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恩送り 飛ぶ鳥・飛鳥―2011~2023―

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「うちらが答える、ってこと?」賀喜遥香は持ち前の美形で、綺麗な笑顔を浮かべた。「え、誰が質問するの?」
 風秋夕は小さく手を上げて、磯野波平を一瞥する。
「いいか、そんな感じで」
「おういいぞ、いい感じなんじゃねえの~!」
 磯野波平は満面の笑みで涎(よだれ)をぬぐった。風秋夕は鼻から溜息を吐いて、それから、まんざらでもない笑みを浮かべて、遠藤さくらと賀喜遥香を見つめた。
 東側のラウンジに、シールの『キス・フロム・ア・ローズ』が流れていた。
 風秋夕は、改めて、遠藤さくらと賀喜遥香を見つめる。磯野波平も、ソファにふんぞり返りながら、二人の乃木坂女子を見つめていた。
「じゃあ~……、質問ね。じゃあ、なんだ……。もしも、乃木坂になってなかったら、何になっていたと思う?」
遠藤さくらは答える。「それなりに、生きてたと思う……」
加喜遥香は答える。「なんだろ、でも、やっぱり、イラストレーターかなぁ……、わかんない」
「第二問。一番印象的だったライブは?」
加喜遥香は答える。「あ、えでもぉ……、初めてやった四期生だけでのライブ、かも」
遠藤さくらは考える。「うぅん……、私もぉ、かもしれない」
「はい第三問。暇な時は何してる?」
 賀喜遥香は答える。「え、家で、て事?」
「うん、家だね」風秋夕は微笑んだ。
「なんだろな」磯野波平は鼻をほじりながら呟いた。「てぃんこいじってっかな」
「てめえに聞いてないんだよハァァウス‼‼」
 賀喜遥香は答える。「Switchしてるか、アニメ観てるしてるかなぁ~」
 遠藤さくらは答える。「本を読んでます」
「第四問。怖いものはありますか?」
 遠藤さくらは答える。「う~ん……、怖いもの。おばけ、えへ」
 賀喜遥香は真剣な面持ちで答える。「怖いもの、それこそ……、深い、海?」
「第五問。お母さんの好きな手料理は?」
遠藤さくらは答える。「カレーライス」
加喜遥香は答える。「全部好き! あの、とくに卵焼きとオムライスと、卵サラダとささみのフライト、エビフライと……。いっぱいある~!」
「第六問。いちばん好きな時間っていつ?」
 遠藤さくらは答える。「好きな本を読んでる時間かあ、……ご飯を食べてるぅ…時間? かあ、寝る時間、かなあ」
 賀喜遥香は答える。「私はお風呂に入った後ソファに座る時間!」
「僕はね夕君おてぃんてぃんをさわる時間だよ!」
「ハァァァウス消えろ‼‼」
 賀喜遥香は嫌そうににやける。遠藤さくらはしらっとしらけていた。
 風秋夕は煙草を吸いたくなった気分を、乃木坂女子達を見回す事で心を癒して回避し、うきうき企画を続ける。
「第七問ね。男にしてほしい髪の色、髪型は?」
 賀喜遥香は答える。「黒髪ストレート……、かな」
 遠藤さくらは答える。「そういうの、わからん」
「八問目ね。もしやるなら、超ショートヘアor超ロングヘアどっち?」
 賀喜遥香は答える。「えーどっちもやってみたい、けど~……、でも、超ロングにして、ツインテールとかしてみたいかも」
 遠藤さくらは答える。「え~、超ショートかぁ……、超ショートってどのくらい?」遠藤さくらは肩を触る。「ここより、もっと上だよねえ? ないな、ない……。けど、ショートかなあ。短いのが落ち着くから」
「はい、九問目。苦手なものはありますか?」
 遠藤さくらは答える。「え……、あでも、ファッションはまだあれなんだけど、アニメとか、漫画とかの、流行り? はわからない、苦手です」
