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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「質問に質問で返すンじゃねェよ。まあ、一応言っておく。憎しみどころじゃねェ、憎悪だ。オレだけじゃねェ、ここにいる全員が憎ンでるぜ?」
 タケハヤは、気だるそうにあくびをした。
「……喋り疲れたぜ。まあ、あのババアに何を言われて動いてるか知らねェが手を退いた方がいい。今日の所は見逃すが、次会った時もババアの指示に従っていたら、容赦しねェ、いいな?」
 タケハヤはアイテルを連れてアジトから出て、自室にしている雑居ビルへと向かっていった。
「あ! 待ってよタケハヤ!」
 ネコも後を追った。
「運が良かったなムラクモ、タケハヤの気分が戦いに向いていなかったからな。お前たちも早々に立ち去るがいい」
 ダイゴは一言残しアジトを後にした。
 ダイゴがいなくなると、アジトはもぬけの殻となった。
『コール十三班』
 ミイナからの通信が入った。
『SKY討伐任務は失敗に終わってしまいましたね。これから先どうするのか、対策を立てねばなりません。一度都庁に帰還を……』
 ミイナが言い終わる前に、籠手からブザーが鳴った。
「何!?」
 シュウは、驚き叫んだ。
『救難信号です! これは、自衛隊から……!?』

 Phase5 憂いの救難信号

 自衛隊は、ドラゴン対策として、滅茶苦茶になった地下道を舗装する役割を担っていた。
 五丁目駅付近で瓦礫や横転した電車を撤去する作業を行っていた所、小型のドラゴンが出現した。
 交戦した自衛隊であったが、やはりドラゴン相手では手も足も出ず、隊員は散り散りになってしまった。
 地下も帝竜の巣食うダンジョン化しており、横洞ができていた。
 数名の隊員が、その横洞に追いやられ、連絡も取れなくなってしまった。
 誰がいつ死んでもおかしくない状況に置かれた時、隊員のイコマがムラクモへと救難信号を送ったのだった。
「何故勝手に救難信号を出した!?」
 リンが、イコマに向けて怒鳴った。
「今の自衛隊を束ねるのはアタシだ。そのアタシを差し置いて、しかもムラクモ機関に送るとは……!?」
 リンの言葉は、急な痛みに遮られた。
「無理をするな、リン。肋骨がやられているんだ。騒ぐと悪化するぞ」
「こんなものはどうでもいい……うくっ!」
「リン、今の俺たちは機材もろくにない上に、『アイツ』とドラゴンが現れて皆とはぐれてしまった。この上はムラクモ機関に助けを求めるしか無かったんだ」
 リンは、イコマにこの上なく諭され、何も言えなくなっていた。
ーーどうしてアタシはこうなんだ……!ーー
 ふと、辺りが少し明るくなった。地下道への入り口が開かれたのだ。
「助けに来たぞ!」
 ガトウが真っ先に地下へと下りてきた。その次にシュウたち十三班、アオイ十班が続いた。
 十三班のリーダー、トウジは先のSKYとの戦いで傷を負い、ガトウがトウジの代わりとなっていた。
「ああ、ガトウさん! 体はもういいんですか?」
 イコマは訊ねた。
「おう、怪我もぼちぼち良くなってきたンでな、リハビリがてら来てやったぜ」
 ガトウはニヤリと笑った。
「それより状況説明を頼めるか? オレらに救難信号を送ったンだ。相当ヤバイ事になってンだろ?」
「はい、実は……」
 イコマは、リンが負傷し、三人の隊員とはぐれた上、ドラゴンが出現している現状を話した。
「そりゃあヤバイどころの話じゃねェじゃねェか! 急がねェと死人が出るぞ!」
 事態は深刻であった。
