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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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 毒で死んだドラゴンは、力を失って噛みついていたシュウの刀から地面に落ちた。
 そしてDzのみを残して肉体は霧散した。
「さすがね、リアン」
「そんなことないよ。シュウちゃんの指示がよかっただけだよ」
 リアンは、シュウの指揮力を称賛した。
「うーん、それならここは二人の力が合わさって上手く行ったと言うことで」
 シュウはDzを回収した。
「急ぎましょう。ガトウさんに限って無いとは思うけど、苦戦してるかもしれないから」
「私もそう思います。先輩方、ガトウさんを追いかけましょう!」
 アオイが言うと、三人はガトウを追った。
 ダンジョン化した横洞は、かなり入り組んでおり、地面に穿たれた大穴を通って進まなくてはならない箇所もあった。
 まるでモグラになったような気分になりながら、シュウたちは穴を通って行った。
 行く手を阻むマモノは早々に退治しつつ進んでいると、ガトウと負傷した自衛隊を見つけた。
「ガトウさん!」
 アオイが真っ先にガトウの元へ駆け寄った。
「おう、お前らも来たか」
 ガトウは、フィールドスキルという特別な技で、負傷した自衛隊の治癒を行っていた。
「やっぱ思った通りだ。この隊員は怪我してたぜ。フィールドスキルで治る範疇だが、こりゃもっと先の隊員は重傷かもしれねェな。アオイ、脱出キットは持っていたよなァ?」
「はい、ガトウさんが持っておけ、って言ってたのでちゃんと持ってきましたよ。十五セット」
「ホントにそんなに持ってきたのか。五セットもありゃ十分だったンだがな。まあいい、組み立ててこの隊員を都庁に送ってくれや」
 アオイは、脱出キットを組み立て、負傷した隊員を転送した。
「よし、これで後は二人だな。次も同じように、オレが先導する。ドラゴンを倒しつつな!」
 ガトウは、ミロクのナビでドラゴン反応を確認し、刀を抜いて走り出した。
 ガトウが先行し、その後を十三班が追う、という戦法はこの後も効果てきめんであり、シュウたちはマモノもドラゴンも確実に倒して行った。
 穴だらけの自然のトンネルにもだんだんと慣れていき、一同は横洞のダンジョンを踏襲しつつあった。
 一同が進んでいく内に、もう一人の負傷者が発見された。
 負傷した自衛隊は傷が浅く、意識が残っており、話を聞くことができた。
 彼によると、瓦礫の撤去作業中に『アイツ』が姿を見せたのだという。
 それは、ドラゴンをも可愛く思えるほどの巨体を持つもので、その巨体を以て地下道を這い回り、このダンジョンを作り上げたのだった。
 這い回るものから逃げようとも逃げられず、この横洞ダンジョンに逃げ込んでしまったが、運良く『アイツ』からは逃れることができたとのことだった。
「その傷でよく話してくれた。感謝するぜ。アオイ、キットの準備だ」
「はいはーい!」
 アオイは、脱出キットを組み立てた。
 負傷した隊員は、都庁へと送還された。
「しかし、『アイツ』っつうヤツの事が気になるな。どうにもキナ臭ェ。おい、ミロク、そんなヤツの反応はねェか?」
『探ってみたけどそんな反応はなかったよ。ただし全く無い訳じゃない、かすかにそんな反応らしきものならある。こいつは可能性の一つだが、休眠中なんじゃないか?』
 ガトウの籠手から、ミロクは通信を飛ばした。
「休眠中って事はまた暴れだす可能性があるって事だよな? こいつは更に急がねェと行けねェな! ミロク、自衛隊のヤツあと一人、反応はねェか!?」
『それなら私が感知しています。ここから九時の方向、生体反応があります』
 ミイナがシュウの籠手から通信した。
「九時の方向……こっちか! よく見つけてくれたな!」
『いえ、ですが同時にドラゴン反応もあります。反応の二者は近いです。戦闘になっている可能性があります』
 ドラゴン反応は強いものである。戦いになっていては、自衛隊員の命が危なかった。
『さっきまでのリトルドラグとは力の差が上です。急ぎましょう!』
「おう! 強ェドラゴンが相手ならますます急がねェとな! 行くぞお前ら!」
 ガトウたちは、ミイナの示す九時の方向目指して駆け出した。
    ※※※
 鍾乳石が肩の部分と頭にある、灰色の巨体を持つドラゴンと戦闘服を身に纏い、アサルトライフル構える自衛隊員が睨みあっていた。
 隊員は、ドラゴンの攻撃の間合いから離れた位置で銃を構え発砲しようとしていた。
「こんなところで死んでたまるかよ! 食らいやがれ、ドラゴン野郎!」
 隊員は、引き金を引いた。
 連発される銃弾がドラゴンに向けて発射されるが、ドラゴンの岩のような皮膚には傷一つ付けられなかった。
 やがて、弾薬が無くなった。隊員に残された武器はナイフしかなくなり、銃弾の通用しないドラゴンに通用するはずがなかった。
「くっそー!」
 隊員は自棄になり、銃とナイフ両方を地面に叩きつけた。
 次の瞬間、ドラゴンは尻尾で隊員をなぎ払った。ドラゴンの強力な尻尾攻撃で、隊員は岩壁に強かに叩きつけられた。
「ぐっ、ゲホゲホ……!」
 隊員は、肺に残っていた空気全てを抜き出された。そして、そのまま岩壁をずり落ちて、地に仰向けに倒れた。
「……い、いてえ……! 何だよこりゃあ……」
 隊員にはまだ息が残っていた。装甲服を着ていたおかげで、背面を打撲する程度で済んでいた。
 しかし、打撲で済んだといっても、痛みは強く、体をほとんど動かせなかった。
「ちっきしょー! あいてて……こんなとこで人知れず殉職かぁ! もっとカッコよく死にたかったぜー!」
 叫んでは痛みに喘ぎながら、隊員は最期を覚悟した叫びをあげた。
「こっちだ!」
 不意に、男の声がした。そしてざっざっ、と何人かの足音がした。
「なンとか間に合ったみてェだな。アオイ! ひとまず手当てしてやンな」
「もちろんです、ガトウさん!」
 アオイは隊員のそばに座り、膝枕をした。
「大丈夫ですか? もう安心ですよ」
「は、はは……こりゃあ天使が迎えに来たか? ああ、なんて可愛い天使だ……!」
「うーん、少し混乱しているみたいですね。安定剤を打っておきましょう」
 アオイが隊員に安定剤を打っている間に、十三班が追い付いた。
「ガトウさん!」
「来たか、シュウ、リアン!」
 隊員を襲ったドラゴンのいる場所に、ムラクモの人間全員揃った。
『識別名グラナロドン。ガトウと十三班が追っていたドラゴンに間違いありません!』
 ミイナは言った。
「そうか、でかしたぞ、ミイナ。しかしでけェドラゴンだな帝竜ほどじゃないが、こいつァ苦戦しそうだな。シュウ、リアン。ここはオレたち全員で戦うぞ!」
「了解です!」
 シュウは刀を抜いた。
「さくっと終わらせましょう!」
 リアンはナイフを持った。
「よし、オレが先に出てヤツの気を引く! お前らには追撃を頼む!」
 言うとガトウは、ドラゴンに向かって走り出した。
「うおー! 食らいやがれェ!」
 ガトウは、大きくジャンプし、ドラゴンの頭蓋を割りにかかった。
 しかし、頑丈な岩のようなドラゴンの頭に刃が弾かれてしまった。
「チッ! やっぱり通用しねェか」
 ガトウは、手に痺れを感じながら舌打ちした。