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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「ちょっと待て」
 トウジが引き止めた。
「どうしたのトウジ君?」
「なにやら妙な女の頼みを受けるつもりのようだが、十三班のリーダーとして許可できんな」
「そんな、どうして? 困ってる人がいるんだよ? さっきも言ったけど、私たちの力は戦うためだけのものじゃないって」
「言いたい事は分かるが、今のところ俺たちしかドラゴンに対応できない。要らぬ体力は消費すべきじゃない」
 トウジは、チェロンのクエストが、ドラゴンに繋がりがある可能性を危惧していた。
「本宮はどうだ? この女のクエストとやらを受けるべきだと思うか?」
「わたしもパスかなぁ。疲れたし……」
 リアンもクエストに乗り気ではなかった。
「そんなリアンまで……こうなったら私一人で行くわ」
「リーダー権限で、それこそ許可できん」
 トウジは引き下がらなかった。
「リーダー権限なんて、そんなの無いよ。困ってる人がいるんだから。もう私は行く!」
「あ、待て四季!」
 シュウは、トウジが止めるのを聞かず、エントランスホールを駆け出してしまった。
「あの、ソーリーね。ワタシのせいでケンカになってしまって」
 チェロンは詫びた。
「古菅と言ったか。お前は悪くない、悪いのは班の統率が取れない俺自身だ……」
 トウジは、チェロンを責めず、自らを責めた。
「そう? ならワタシはここでクエストを出し続けるヨ。トーソツが取れるようになるマデ気長に待ってるヨ。疲れてるところ話を聞いてくれてアリガトネ」
 チェロンは、カウンターの奥へと引っ込んで行った。
「どうするトウジくん。シュウちゃんを追う?」
「いや、たかが失せ物探しだ。四季一人でもなんとかなるだろう。俺たちは部屋に戻って休むぞ」
 トウジとリアンは、十三班自室に戻ることにした。
 その後シュウは、地下シェルターから頼まれていたピルケースを見つけ出し、クエストは成功に終わったのだった。
    ※※※
「SKY討伐を命じます」
 改修が終わり、新しくなったムラクモ本部にて作戦会議が行われ、そこでナツメから出た言葉だった。
「ちょっと待てナツメ。今は人間同士で争っている場合じゃないだろう?」
 トウジはナツメの提案に、断固反対した。
「私も反対です。人と戦うなんてできません!」
 シュウも反対の意を示した。
「あなたたちの言いたい事は分かります。けれどもSKYに渋谷を牛耳られていては、作戦の邪魔になると考えられる。後顧の憂いを潰すには、彼らを討伐するしかない」
 ナツメは言った。
 ナツメがSKY討伐という過激な作戦を下したのには理由があった。
 SKYは、皆ムラクモ機関を嫌っており、メンバーは大なり小なりムラクモ機関に憎しみを持っていた。
 憎しみを持ったSKYのメンバーが、この竜災害に乗じてムラクモ機関を害する可能性があった。
 ドラゴンを相手にしながら、SKYも相手にしなければならない、そうした事態を想定してナツメはSKY討伐を命じたのだった。
「災いのもとは先んじて刈り取っておくべきよ。気持ちは分からなくはないけど、これがベストの選択なの。改めて総長命令よ、SKY討伐を命じます」
 シュウたちがこれ以上異をとなえる間もなく、会議は終了した。
 会議から間もなくして、シュウたち十三班は再び渋谷へと赴いていた。
「ねえ、トウジ君」
 シュウは呼びかけた。
「どうかしたか、四季?」
「ナツメさんは、ああ言ってたけど、本当にこれがベストの方法なのかな?」
 シュウはまだ、ナツメの任に迷いを見せていた。他に方法が、戦わなくて済む方法はないかと思っていた。
「ムラクモ機関とSKYには、大きな軋轢がある。ナツメが過激な策を弄するのは無理のない事だ」
 ナツメが討伐任務を出した理由は、トウジには分かっている事だった。
「SKYの面々は、元はムラクモ機関にいた人間だ。ただしどこかの班に属していた訳ではない。実験のため機関に置かれていたモルモットだった」
 能力開発のモルモットだった現在のSKYは、日々非人道的実験を受けていた。
 トウジはそれを幾度となく見せられていた。
「ナツメにとって、ムラクモ機関から逃げていったSKYは目の上のたんこぶだ。さぞ憎らしい事だろう。それを力のない自分では打ち払えないから、俺たちに任命したのだろう。正直なところ、この任務に正義はあるのか、決めあぐねている」
「二人とも、一体なにを迷っているの?」
 リアンは言った。
「SKYが降りかかる火の粉なら、払わなきゃいけないでしょ? 人間同士で争ったところで、たかが人が数人死ぬくらいじゃない。ドラゴン討伐に比べたら楽な任務だよ」
 リアンの言葉は、ナツメ以上にトゲのあるものだった。
「リアン、それ本気で言ってるの?」
 シュウは問うた。
「本気も本気だよ。これも命令ならしたかないよ」
 リアンは、元は暗殺者であるから、シュウとは覚悟が違っていた。
「命令なら人の命も奪っても良いと言うの!?」
 シュウはつい怒鳴ってしまった。
「落ち着け四季、本宮も言葉が過ぎるぞ」
 トウジは、二人の間に割って入った。
「シュウちゃん、何を怒っているのか分からないけど、これだけは言える。戦いの場で迷うことは、死につながるよ」
 リアンの言葉は、普段と違って重みがあった。これから先に待ち構えている人間同士の殺し合いに覚悟を持っているからこその重みであった。
「おっと、ここから先は通さないぜ
?」
 反目し合う十三班の前に、少年が二人、姿を現した。いかにもSKYの人間と分かる、チャラチャラした姿をしていた。
「オレたち二人に出会っちまったのが運の尽きだったな!」
 少年たちは、空間に刀を出現させた。
『あれは異能力! 十三班、あれがSKYの人間です』
 ミイナから通信が入った。
「そうらしいな、風体からは想像できんが、あんな能力を見せられては信じざるを得んな」
「ミッションスタートだよ、シュウちゃん。話し合いじゃ解決できないことは分かるよね?」
 リアンはナイフを取り出した。
「やむを得ん……!」
 トウジも戦闘態勢になった。
「二人とも、まだ戦わなくても……!」
『シュウ、気持ちは分かりますが、総長からの命令は、SKYを殲滅することです戦闘態勢を取ってください』
 トウジとリアンに引き続き、ミイナにまで言われても、シュウは戦う意思を持てなかった。
「二対二か。むこうのセーラー服はビビって戦えねぇようだしな」
「ギャハハ! その腰にあるものはお飾りか!?」
 SKYの少年二人はシュウを煽った。
「お前たちの相手は俺とこの女だ。後ろの女の手を下すまでもない」
「おーおー、ずいぶんと自信満々じゃねぇか! やっちまおうぜアキラ!」
「おう、タオ!」
 アキラとタオ、トウジとリアンの戦いが始まろうとしていた。
「待って!」
 始まりかけた戦いに待ったをかけたのはシュウであった。
「私も戦うわ」
 シュウは、加賀清光を抜いた。
「四季!?」
 突然の事に、トウジは大きく驚いてしまった。
「ただしリアンは戦いから身を引いて。私とトウジ君が戦うわ」
「どうしてわたしが?」