二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

恩送り 飛ぶ鳥・飛鳥―2011~2023―

INDEX|4ページ/37ページ|

次のページ前のページ
 

 会場のオーディエンスが一斉に悲鳴のような歓声を上げた……。
 乃木坂46が一列に並び、グループカラーである紫色のサイリュウムを持って、歩きながら登場した。
 空間は暗闇と化す――。大歓声と共に、『乃木坂の詩』が始まった――。
 大歓声の中を歩き、秋元真夏が間奏中にトークする。
『今回は皆さんの声を聞く事ができます! もどかしい思いをしながらも、ここまで新しい形を探して私達と一緒に歩いてきてくれて、本当にありがとうございます!』
 秋元真夏は涙ながらにそう言った。
 後ろを向くな。
 正面を向け。
 後ろを向くな。
 正面を見ろ。
 行われるコール&レスポンス――。
 後ろを向くな。
 正面を見ろ。
 夢ならここにある。
 乃木坂の詩。
 乃木坂の詩。
 僕らの詩――。
 キャプテンである最後の1期生、秋元真夏を始めとした乃木坂46の挨拶があり、オーディエンスの大歓声が盛大に盛り上がる。
 アンケートを募集した通り、その中から上位20曲がこのライブで行われると秋元真夏が発表した。
 ナレーションが始まる。ファースト・ライブである1回目のライブから、10回目のライブまで振り返り、ナレーションは語る。『あの曲が、一番聴きたい』――。
 オーバーチャーが流れ、大歓声がコールする。
 第20位『夜明けまで強がらなくていい』が遠藤さくらのセンターで始まる――。火花が舞い上がる中、華麗に舞い踊る乃木坂46と、その姿を特大のコールに包み込むオーディエンス。
 第19位『思い出ファースト』が岩本蓮加のセンターで開始する――。3期生が集結してこれを盛大に歌ってみせた。
 ミュージックにのって妖艶なダンスを魅せる乃木坂46。そのまま……。
 第18位『日常』が、鈴木絢音のセンターで開始した――。スモークの中、赤いライティングと青いサイリュウムが印象的であった。
 梅澤美波がオーディエンスを煽(あお)る。
 第17位『裸足でサマー』が梅澤美波のセンターで始まった――。トロッコに乗り込んだメンバーが会場を巡(めぐ)っていく。手を振り会場の通路を歩く乃木坂46……。そのまま、通路にて飛び跳ねるように踊り歌う姿は叫ぶオーディエンスと交わり、尊い時間となっていく。
 第16位『ごめんねフィンガーズ・クロスト』が遠藤さくらのセンターで始まる――。オレンジ色に染まり、白色のライトに照らされ、紅く光る中、ソロダンスを魅せるメンバー達……。赤く染まるステージに煌めく紙吹雪が舞い散る……。

 ナレーションが語る――。楽曲のランキングを知らされた時の気持ちを遠藤さくらは語る。当時の気持ちを、彼女は忘れないという――。先輩達に引っ張っていってもらってという感じで。変わらないな、と彼女は笑顔で語る。
 次の楽曲を遠藤さくらは語る。当時は5期生がいなく、せつなさが増していたと。思い出と記憶、それはいつも曲と共にある――。

 第15位『ひと夏の長さより…』が秋元真夏のセンターで開始される――。入れ代わり立ち代わり、秋元真夏にその個々の想いを伝えていくようにして、メンバー達は秋元真夏のそばから入れ替わっていく。
 やがて、秋元真夏と賀喜遥香のWセンターとなって、その感動は会場を包み込んだ。
 第14位『逃げ水』が与田祐希と岩本蓮加のWセンターで歌われる――。
 青い寒色系のライトに照らされて、そのステージは大興奮の中、完成される。歌の間奏で、ドビュッシー作曲のベルガマスク組曲・第3曲『月の光』のピアノ演奏が鳴ると、オーディエンスは着火したかのように大爆発してその声を轟(とどろ)かせた――。