 賀喜遥香は、険しい表情で答える。「苦手なもの……、深い~、海?」
「はい、十問目。おススメの本とか、どう?」
 賀喜遥香は答える。「ヒロアカ、とかかなぁ……」
 遠藤さくらは答える。「吉本ばななさんのTUGUMIとか、私中学生になってから読んでた」
「十一問目。これ好き! てもの」
遠藤さくらは答える。「コロッケとか、みたらし団子とか……、それこそ前は無限ピーマンとかも大好きだったし。からあげも好きだし。はい」
加喜遥香は答える。「アニメ。漫画、イラストを描く事」
「十二問目。これ嫌い! てもの」
 遠藤さくらは答える。「髪の毛の量が少ないところ……。量が少ないから、すいたりできないし、逆にボリューム出してもらうぐらいだから。はい、そこ」
 賀喜遥香は、真剣に考えながら答える。「これ嫌い……、深いぃ、海とか?」
「いやどんだけ深い海怖がってんのかっきー!」風秋夕は可笑しそうに笑う。「深い海深い海言い過ぎじゃね?」
「いや、私水族館とかでも、あんまり、それこそ、海底? 海の底っぽいのは……、ダメだもん」賀喜遥香は微妙にはにかんだ。
「俺の愛情は海の底より深けんだけど、大丈夫か?」磯野波平は顔しかめて賀喜遥香を凝視する。「大丈夫かな?」
「ダメでしょ」風秋夕はさっさと始める。磯野波平は騒いでいた。「はい、十三問目ね。コーヒーは苦めが好き? 甘めが好き? 酸味あるのが好き?」
 遠藤さくらは答える。「絶対苦め~」
 賀喜遥香は答える。「ふふ、甘め」
「十四問目。洋服はどこで買ってる?」
 遠藤さくらは答える。「通販」
 賀喜遥香は答える。「おんなじ。私も通販」
「はい最後、十五問目。可愛いと思う女の子の髪型は? またはカッコイイと思う男の子の髪型は?」
賀喜遥香は答える。「男も女も、基本、黒髪ロングが好きかもしれない……」
遠藤さくらは答える。「女の子は、やっぱりポニーテールが可愛いかと。男の子は分からん!」
談笑の花咲く東側のラウンジに、ヴァネッサ・カールトンの『サウザンド・マイルズ』が流れている。
姫野あたるは嬉しそうににやにやとして、清宮レイと筒井あやめを見つめた。
「レイちゃん殿とあやめん殿は、いつも一緒でござるな~」
「や、違うの、聞いて!」清宮レイは大きく瞳を広げた。「あやめちゃんが離してくんないの!」
「なにそれ~、離さないよ」筒井あやめは起伏の無い穏やかな笑みで言った。「でも、仲良しだよね。1つ言っておくけど、レイちゃんも、私の事好きだし。私も好きだし」
「いや好きだけどさ」清宮レイは、柴田柚菜を見た。「ゆんちゃんだって私好きだし」
「仲いいよね~?」柴田柚菜は天使のように微笑んだ。
「あ~、ダメ~浮気は~」筒井あやめは、清宮レイの腕にしがみついた。「ダメだぞ~、今のは~。聞いて下さいよダーリン、レイちゃん、ネトフリあるからって私の誘い断るんですよ~」
「いやいや、それはたまたまその時は、でしょ?」清宮レイは優しく苦笑した。「あやめちゃん、重い女すぎて笑える」
「いやそれ言うんだったらレイちゃんだって重い女だよ?」筒井あやめは清宮レイの腕を離して、変わらぬ笑みで言う。「聖来、私とレイちゃん、どっちが重いと思う?」
 早川聖来は、口を開けて穏やかに微笑んだ。
「え~~……、あや、めん……」
「うそ~」
「ほら~~」
「うんでも、私と美緒ちゃんみたいな感じなんかな?」林瑠奈は清宮レイと筒井あやめを見つめた。「うちらも、美緒ちゃんとお揃いの服とか着てるよ」
「ジャージだろ」矢久保美緒は吐き捨てるように林瑠奈に声で突っ込んだ。「服、つうかジャージな!」
「え、ジャージがいいんじゃん」林瑠奈は笑みを浮かべる。