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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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 ユキは、意を決して脱出キットに触れた。ユキは光に包まれ脱出キットに吸い込まれた。
「ミイナ、転送状況はどうだ?」
 トウジは確認を取る。
『問題ありません。無事都庁へ転送されました』
 これにより、二人目の生き残りを救助することに成功した。
「了解だミイナ。ふむ、この分だとまだまだ生き残りはいるやもしれんな」
 トウジは予測する。
「先を急ぐぞ二人とも。またドラゴンに襲われている生き残りが救助を待っている」
 三人は、互いに頷き合い、その場を後にしようした。
『お待ちください。この先二百メートル直進した先に、ドラゴンではない生体反応があります』
 ミイナが三人を引き止めた。
「なんだってミイナ!? また生き残りか!?」
 トウジは驚いて訊ねた。
『いえ、反応が生き残りしては弱くなく、むしろ強いくらいなのです。マモノの相手なら勝てそうなほどの力を持っています』
 ミイナの示す反応の正体は、能力者に近かった。
「それほどの者が……分かった、急いで向かうぞ二人とも!」

 Phase2 SKY

  三人は走り出した。三人とっては二百メートルなど数秒で到達できる距離であった。
 二百メートル先にいたの金髪の男女一組であった。
 男女二人は、地べたに座り込んで煙草を吸いながら、大きな声でなにやら談笑していた。
「お前たちか? 反応のあった人間とは」
 トウジは訊ねた。
「ああん?」
 男の方が、トウジを睨むように見た。見た目にはどこにも異常は無いようだった。
「きゃはっ!」
 女の方は何故か十三班を見て笑った。
「今日の獲物はっけーん!」
 睨んでいた男も喜色を浮かべた。
「獲物、だと?」
 トウジには、女の言っている意味が分からなかった。
「おい白髪野郎、お前色々持ってそうだなぁ? 体中にそんなホルスターつけまくっててよう?」
「まあまあグチ。獲物は三匹もいるんだから、ゆっくり楽しませてもらおうよ!」
「そうだなイノ。ありがたくいただこうか」
 男の方はグチ、女の方はイノという名前のようだった。
「それじゃあー、食べ物とー、お酒とー、タバコとー、持ってるものとりあえず出してみ?」
「資材(Az)でもいいぜ? その場でジャンプしな」
 二人のやっている事は、古典的なカツアゲ行為だった。
「こんな時にカツアゲなんて……」
 シュウは呆れた。
「まったくだ、四季。お前たち、素直に出すとでも思っているのか?」
「ねえねえ、それ以前にさ、お酒もタバコもやっちゃいけない歳じゃない? 二人とも」
 リアンは諭すように訊ねた。
 グチは大きく笑った。
「ぎゃはは! 今時歳なんかかんけーねーし、出さねぇんなら、無理矢理にでも出してもらうだけだし!」
「んー? ねえグチ、アイツらの腕にあるのって」
 イノは籠手に気が付いた。
「まさか、ムラクモ機関のガントレットか? つーことはこいつらムラクモか? ダッセエ腕章もしてるしよ」
 イノとグチは一瞬顔を見合わせると、先ほど以上の喜色を浮かべた。
「しゃー! そんじゃあカツアゲ止めて普通にボコっぺ!」
「SKY(スカイ)の力見せたげるよ」
 ついさっきまでカツアゲをしていた二人が、突然戦いをすることにした。
「あんたたち、今は人間同士で争ってる場合じゃあ……」
 シュウは、なんとかこの場を穏便に済ませる事ができないかと思い、戦いは避けようとした。
「シュウちゃん、もうムリだよ。相手は戦うことしか考えてないよ」
 リアンはナイフを抜き放った。
「末端の者がS級能力者に勝てると本気で思っているのか? まあいい、ここは戦いで解決するとするか」
 トウジも身構えた。
「ふんっ!」
 グチは空間に剣を出現させた。
「あれは……末端の者の力ではないな……」
 トウジは、グチのやったことを見て、彼が異能力を持っていると判断した。
「へへ! ビビったか?」
「逆だ、少しばかり本気を出しても大丈夫だと思っただけだ」
 トウジは煽り返した。
「ムカつく白髪野郎だ! 思い知らせてやるよ!」
 トウジとグチの戦いは始まった。
 トウジとグチの隣で、リアンとイノが睨み合っていた。
「どうしたのかな? 戦うつもりなら早く武器を出したら?」
 イノはケタケタと笑った。
「武器なんて野蛮なもの、あたしが使うわけ無いじゃん。バカなの?」
 イノは言うと、腕組みしたまま右手指一本を立てた。
「まあ、しいて言うならこれがあたしの武器かな?」
 イノは念じると、指先から熱量を持った球体を出した。
「ファイアボール!」
 イノは、リアンに向けて熱球体を放った。
「っ!?」
 リアンは、とっさに防御した。
「へー、防げるなんてなかなかやるじゃん?」
 イノは、これほどならば防がれるであろうと思い、驚いた様子を見せていなかった。
「これは魔法……トウジくんの能力とおなじ……」
 イノが使用したのは、トウジの得意とする魔法と良く似ていた。
「すっかり怖じ気づいちゃったかな? ならすぐ楽にしたげるよ!」
 イノは、先ほどと同じように念じた。
「ファイアボール!」
 熱量を持った球体が、再びリアンに襲いかかった。
「アハハ! 燃えちゃえー!」
 球体が迫っても、リアンは一歩たりともその場を動かなかった。
「あまいよ!」
 球体がリアンの寸前まで迫った時、リアンはナイフを振るい、球体を斬った。
「ウソ……!? あたしの最大の攻撃が……!」
 今度は本気で驚くイノであった。
 リアンは、一瞬にしてイノに近寄り、ナイフの切っ先を向けた。
「ちちち、ちょっとタンマ!?」
 イノは腰を抜かし、その場に尻餅をついた。
「うおー! いってぇー!」
 イノの近くにグチが地を転げて倒れ、叫んだ。
「グチ!?」
「この程度か? 拍子抜けだな……」
 トウジは、リアンと並ぶように立った。
「二人とも、やっぱり喧嘩は良くないって。二人ともS級能力者なんだし、うっかり死なせたら大変だよ!」
 シュウは、トウジたちとグチたちの間に立って、戦いを止めさせようとした。
「くっそー! こんなのは認められねぇ! 今日朝飯食ってねぇからやられたんだ!」
 グチは精一杯の負け惜しみをする。
「そ、そうよ、お昼も食べてないし、たまたま調子が悪かっただけよ!」
 イノも負け惜しみをした。
「そういうことだ! 今回だけは見逃してやる。SKYを舐めんじゃねぇぞ!」
 グチは、腰を抜かしたイノに肩を貸し、そそくさと撤退していった。
「なんだったんだ、あいつら?」
 トウジは呆気にとられていた。
『SKYと言っていましたね。いったい何者なんでしょうか? このダンジョン化した渋谷で生き残りから金品をせしめているだなんて』
 ミイナは言った。
「わたしたち能力者とそこそこの勝負ができるなんて。ただの生き残りじゃなさそうだね」
「本宮もそう思うか。戦ってみて分かったが、小型のドラゴンとなら善戦できそうな力を持っていた。ただの不良集団とは思えん……」
 グチとイノそれぞれを相手取った二人は、彼らの力が特殊なものに感じた。
「……ここで気を揉んでいても仕方ない先を急ぐと……」
 トウジが言いかけたところで、不意にガタガタと音がした。
「なんだ? 今音がしたが……」