「うおお、うっひょう、か、感動するっ‼‼」風秋夕は手に汗握る。
「与田ちゃんとれんたんか、最強だね」稲見瓶は静かに感動していた。
「おいおい、逃げ水ってこんなかっけかったっけか?」磯野波平は驚愕している。腕には鳥肌が走っていた。「おいおいおいおぉい‼‼」
「いつの時代も、与田ちゃんとれんたんは可愛かったでござる。それはもう、ミラージュでござる! 観ているでござるか、桃子ちゃん殿‼‼」姫野あたるは浮かび上がった涙をぬぐわずに、絶叫する。
「ちと、やべえわ、鳥肌立つわぁ~」天野川雅樂は言う。「俺はもっと誠実にならにゃいかんわ、これちっと……」
「うん。僕も」来栖栗鼠は元気のいい笑みを浮かべた。「生きる、精一杯‼‼」
「あ~もう、この日に感謝。乃木坂に、皆さんに感謝します。スタッフの皆さんも、ありがとうございます」駅前木葉は祈るように、眼を閉じて指先を組んだ。
「一生応援してたいわね~」宮間兎亜は正直に言って、叫ぶ。「与田ちゃあ~~ん‼‼」
「れんた~~ん‼‼」御輿咲希は涙ぐみながら叫んだ。
「すげえ、逃げ水、すげえ……」比鐘蒼空は驚愕の大興奮に打ち震えていた。

 第13位『シング・アウト』が山下美月のセンターで開始される――。オーディエンスは暗黙の了解でクラップを開始する――。火花が立ち昇る中、美しき姫達は歌い始める。英雄から受け継がれた由緒あるソロダンスを、山下美月が見事に美しく舞った。
 第12位『言霊砲』が妹坂の与田祐希、山下美月、久保史緒里の三人で歌われる。元3期生であり、盟友であり戦友である元妹坂の大園桃子のパートは三人が歌った。

「言霊砲、一番可愛い説ない?」風秋夕は稲見瓶を一瞥した。
「銭湯ガールズもいるしなあ」稲見瓶は、あごをつまんで考え始める。しかしその視線は風秋夕と同様に、巨大スクリーンから一ミリも離しはしない。「難しいね」
「与田ちゃあああん‼‼ 好きだあああ‼‼」磯野波平は叫んだ後で、顔面を蒼白させて、視線を泳がせながら呟く。「いや美月ちゃんも久保ちゃんも愛してんだよ、なんでコールっていっぺんに叫べねんだ……」
「一人一人、順番に、心と思いを込めて、叫ぶでござる!」姫野あたるは笑った。
「久保ちゃあ~~んっ‼‼」天野川雅樂は叫んだ。
「美月ちゃ~~ん‼‼ 久保ちゃ~~ん‼‼ よ~~だ~~ちゃあああああ~~ん‼‼」来栖栗鼠はコールの部分以外でも叫んでいる。それを壮絶な覇気でである。「与田ちゃああああん‼‼」
「言霊砲、好きです」駅前木葉は常軌を逸した顔つきでにやけた。「笑止っ‼」
「可愛いわね~~」宮間兎亜はくしゅ、と半眼で微笑んだ。
「素敵……」御輿咲希は小首を傾げる。「大天使だわ~……」
「かわ、いい………」比鐘蒼空は、緊張して、赤面していた。

与田祐希は笑顔で言う。
『お姉さんになった妹坂もよろしくお願いします!』
 ナレーションが語る。ランキングを知った時の感想を久保史緒里は語る。『言霊砲』をもらった当時、妹坂の四人でいつも固まっていたので、それでいただけた楽曲かもしれないと彼女は語る。
 3期生として六年と半年、久保史緒里はその歴史を、乃木坂46の歴史を感慨深く語る。バトンを、受けったのだと――。
 梅澤美波は語る――。不安もあるけど、ちゃんと意思も持って、やって行きたいなと思います。
 第11位『他人のそら似』が始まる――。10周年の記念として制作されたこの名曲が、偉大なる11年目のランキングに記された。