生物が自由に泳ぎ回っている。
『好きというのはロックだぜ!』でもセンターの賀喜遥香が『お前ら推しメンタオル持ってるだろ~? 全力で回して騒げ~‼‼』と猛烈な煽りを見せ、大コールを浴びた。
賀喜遥香が改めて指揮を執り、ライブの開始を記念して、一同で大きな声で挨拶をした。
MCでは田村真佑が『皆さん、元気でしたか~?』と挨拶をした。『実は初めて4期生ライブをやらせていただいたのも、横浜アリーナだったんですよ』と語る。
賀喜遥香は『めっちゃ憶えてます。緊張しすぎて、途中くらいまでお腹が痛かった記憶が強いです』と笑顔で振り返った。
4期生で最年少の筒井あやめは『ついに来ました、今日が。めちゃめちゃ楽しみにしていて。始まる前は凄く緊張したんですけど、皆さんの姿を見て、声を聞いたらすごく安心しました』と笑顔を浮かべた。『4期生ライブで、4期生も頼もしくなったな、って皆さんにも、思ってもらいたいので。みんな過去1くらいで気合充分なので。皆さんもそれに負けじとついてきて下さい!』と呼びかけた。
早川聖来は『二つの意味を込めてちょっと一言言わせて下さい! みなさーんただいまー!』と叫び、それに応えるようにメンバーとファンから『おかえりー‼』という歓声と拍手が上がった。
思わず言葉を詰まらせ泣き出した早川聖来は『ほんとに、こうやって、皆さんの前でお話ししたり、歌ったり踊ったりできるのも、本当に応援して下さる皆さんのおかげなので。その感謝を、曲数は少なくなってしまうかもしれないんですけど、一生懸命お伝えできるように、精一杯頑張るので、本日は、応援、よろしくお願いします!』と声を振り絞って語った。
佐藤璃果は『一回目よりも、4期生の事を大好きになったので、16人、この大好きな気持ちで今日は全力で頑張りたいと思います!』と語った。
VTRで二千十八年八月のオーディション当時を振り返る映像が流れると、まだ初々しい4期生の姿が映し出された。ナレーションは佐倉綾音であった。
賀喜遥香は語る。
メンバーそれぞれが想いを込めた楽曲を披露する――。
『君の名は希望』が清宮レイがセンターで開始される――。伝統の紫の衣装で、語り継がれるこの『君の名は希望』を4期生が歌唱する……。その瞬間、会場中が紫色のサイリュウムに染まる。賀喜遥香の頬には涙が流れていた。
『シンクロニシティ』が松尾美佑がセンターで始まった――。歓声が上がる。オーディエンスの大コール……。バックスクリーンにはオーディション当時の映像が流れていた。
『きっかけ』が林瑠奈がセンターで始まる――。言わずと知れた名曲、『きっかけ』。何を想い歌うのか、それはオーディエンスと配信を見守る世界中のファンの心に正解がある。
VTRが流れる。4期生の懐かしい光景が映し出された。田村真佑は語る。
新しい色になる――。
『ファンタスティック・3色パン』が始まった――。歌唱する賀喜遥香と田村真佑と金川紗耶は、『好きなパンを可愛い言い方で発表しよう‼』という企画に挑戦し、会場を沸かせた――。
ルーレットを回した3人は止まらないルーレットに『止まれ! 止まってくれ‼』と叫び、金川紗耶は、『はちみちゅトースト‼』とぶりっ子に。田村真佑は、『別に…、クリームパンなんて、好きじゃないんだから』とツンデレで。賀喜遥香は『あ~んぱん‼』とセクシーに、好きなパンを語った。
北川悠理を中心とした『あらかじめ語られるロマンス』が始まる――。歌唱するのは、北川悠理、松尾美佑、矢久保美緒、遠藤さくら、清宮レイ、の五人である。歴史的に屈指の人気曲であるこの曲が、現代に4期生のパフォーマンスで披露される。オーディエンスは大興奮であった。
『風船は生きている』を弓木奈於のセンターで始まった――。弓木奈於、筒井あやめ、佐藤璃果、林瑠奈、黒見明香、柴田柚菜、六人でこれをパフォーマンスする。途中、巨大な空気風船を弓木奈於が持たされ、五人がそれを支えた。筒井あやめがジャンプして、風船を割った。
VTRが流される。懐かしい映像が映る。弓木奈於は語る。
卒業生が、優しく、がんばれと微笑む……。
『制服のマネキン』を黒見明香のセンターで開始される――。盛大なコールの中、4期生はマネキンのような表情で激しいパフォーマンスを繰り広げる……。このパフォーマンスは、乃木坂の主役と謳(うた)われた生駒里奈には、届いているだろうか――。この、会場を熱く沸かせる、立派になった4期生の姿が――。
『アナスターシャ』を柴田柚菜のセンターで始まった――。大きな蝶を手に持った柴田柚菜とメンバー達。蝶はサビの『ごめんアナスターシャ』で飛び立つ……。会場を歩き、ステージを別のステージへと移動し、パフォーマンスを魅せた。
『思い出ファースト』を筒井あやめのセンターで始まる――。アリーナステージで、舞い踊りながら歌唱する4期生……。また散り散りに分散し、会場中を駆け巡るメンバー達は、やがてメインステージにて集結した。バックステージには、思い出の写真が映し出されていた……。
筒井あやめは『今日の思い出も、写真に残したいと思います!』と、4期生揃って記念撮影をして、その楽曲を終了とした。
VTRが始まる。筒井あやめは思い出を語る。当時の4期生の姿が映像として映し出されていた。
暗闇を、切り開け――。
佐藤璃果のセンターで『僕のこと、知ってる?』が開始する――。夜の街に雨が滴っている。そこに、大きく伸びたメンバーの影が形作っている……。歌唱メンバーは、佐藤璃果、弓木奈於、筒井あやめ、清宮レイ、黒見明香、柴田柚菜、北川悠理、の七人であった。背景にはシナプスのような映像が映し出されていた。
早川聖来のセンターで『ここにいる理由』が始まった――。歌唱メンバーは、早川聖来、田村真佑、松尾美佑、遠藤さくら、矢久保美緒、金川紗耶、賀喜遥香、林瑠奈、八人である。背景には銀河系が……。大歓声が上がる――。
大爆発と共に、金川紗耶のセンターで『ウェルダネス・ワールド』が始まる――。燃え上がる炎――。赤いライティング――。鬼気迫るメロディに、真に迫るダンスパフォーマンス――。その世界観を形作る歌詞――。
VTRが流れる。金川紗耶は語る。過去の映像が映し出される。
誇りに思えるように、輝こう――。
作品名:恩送り 飛ぶ鳥・飛鳥―2011~2023― 作家名:タンポポ