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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「真向勝負でダメなら搦め手です! わたしの毒でじわじわ体力を削ります!」
 ガトウの後追いは、リアンが引き受けた。
「この一撃はかくし味だよ!」
 リアンは、弧を描くようにナイフを、ドラゴンの首を狙って振るった。
 しかし、ドラゴンの皮膚に阻まれ、体内に毒を与えることができなかった。
「くっ、ナイフがふかく入らない……!」
「リアン、代わって、次は私が行く!」
 シュウは、正眼の構えをとって、ドラゴンへと迫った。
「斬撃が駄目なら突きよ! 急所を狙う!」
 シュウは一つの踏み込みから三つの突きを放った。
「風穴あけるわよ!」
 シュウは、ドラゴンの皮膚が比較的薄い部分を狙った。
 ようやくドラゴンにダメージを与えることができ、その体勢を崩させる事ができた。
「ほォ、三段突きとは驚いたな。まるで新撰組一番隊組長だな!」
「見よう見まねでやってみたんです。お祖父ちゃんが新撰組のファンで、よく技を真似てましたから」
 二人が話している間に、ドラゴンは立ち直った。
「……でも、まだ技が完成していませんね。三段突きで仕留めるには修行が足りないようです」
 シュウは構え直した。
 今度はドラゴンが仕掛ける番だった。
 その場で暴れるように地面に衝撃を与えた。
 辺りに地震をもたらしたが、その地震でダメージを与えるものではなかった。
「あのドラゴン、一体何をして……?」
 パキパキと、辺りに音が鳴り、同時に砂埃が降ってきた。
「こいつァ!? まずいぞ、その場に伏せろ!」
 ガトウがドラゴンの目的をいち早く察知し、地面に伏せた。
 シュウとリアンも、ガトウの意図を知りかねたが、言う通りに伏せた。
 そしてすぐに、ガトウが察知したものの正体が分かる事になる。
 がらがら音を立てて、辺り一帯に岩が落ちてきた。
 ドラゴンのした事、それは辺り一帯に地震を起こし、落盤を招いてシュウたちを圧死させる事だった。
「うおおおお!」
 落盤の中、ガトウの叫び声と落石の音が響いた。
「ガトウさん、先輩!」
 隊員の保護に徹していたアオイは、離れた所にいたため落盤に巻き込まれる事はなかった。
 やがて全ての現象は終息した。
 岩や土塊の降り積もった中、ガトウら三人の姿が見られなかった。
「皆さん、そんな……」
 アオイは、三人が死んでしまったと思ってしまった。
 しかし、すぐにそのような事は起きていないと分かる。
 パキっと音を立て、土塊の山から手が伸び出た。土塊を払いのけて、ガトウは頭を出した。
 それに続き、シュウとリアンも岩の隙間から頭を見せた。
「うう……はっ! 二人とも大丈夫!?」
「あはは……ふつうの人ならぺしゃんこだね」
「……こいつァさすがに死ぬかと思ったな」
 全員大した怪我をしていなかった。
 味を占めたのか、ドラゴンには余裕のある表情が浮かんでいた。
「あのドラゴン野郎、なめやがって! もう勝ったつもりでいやがるな」
「……反撃と行きましょうか」
 シュウは土塊と岩の山から這い出て地面に着地すると、再び刀を構えた。
「おいシュウ、一人で行くつもりか!?」
「今度こそ急所を捉えて見せますよ、ガトウさん……」
 シュウの目は、何かを悟ったような目をしていた。
 シュウはふと、目を閉じると一気に開いた。
「エグゾースト発動!」
 シュウの全身から青白いオーラが立ち上った。
 エグゾーストを発動したことで、普段では見えないものが見えるようになった。すなわち、ドラゴンの弱点部分を見て取れるようになったのである。
 ドラゴンの弱点、それは腹部にあった。外郭は岩の鎧に包まれ、剣も銃も通さなかったが、腹部は薄かった。
「行くわよ!」
 エグゾーストの効果で、スピードもかなり上がっていた。目にも止まらぬ速さで一気に間合いを詰め、ドラゴンの腹部に滑り込んだ。
「食らいなさい!」
 そして突きを放ち、そのまま刃は抜かず、真一文字に斬り抜けた。
 突きと斬撃を同時に、しかも急所に受けたことでさしものドラゴンでも耐えきれなかった。
 ドラゴンは、特有の虹色の血を噴き、倒れた。同時にシュウのエグゾーストも切れた。
「やるじゃねェか、シュウ!」
 ガトウとリアンが駆け寄ってきた。
「エグゾーストをあんなに使いこなせるなんて、すごいよ!」
 リアンは称賛した。
「エグゾーストを使わないと勝てないと思ったからね。しばらく使えなくなっちゃうけど、あのドラゴンほどの大物はもう出てこないでしょ」
「いや、まだ油断はできねェぞ? 自衛隊員たちが言ってた『アイツ』の存在を忘れちゃいねェよな?」
 ガトウは言った。
「忘れてないですよ。さすがに疲れましたし、この穴だらけの横洞を作れるほどの存在なら苦戦を強いられるでしょう。救護者も無事に見つかりましたし、ここは急いでリンさんの所へ行きましょう」
 シュウは言った。
「それがいいね。アオイちゃん、自衛隊の人大丈夫そう?」
「私を天使だなんて言うほど混乱していましたが、先輩方が戦っている間に脱出キットで都庁に送っておきました!」
「でかしたぞアオイ! 人命救助要員としてお前を連れてきてよかったぜ」
「これではぐれた自衛隊さんは皆無事に都庁へ送れましたね。リンさんに報告しましょう」
 シュウたちは横洞エリアから抜け出した。
 横洞を抜けると、出入口付近にリンとイコマが待っていた。
 シュウは、はぐれた隊員全員救助したことを告げた。
「そうか、ありがとう。死人が出なくて本当に良かった。ほら、リンもお礼くらい言ったらどうだ?」
 リンは、十三班たちに背中を向け言い放った。
「ふん、手柄をくれてやっただけだ!」
「リン!」
 不意に、十三班たちの籠手からブザー音が鳴った。
「何!?」
『コール十三班! 帝竜反応です! ものすごいスピードでこちらに近付いて来ています!』
「あれは……間違いない『アイツ』だ!」
 イコマが叫んだ。
『戦力比較は帝竜の方が圧倒的です! 十三班でも倒せません! ここは何としても逃げてください!』
「逃げるぞ!」
 ガトウが言うと、その場の全員が退却を始めた。
 地下道の出入口までは約百メートルといった所であるが、帝竜はすさまじい速さで迫ってくる。
『ダメです! 追い付かれます!』
 ここにいる全員は絶体絶命の危機に陥っていた。
 どうにか出入口までたどり着く事ができたが、梯子を上る必要があるため、上っている間に帝竜の餌食になるかと思われた。
 しかし、梯子の直前で帝竜は動きを止めた。
「止まった……?」
 シュウは、地下道の出入口に射し込む太陽光を見た。
「もしかして、光を苦手にしているんじゃ?」
「こいつァ僥倖だ! このまま逃げンぞ!」
 シュウたちは動けない帝竜を前に急いで外へと逃げるのだった。
    ※※※
 自衛隊の救難信号により、救助に向かったシュウたちだったが、死者一人出さずに救助に成功した。
 イコマによると、リンが十三班にきつく当たってしまうのは、自衛隊の隊長格に急に抜擢され、自信がなく空回りしてしまっているとのことだった。
 リンの代わりにイコマが十三班らに詫びた。
 絶体絶命の危機に被われたその日の夜、シュウは自室のベッドに座っていた。