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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「十一時の方向、ドラゴン反応があります。新種のドラゴンと思われます。心して討伐をお願いします。オーヴァ」
 ミイナとの通信は切れた。
「毒が得意なら、わたしの技じゃうまく戦えないかも」
 毒を得意とする相手では、毒に耐性があると思われた。同じく毒を使うリアンでは分が悪い相手と考えられた。
「次は俺と四季であたる。本宮は休んでいていいぞ」
「えー、そんなの悪いよ。ドラゴンとの戦いは全員の力がひつようなのに」
「大丈夫だ。またサラマンドラが現れたらお前に任せるからな。よし、行くぞ四季」
「うん、トウジ君」
 シュウとトウジは、ミイナのナビ通りの方向へ駆けた。
 ドラゴンは、思った以上に近くにいた。
「ん、ちょっとあれって!?」
 ドラゴンに近付き、シュウは気が付いた。
 生き残りと思われる人がドラゴンと対峙していた。
「生き残りか!? しかし、救助しようにも距離が……!」
 シュウたちが急いで駆けつけても、生き残りはドラゴンの餌食となりそうだった。
「トウジ君、ここから魔法でドラゴンに攻撃できない?」
「できんことはないが、倒すほどの威力はこの距離では出せんぞ」
「それでいいわ。あいつの気をそらせれば十分よ。それからリアン!」
「なに? シュウちゃん」
「ここから全力で走ってあの人の所まで行ける?」
 生き残りとドラゴンの距離は、およそ百五十メートルほどであった。
「任せてよシュウちゃん! ここからなら、五秒でいけるよ」
「頼もしいわね。それじゃあ作戦はこうよ!」
 シュウの考えた作戦は、トウジの魔法でドラゴンの気をシュウとトウジに向け、交戦している隙にリアンが生き残りの所へ駆けていくという、単純ながらも全員の力を合わせる重要性のある作戦であった。
「そうと決まったら行くわよトウジ君!」
「ああ! 炎よ燃やしつくせ!」
 トウジは、炎の玉をドラゴンに向けて放った。だが、思った通り炎はドラゴンの鱗を焼きつくすまでには至らなかった。
 しかし、ドラゴンの気をシュウたちに向けることはできた。一つ目の策は成った。
 新たな獲物の出現と見たドラゴンは、シュウたちに向かってきた。
「リアン!」
 シュウは十分にドラゴンを引き付けたのを確認すると、リアンの名を叫んだ。
「任せて、シュウちゃん!」
 リアンは、持ち前の俊足を発揮し、生き残りの元へ駆け寄った。
「大丈夫? もう大丈夫だよ」
「……うう……あんたらは、一体……?」
「説明は後。まずはあのドラゴンから身を隠さなきゃ」
 リアンは、生き残りと共に、潜伏のスキルを使った。
ーー後はまかせたよ、二人ともーー
 リアンは、ドラゴンと対峙するシュウたちを見守るのだった。
 シュウは、一太刀目をドラゴンに放った。
「袈裟斬り!」
 シュウの渾身の一撃であったが、ドラゴンの乗る玉に防御されてしまった。
 ドラゴンは反撃に移った。口を開きヘドロの息を吹いた。
「まずい! 四季、下がれ!」
 あまりに咄嗟の反撃であり、シュウはかわしきれなかった。
「四季!」
「なに、これ……? 目がぐるぐるする……」
 シュウは、ドラゴンの毒攻撃により、激しい目眩に見舞われた。
 立っているのがやっとの状態のシュウに向けて、ドラゴンは全体重をかけた体当たりをしてきた。
「四季、そこを動かずに耐えてくれ!」
 トウジは魔法を使った。
「デコイを展開する!」
 シュウは、障壁に包まれた。障壁によってドラゴンの体当たりを弾くことに成功する。
「魔力を弾丸に、マナバレット!」
 トウジは、自らの勢いによって体勢を崩したドラゴンに追撃を放った。
 攻撃は見事に命中し、ドラゴンを大きく吹き飛ばした。
「今が好機だ!」
 トウジは、ホルスターから注射器を取り出し、シュウの所へ駆け寄った。
「四季、今血清を打ってやる」
 トウジは、シュウの腕に注射を打った。
 解毒の注射はすぐに効き目を表し、シュウの視界も元に戻った。
「……ありがとう、トウジ君」
「礼には及ばない。それよりも……」
 トウジは、自らが吹き飛ばしたドラゴンを見た。
 若干のダメージは見られるものの、倒すには至っていなかった。
「毒を持っている上にあの丈夫さ。厄介な事この上ないな……」
 体勢を立て直しているドラゴンを見て、トウジは舌打ちした。
「トウジ君、私に考えがあるわ」
「四季、考えとは一体?」
「二人がかりで一気に倒すのよ」
「そうは言うが、俺の魔法ではわずかなダメージしか与えられんし、四季も近付けばまた毒を受けるかもしれんぞ?」
「剣と魔法、合わせればどうかしら?」
 シュウの考えは、全く新しい攻撃手段であった。
「トウジ君の魔法、私の剣撃を合わせるのよ。トウジ君が先に魔法を撃って、私がその後に続くわ!」
「そんな事が本当にできるのか?」
「やってみなければ分からないわ。トウジ君、誘導よろしく!」
 シュウは構え、トウジが動くのを待った。そうこうしている内にドラゴンは完全に体勢を立て直し、シュウらに攻撃しようとしていた。
「四季……分かった。お前の策に乗ろう、魔法を発動すればいいのだな?」
「それでいいわ。ドラゴンが来る、早く魔法を!」
「よし、灼熱よ、焼き焦がせ!」
 トウジは、炎の魔法を発動した。燃え上がる炎がドラゴンの所へ炎上していく。
「行くわよ!」
 シュウは、トウジの放った炎の後を追うように走った。
 トウジの炎はドラゴンにダメージを与えた。しかし、倒しきるには至らない。
「これで……!」
 シュウは、渦巻く炎を自らの刀に纏わせた。
「倒れろ!」
 シュウは、炎を込めた刀で真一文字にドラゴンを斬った。
 トウジの炎の魔法とシュウの機転を効かせた攻撃により、ドラゴンは倒れた。
「やった、上手く行ったわ!」
 シュウは、策が成功した事を喜んだ。
ーー四季……ーー
 対するトウジは、シュウの指示能力に静かに驚いていた。
 十三班のリーダーを務める自らと比べ ると、圧倒的に指揮が上手かった。
「……って、喜んでる場合じゃないわね」
 シュウとトウジは、リアンの元に駆け寄った。
「リアン、その人の様子は?」
『それは私が調べます』
 ミイナから通信が来た。
「できるの? ならやってちょうだい」
 シュウが返答した。
『了解。メディカルスキャン、起動』
 スキャニングはすぐに終わった。
「どう? ミイナ」
『肋間の骨折二ヵ所、皮膚の裂傷が十五ヵ所ですが、命に別状はありません』
 命に別状はない、と言われ、シュウは胸を撫で下ろした。
「よかった。ちゃんと救えたんだ……!」
 これまで幾人の犠牲を見てきたシュウにとって、傷だらけではあるが、人の命を救えた事が、シュウは何より嬉しかった。
「まさか本当に生き残りがいたとはな……」
 ドラゴンの支配下に置かれた地球上に、それも一月以上時間が過ぎているのに、 劣悪な環境で生き残っている人間がいることに、トウジは驚きを隠せなかった。
「まったくその通りだよ、トウジくん。で、どうするのこの人?」
 ドラゴンに襲われていた男は、命に別状はないとは言え、まともに動く事はできない状態である。ここから連れ出すには難しい事だった。