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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「やあぁ! ぶった斬ったる!」
 シュウが先頭に駆け抜け、袈裟斬りを放った。
 打撃ではダメージの薄かったドラゴンの皮膚であったが、斬撃でなら切り裂くことができ、ドラゴン特有の虹色の血を噴き上がらせた。
「大丈夫か!?」
 トウジは、女をドラゴンから庇うように立った。
「あなたたちは?」
「話はあとだ。彼女が戦ってくれる、少し離れた場所に行くぞ」
 トウジは、女の手を握り、戦線から離脱した。
「トウジくん! こっちの看護師さんも無事だよ!」
 リアンは、ナミを保護していた。
「よくやった、本宮。後は……」
 トウジは、血を流すドラゴンと対峙するシュウを見る。
「四季! これで焼き斬ってやれ!」
 トウジは、炎の魔法をシュウに向けて放った。
 シュウは、刀身を上げ、トウジの魔法を受け取った。
「ありがとう、トウジ君! はあああ……!」
 シュウは、炎を纏う刀でドラゴンを斬りつけた。
「焼き尽くす!」
 斬撃と炎によって、ドラゴンは深傷を負った。最早勝負は決したようなものである。
 しかし、ドラゴンはまだ倒れていなかった。
「なんてしぶとい……!」
 シュウは舌打ちした。
 やられるばかりのドラゴンではなかった。
 深傷を負いながらも立ち上がり、地面を蹴って突進の構えを取っていた。
 やがてドラゴンは、シュウに向かって突進した。その速度は見た目以上であり、ドラゴンの双角がシュウを貫かんとしていた。
ーーこれは、避けられそうにないわね……!ーー
 回避は不能と見たシュウは、防御を固める事にした。
 防御に徹するシュウとは逆に、ドラゴンへと飛びかかる影があった。
「ストップ!」
 リアンがナイフに麻痺毒を仕込み、ドラゴンの頸椎に突き立てていた。
 毒は、瞬く間にドラゴンの体に回り、そのまま動かなくなった。
「シュウちゃん、いまだよ!」
 シュウに止めを刺させようとリアンは叫んだ。
「ありがとう、リアン!」
 シュウは防御を解き、切っ先をドラゴンに向けた。
「これで終わりよ!」
 シュウは、ドラゴンの額に向けて突きを放った。
 全身麻痺に陥ったところで頭に刺突を受け、さすがのドラゴンも生きてはいられなかった。
「よし……!」
「やったね! シュウちゃん!」
「二人のお陰だよ」
  シュウたちのチームワークの勝利に、三人は喜びあった。
「あの……」
 先ほどまでドラゴンと戦っていた女が、おずおずと三人に話しかけてきた。
「ありがとうございました。私一人じゃ多分無理でした」
 女は、自らに不思議な力が宿っていると知りながら、謙遜して言った。
「あ、私、雨瀬葵(うのせあおい)って言います」
 女、アオイは自己紹介をした。
『この反応、ミイナ、スキャンをお願い』
『了解しました。スキャニングを開始します』
 スキャンの結果はすぐに出た。
『声紋と光彩が九十九パーセント一致。第七十四回ムラクモ選抜試験の候補者です。タイプデストロイヤーのS級能力者です』
『やっぱり。生体反応が常人を超えていたからまさかと思ったけど……』
 ナツメは、少し驚いていた。
『ですが、試験を連絡なしに欠席しています。はたして役に立つのでしょうか?』
『S級能力者なら、一人で凡人百人ぶんの力を持っているわ。仲間にしない手はないわ』
 シュウは通信を聞いていて、自らの力の大きさに驚いた。
「凡人百人分……」
「よし、できたぞ」
 シュウたちが通信を交えて話している間に、トウジはあるものを用意していた。
「できたって、それって脱出キット?」
 リアンが訊ねた。
「察しがいいな、その通りだ、本宮」
 トウジが何度か、脱出キットを作っているのをリアンは見ていたが、今回はできが違っていた。
 カラーコーンの小型版といった、比較的単純な作りなのが脱出キットであったが、今作られたのは小さな塔といった出来ばえであった。
「俺たちS級能力者にも対応した特別機種だ。ダンジョンから一瞬で帰還するために持っていたが、二組用意しておいてよかった」
 生き残りの中にまさか能力者がいようとは、トウジは思っていなかったが、このような事もあろうかとトウジは特別版の脱出キットを余分に持っていた。
「雨瀬と言ったな? すぐにこのキットを使って都庁まで行くんだ。何せドラゴンと戦ったんだ。医者に診てもらった方がいい」
「腕の通信ができる機械、脱出キットとかいう不思議なキット。ムラクモ機関は本当に存在していたんですね」
 アオイが選抜試験を連絡もなしにすっぽかしたのは、その存在を疑ったためだった。
「でも大丈夫です。私、昔から体だけは丈夫なんです」
「そう言うな。S級能力者とて人間だ。小さな傷が命に関わることも今の東京ではあり得ることだ。そこの看護師と共に都庁へ避難するんだ」
 アオイは、トウジの言うことを受け入れた。
「分かりました。私が大丈夫でもナミさんは完全に平気じゃないですからね」
 アオイは、トウジが組み立てた塔を指さした。
「それで、それをどうすれば都庁まで行けるんですか?」
「どこでもいい、キットに触れろ。一度起動してしまったら壊れてしまうから、二人手を繋いで触るんだ」
「分かりました、やってみますね。ナミさん、手を貸してください」
「……本当にそんなにうまく行くの?」
 ナミは疑っていた。
「疑う気持ちは分かるが、言う通りにすれば大丈夫だ。とりあえず雨瀬と手を繋げ。引き剥がされないようにしっかりとな」
 ナミはまだ疑念と緊張感から、動くことができなかった。
「ナミさん、きっと大丈夫ですよ。私がいますから!」
 アオイは、笑いかけてナミの緊張を解こうとした。
「うん、そうだね。このままじゃ、私がワガママ言ってるだけね……この密林にいるよりマシになるなら!」
 ナミは、アオイの手を握った。
「よし。えっと、この機械に触れればいいんですよね?」
 アオイは、トウジに確認をとった。
「そうだ。どこでもいいから触れれば、都庁にひとっ飛びだ。まあ、本当に飛ぶわけではないがな」
「よーし、行きますよ!」
 アオイは、脱出キットに触れた。
 触れた瞬間、アオイとナミの体が光り始めた。
「うわわ!? 体が! 眩しい……!」
 アオイの驚く声は、ナミと同時に光に包まれるとかき消えた。
 アオイとナミだった光は塔に吸い込まれていった。
「コールミイナ。今二人の女を転送した。問題なく都庁に行ったか?」
『少々錯乱していますが、二人とも無事です』
 アオイというS級能力者を、トウジが建てた塔の脱出キットで救い出すことができた。もちろん、看護師のナミも助けられた。
 十三班に課せられた生き残り探しは順調に進んでいた。並びにDzもこれまでの戦いで集まっていた。
「頃合いだな。四季、本宮、俺たちも一度都庁に帰還するぞ。目的はだいたい果たされた」
「待って、トウジ君。すごく大きな力を感じる……」
 トウジらが帰投しようとすると、シュウが、こちらに近付いてくるなにかを感じ取った。
「何っ! まさかドラゴンか!?」
 籠手にドラゴン反応はなかった。となるは近付いてくる存在は人かマモノと考えられた。
 近付いてくる何かはすぐにその正体を現した。
「へぇ、そこのドラゴンを倒したんだ」