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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「リアンの能力は毒を纏ったナイフを振るうものでしょう? 確実に相手を殺す事になるわ。そうなったら彼らのリーダー格を聞き出せなくなる。だからリアンには戦いから離脱して欲しいのよ」
 シュウの言葉は言い得て妙だった。
「わ、わかったよシュウちゃん……」
 リアンはナイフを仕舞い、後方へ下がっていった。
 リアンが退いていくのを確認すると、シュウはタオとアキラの方を向いた。
「これでだいぶ公平な勝負になるわね」
 明らかな手加減をされた気がして、タオとアキラは怒った。
「調子に乗ってんじゃねぇぞ! やっちまうぞタオ!」
「おう、アキラ!」
 タオとアキラは、刀を構えた。
「その素人剣術がどこまで通用するかしらね!?」
 シュウは挑発した。
「ぶった斬ってやる!」
 挑発に乗ったタオが、シュウに斬りかかってきた。
 シュウは、前横に体捌きし、足を前に出した。
「おわっ!?」
 タオは前のめりになっていたため、シュウの足をかわせず、そのまま前方に転んでしまった。
 倒れて死に体になったタオに、シュウは刀の切っ先を向けた。
「ひっ! お助け……!?」
 タオは、非常に情けない声を上げた。
「トウジ君!」
「任せておけ!」
 トウジはアキラに向き、手をかざした。
「魔力を弾丸に、マナバレット!」
 トウジの使った魔法は、相手を殺さない無属性の魔法であった。
「ぐほぉっ!」
 アキラは鳩尾に魔法弾をまともに受け、その場に崩れ落ちた。
 勝負はあっけなく終わった。シュウとトウジの圧勝である。
「どうしたの? もう終わりかしら?」
 シュウは、タオに突き付けた切っ先を更に近づけた。
「ひいぃ! 終わりだ終わり、お前の勝ちだ!」
「ゴホッ! クッソー、グチの野郎フカシやがって! どこが弱い奴らだ!」
「負けを認めたなら訊きたい事があるわ。あなたたちのリーダー格はどこにいるのかしら?」
「この先の、しし、渋谷西にアジトがある。そこにタケハヤがいる!」
 タオは、タケハヤという人物がリーダー格であると白状した。
「タケハヤ……」
 シュウは口にした。その隙を見て、タオは起きてアキラの所に駆け出した。
「おい、立てるか!?」
 タオは、アキラに肩を貸した。
「テメェら覚えてやがれよ!」
 タオは逃げ出していった。
「待て!」
「追いかけよう、二人とも!」
 三人は追いかけた。
 手負いのアキラが一緒のタオであったが、逃げ足が速く、三人はまかれてしまった。
「くそ、まかれたか」
「でもあいつらのアジトはこの先なんだよね? 急ぐ必要はないんじゃないかな?」
 リアンは言った。
「だが、ゆっくりもしていられない。これは急務だからな」
 トウジは言う。
「待って二人とも。あそこにいるのって……」
 シュウは、見覚えのある影の存在を見つけた。
「イノとグチじゃないかしら?」
「イノにグチ? はて、そんな奴らいたか?」
 トウジは覚えていなかった。
「わたしは覚えてるよ。すんごく弱かったからね」
「あいつら、アジトの門番をしているようね……」
 あと少しでSKYのリーダー格のいる場所にたどり着けるというのに、多少の邪魔が入りそうだった。
「どうする? このまま近付けば戦いは避けられないと思うよ?」
 リアンは言った。
「かと言って別に入り口があるとは思えんが……」
 トウジの言う通り、忍び込める所はないと思われた。
「仕方ないわ、ここは正面突破よ。ただし手加減はして、ね」
 人と戦うのが嫌なシュウにしては、大胆な提案だった。
「行くわよ二人とも!」
 シュウが先陣を切った。その後にトウジとリアンが続く。
 イノとグチの所にたどり着くのはあっという間であった。
「また会ったわね、イノにグチ!」
 啖呵を切ったのはシュウである。
「あぁ? お前らは……ムラクモの!?」
「ムラクモですって!?」
 二人は驚きを見せた。
「どうしたの、なにを驚いているの?」
 リアンが訊ねた。
「驚いてなんかいねぇ、ずっと待ってたんだよ。お前らが来るのをな」
 グチはニヤリと笑った。
「あれからタイヘンだったんだからね? タケハヤには怒られるし、みんなに笑われるし……」
 イノは、屈辱を思い出しながら言った。
「きっとお前らなら、ここに来るのを踏んで見張り役をやっていたのさ」
「自ら見張り役を買って出るなんて、目的は何?」
 シュウは訊ねた。
「決まってんだろ。お前らにリベンジするためだよ!」
 グチは刀を空間に出現させた。
「言っておくが、この前みたいになると思うなよ。今日はしっかり朝飯を食ってきたからな!」
 グチは構えた。
「食事の有無で、戦力の差が縮むと本当に思っているのか?」
 トウジが言った。
「もちろんトレーニングも欠かさなかったわ」
 イノは言った。
「トレーニングしても、わたしたちと君たちには越えられない壁があるとおもうんだけど」
 リアンが挑発的に言った。
「御託はもういらねぇ! さっさと始めるぞ! 行くぞイノ!」
「オーケーグチ。今度こそ分からせてやろうじゃないの!」
 イノとグチは戦いを始めた。
 そして息つく間もなく勝敗は決まった。十三班の圧勝である。
「いってぇぇぇぇ! 何だこれは、てんで歯が立たないじゃねぇかよ!?」
「いったぁ! もう、ネイルが割れちゃったじゃない! 女の子に手加減無しなんてマジ最低!」
「……これでもかなり手加減したんだけど」
 戦ったのはシュウ一人であった。と言うよりも残り二人の出る幕がなかった。
「くっそー! お前のその力何だってんだよ!? もうオレたちの完敗だ! 降参だ!」
「いや、それはあり得ないでしょ。一度も勝てなくて終わりだなんて」
 グチは降参の意を示したが、イノはまだ戦う意思があるようだった。
「なら、もう少しだけ続けてみようか?」
 シュウは、不敵な笑みを浮かべて再戦を迫った。
「いーや、この勝負はお預けよ。トレーニングを積みに積んで力をつけたら戦うわ!」
 イノは、グチとは対称的にまだリベンジをするつもりだった。
「タケハヤに会うんならこの先のアジトだ。言っとくが、タケハヤはマジでつえぇ。戦おうなんて無茶はしないことだぜ……」
 イノとグチは道を開けた。
ーー四季、いつの間にそれほどの力を……?ーー
 トウジはシュウの成長に、密かに驚いていた。
 相手はS級に満たない、精々Aプラス級程度の相手であったが、手加減をしても相手を悶絶させた。
 シュウの全力はいかほどか、考えるトウジであった。
 シュウたちは、SKYのアジトに足を踏み入れた。アジト内部はドラム缶や廃車などの入り乱れる、まさに不良の溜まり場といった場所であった。
 男も女も金髪であり、服も気崩しており、アジトに溜まっている者は皆不良少年、少女の様相を成していた。
「あァ?」
 少年の一人が、招かれざる客人である十三班に気が付いた。
「誰だオメーら?」
「ここをSKYのアジトだって、分かってて来たの?」
「だとしたらトンでもねぇバカたちだぜ!」
 次々に他の不良たちも十三班に気付いていった。
「お前たちに用はない。リーダー格を呼んでもらおう」
 トウジは、不良の軍勢を恐れる事なく訊ねた。