「よし、ここは手分けしていくぞ。アオイ、お前は十三班を手伝え、シュウ、トウジのいない今リーダーをできンのはお前だ」
「私が、ですか!?」
 シュウは驚いた。
「あァ、リアンも文句ねェだろ?」
「ないです。わたしは誰かに指示するのとか、できないと思いますから」
「てな訳だ。大人しくオレの言うこと聞いとけ」
 シュウは、半ば強引にリーダーにされた。
「十三班を手伝うって、具体的には何をすればいいですか?」
 アオイは訊ねた。
「ドラゴンとの戦いもしてもらうが、一番ははぐれた隊員の搬送だ。恐らく大なり小なり怪我はしているだろうからな」
「分かりました。それで、ガトウさんはどうするんですか?」
「オレか? オレは先陣を切る。オレが邪魔であろうドラゴンやマモノを退治する。仕留め損ねた奴らはお前たちに任せたぜ」
 ガトウはリンたちを見た。
「お前たちはここを守っててくれ。ここが唯一の出口だ。退路は任せたぜ!」
 言うとガトウは左腕の籠手を操作した。
「ミロク、ミイナ! お前たちのナビも重要だ。ミロクはオレを、ミイナは変わらず十三班を頼む。だが、トウジがいない。いつもより慎重なナビを頼ンだぞ!」
『了解だ』
『了解しました』
 ナビ二人の返事を聞くと、ガトウは刀を抜いた。
「よし! 作戦開始だ! 行くぜェお前ら!」
 ガトウは作戦通り、先鋒を引き受けて駆けていった。
「ガトウさん、すごーい……ってぼーっとしてちゃダメだよね。行こうシュウちゃん、アオイちゃん」
 リアンもナイフを持って戦いの準備をした。
「シュウ先輩、行きましょう! 大丈夫、先輩ならできますよ!」
 アオイに励まされ、シュウはリーダーをする覚悟を決めた。
「分かったわ、行きましょう! 二人とも、私に付いてきて!」
 三人はガトウの後を追った。
 ガトウの通った後には、マモノの死骸が転がっていた。マモノ程度の相手なら瞬殺できるほどに、ガトウの状態は良くなっていた。
「ちっ、ちょこまかと……! シュウ、すまねェ、そっちに一匹ドラゴンが行っちまった」
 早速シュウの指揮能力が試される事となった。
 ガトウが取り逃がしたドラゴンは、素早いが小さいドラゴンであった。
『コール十三班』
 ミイナの通信が入る。
『今あなたたちが対峙しているドラゴンは、識別名リトルドラグ。小さいですが爪と牙が鋭く、その上速さがあります。懐に入り込まれないように戦ってください』
 ミイナの通信が切れた瞬間、ドラゴンは何やら狙いを定めていた。
「あいつ、何かする気ね。飛び込んでくるかもしれない、二人とも、気をつけて」
 シュウが思った通り、ドラゴンはシュウめがけて襲いかかって来た。
「くっ!」
 シュウは刀を振るったが、いとも容易くかわされてしまった。
「しまっ……!?」
 ドラゴンはシュウに纏わり付き、牙を立てて噛りついてきた。
 シュウは、向かってくる牙を何とかかわしていたが、纏われ付かれていては、反撃の手が出せなかった。
「離れなさいよ……!」
 シュウは抜き身の刃を噛みつかせ、上下左右に振り回して拘束を逃れようとするものの、ドラゴンは刃を離さなかった。
ーーこのままじゃ埒が明かないわ……はっ、そうだわ!ーー
「リアン!」
 シュウはリアンを呼んだ。
「私がコイツを押さえておくわ。動けない間に毒のナイフでコイツを刺して!」
 シュウは、ドラゴンが離れていかないように、両前足を掴んだ。
「まかせてよ、シュウちゃん!」
 リアンは言うと、ナイフに毒を纏わせた。そして持ち前の目にも止まらぬ速さでシュウとドラゴンに接近した。
「ぶすっと行くよ!」
 リアンは、ドラゴンの背中にナイフを突き立てた。
 リアンの刺突は、ドラゴンの急所に的中し、一瞬にして全身に毒が回った。