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恩送り 飛ぶ鳥・飛鳥―2011~2023―

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 皆さん、ありがとうございました――。受け継いだバトンを、きっかけと共に、渡していきたいと思います。キャプテンの秋元真夏は、誇らしそうにそう微笑むと、ステージにその言葉を残して、仲間である乃木坂46のメンバーと共に、ありがとうございました――と一礼をして、乃木坂46の11回目の誕生日の幕を下ろした……。

 暗闇に染まる会場の中、自然と発生する『乃木坂46』というコール……。
 湧き起こるクラップ。
 その声達は留まる事は無く、
 その手はクラップし続ける。
 乃木坂――。
46――。
 クラップ、クラップ、クラップ。
 クラップ、クラップ、クラップ。
 乃木坂――。
 46――。

 乃木坂――。
46――。
 クラップ、クラップ、クラップ。
 クラップ、クラップ、クラップ。
 乃木坂――。
 46――。

 その声達は、知っているのだ。
 一度下ろされたその幕が、
 また再び、開かれる事を――。

 乃木坂――。
 46――。
 クラップ、クラップ、クラップ。
 クラップ、クラップ、クラップ。
 乃木坂――。
 46――。

 オーディエンスは呼びよせる。
 11年目の、奇跡の時間を――。

 『ガールズルール』が山下美月の『お前ら、行けんのか~~‼』という発声とほぼ同時に始まった――。センターはトロッコに乗り込んだ山下美月である。
 会場中に広がる乃木坂46は黒いバースデイ・ライブTシャツにスカート姿であった。
 彼女達は手を振る。このコールを、叫ぶ為に、何年も待ちに待った、熱い熱い本物のファン達に――。
 歌詞の『真夏に恋して卒業していく』の部分は、固く誓われた暗黙の了解で、バックスクリーンに秋元真夏の大きな笑顔が映された。
 『ダンケシェーン』が久保史緒里のセンターによって歌われる――。オーディエンスは暗黙の了解で、コールを熟知している。秋元真夏は、ラスト、笑顔で『やっぱ乃木坂だな‼‼』と、しっかりと見せ場を決めてみせた。
大歓声が鳴り響く。
 賀喜遥香はこのライブの感想を語る。
 大歓声が唸った。
 賀喜遥香は、オーディエンスの圧に負けそうで、嬉しかったと語った。ようやくこの時がきたと、彼女達は語った。
 井上和にマイクが渡ると、また大きく歓声が鳴り上がった。彼女は、声出しライブが初めてだと語り、ステージに出てオーディエンスの声を聴いた時、お祭りのようで楽しかったと微笑んだ。
 秋元真夏は優しく絆(ほだ)すように井上和に頷いた。
 山下美月にマイクがいくと、また激しい歓声が沸き上がった――。彼女は12回目のバースデイ・ライブは後輩だけで行う事になるので、今後のライブで、しっかりした姿を見せたいと、笑顔でほっこりと決意した。
 秋元真夏は、現キャプテンとしての立場から1つ、大事なお知らせがあると、感情の籠った言葉で語り始めた……。初代キャプテン、桜井玲香から受け継いだキャプテンのバトン。そのバトンを、今、次なるキャプテンへと手渡そうと思います――と。ここまで、皆さんのおかげで、やってこれた――と、彼女は涙を凌(しの)いで語る。

 新キャプテンには、梅澤美波が選ばれた――。
 秋元真夏は、言葉に詰まりながらも、強く思いを語る……。

『以前から、副キャプテンとして、私の事をサポートしてくれて、そして副キャプテンという役職に就く前からグループの事をまとめてくれてたり、みんなをサポートする役割をしっかり果たしてくれていて……』

『副キャプテンになってからも、乃木坂としては、その役職が初めてできた場所だったので、どういう事をしたらいいかっていうのをすごく毎日毎日探しながら、私の事をずっと考えて、私の為に何が出来るかって言うのを本当にずっと横で考えてくれていた、梅なので、私からはもう心配の気持ちもないですし、何よりもうれしいので、今日こうして、梅にやってもらえる事が嬉しくて仕方ありません』

 三代目キャプテンとして、梅澤美波は最初の任務としての言葉を語り始める……。
 後輩やファンが満足できる、そんな乃木坂46にしていきたいと、彼女は涙ながらに気高く語る。

『3代目キャプテンに就任する事になりました……。加入してから、ずっと玲香さんと真夏さんの姿を近くで見てきて、副キャプテンに就任してからは、もしかしたらこの役割を自分が担う日が来るかもしれないなと、気持ちを強く固めていました……』

『でも、キャプテンだと言われた時に、すごく動揺している自分がいて、この立場になって初めて、真夏さんが背負っていたものの大きさに気づきました……。凄く重みのあるバトンを受け取ったと思っています』

『でも、これからの乃木坂を引っ張っていくには、この重みだったり、怖さを吹き飛ばす力が今の自分には必要なんだと思っています。……後輩たちがのびのび、不安な気持ちなく、活動できるグループを目指して。そして、ファンの皆さんが楽しんで、追いかけられるグループに出来るように、私なりに少しずつ、がんばっていけたらなと、思っています。よろしくお願いします』

梅澤美波が語った通り、秋元真夏も、キャプテンとして担うその責任の恐ろしさや重圧を肯定(こうてい)し、梅澤美波を支えて下さいと、涙を浮かべて、凛々しく懇願する。

『キャプテンに就任した瞬間の恐怖とか不安っていうのは、私も同じ気持ちを味わっているので、凄く今の梅の気持ちがわかるんですけど……。キャプテンというポジションは、前向きに毎日走ってるように、外からはもしかしたら見えるかもしれないんですけど、皆さんが思っているより、ほんとちょっとだけ、大変な事とかもあるのかなっていう気がしてるので』

『何か大変な事とか、つらそうな姿を見せている瞬間があったら、皆さんから温かい言葉をたくさん掛けてあげてくれたらすごく嬉しいなと思います。梅澤美波の応援を、よろしくお願いします!』

 最後の曲と語れた『君の名は希望』が流れる――。
 曲の終わりが近づくと、手拍子が自然と発生した……。
 皆さん、ありがとうございました――。最後のバースデイ・ライブでした。1期生と2期生がいるバースデイ・ライブは、歴史的に、これが最後のステージとなりました。
 これからも、乃木坂46は前に進んでいきますので、11年目の乃木坂46も、皆さんよろしくお願いいたします――。
 皆さん、ありがとうございました――。
 オーディエンスへ、そして、配信で見守る全国のファンの元へと、秋元真夏は、乃木坂46は、伝統である『ありがとうございました』――を、その永遠の笑顔を――、最後の最後まで、温かく気高く、凛々しく、贈り届けてくれた。

       4

 二千二十三年二月二十三日――。〈映写室〉に集まった乃木坂46ファン同盟の十名、風秋夕と、稲見瓶、磯野波平、姫野あたる、駅前木葉、天野川雅樂、来栖栗鼠、御輿咲希、宮間兎亜、比鐘蒼空は、乃木坂4611周年記念バースデイ・ライブ・デイ・2・5期生コンサートを楽しみに待ち構えている。
 稲見瓶はコーラを飲みながら、左手首にしている愛時計のタグホイヤーで時刻を確認した。
 時刻はPM17時19分であった。