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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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 猫耳風パーカーを着こなし、眼鏡をかけた少女が、十三班の誰にともなく言った。
「……そいつは俺たちでも倒すのに苦労する奴だ。それを倒すとはやるな」
 色黒で、筋骨逞しい糸目気味の青年が十三班を称賛した。
「有明、天堂。生きていたのか!」
「あの二人、トウジくんの知り合いなの?」
 リアンが訊ねた。
「ああ、話せば長くなるから今は割愛するが、ムラクモ機関と深い関係がある人物だ」
「べーっだ! ムラクモ機関なんか大嫌いだよ!」
 有明と呼ばれた少女は舌を出した。
「ムラクモ機関には、ある意味世話なったからな……」
 天堂と呼ばれた青年は、感情が疎く、本心が分かりづらいが静かに、一種の怒りの感情を醸し出していた。
 トウジと一組の男女は、再会を喜ぶ事もなく、すぐに本題に入った。
「カツアゲの事はすまなかった。完全にこちらの統制ミスだ。今うちの大将が叱責しているところだ」
「ダイゴ、そんなやつらに謝ることないのに」
 少女はダイゴの言葉に差し挟んだ。
「ネコ、非を認める事は大切なことだ。ここは俺たちが悪い、謝ってしかるべきだ」
 ダイゴは、少女をネコと呼び、彼女と違って詫びの意思を示していた。
「ダイゴは甘いんだよ。いくら非があっても謝らない、それがSKYの掟ってもんでしょ!」
「そんな掟はないぞ、ネコ。SKYをただの不良集団にするつもりか?」
 ダイゴは嗜める。
「ふん! でも気になるところね、ムラクモの力は、さ……」
 ネコは、シュウたちの力に興味を持った。
「トウジは分かるけど、そこの二人、大して強そうには見えないけど、どうなんだろう?」
 十三班が戦ったイノとグチは、特殊な力を持つ、SKYの中でも上を行く人物であった。
「セーラー服の子、ちょーっと訊きたいんだけど、イノとグチと戦ってみてどうだった?」
 シュウは訊ねられた。
「苦戦した? それともラクショーだった?」
 答えは考えるまでもなかった。
「私は直接戦ったわけじゃないけど、見た感じ弱かったわ、残念ながらね」
 ネコは、やはりと言った具合に笑った。
「その答え、イノとグチが手抜きしたわけじゃなさそうね」
「ネコ、もういいだろう。部外者を問い詰める必要はない。しかし、お前たち、ひとつ忠告しておく。次に渋谷に来るような事があれば容赦はしない」
 ダイゴは言うと、行くぞネコ、とその場から退いていった。
「あ、待ってよダイゴー!」
 ダイゴとネコは去っていった。
「あの二人、わたしの直感だけど強そうだったね。もしかしてS級能力者だったりするのかな?」
 リアンは訊ねた。
「はっきりとは言えん。だが、あの二人は常人とは違って、ドラゴンと戦えるほどの力を持っているやも知れん」
 トウジの回答は、彼にしては珍しく、非常に歯切れの悪いものだった。
「……とにかく、奴らの事も気になるだろうが、今は任務を優先するぞ。都庁に帰還だ」
 十三班の三人は、トウジの建てた塔型の特別な脱出キットを使い、都庁へと帰還するのだった。

 Phase4 SKYとムラクモ

 渋谷から帰投した十三班は、都庁エントランスのミヤの元に渋谷で集めたDzを渡していた。
「うむ、これだけあれば改修は可能だ。よくやったぞ、十三班」
 ミヤの褒めの言葉に、くすぐったさを感じながらシュウは訊ねた。
「改修にはどれくらいの時間がかかるんですか?」
「一日とかからんよ。ここに残っている作業員はAプラス級の能力者だ。普通の人間の十倍の作業効率を発揮するだろう」
 シュウは当然のごとく驚いた。
「一日とかからんと言ったが、改修が終わるまでは、まずまずの時間があるからな。次の任務まで自室で休んでいてはどうだ?」
「そうさせてもらおう。今日はマナパワーを使いすぎたからな……」
 トウジは、言いながら欠伸を噛み殺した。
「ふわぁ、わたしも疲れたよ。お腹もすいたし、もう休みたいよ」
 リアンも疲れを露にしていた。
 二人が疲労を明らかにしている中で、シュウだけはまだそれほど疲れていなかった。
「私はまだ平気です! 何かできることはありませんか?」
 シュウは言った。
「私に言われてもだな、建築の仕事は専門外だろう?」
「戦うだけの力じゃありません! だから何でも言いつけてください!」
「オウ、ユー何でもヤッテくれるのネェ?」
 不意にシュウの後ろから、片言気味の声がした。
 声のした方向を見ると、浮世離れした姿の女が立っていた。
 褐色の肌でさらしを胸に巻き、その上にベストを羽織っている。
 異国情緒な首飾りを着け、両腕にはブレスレットをいくつか嵌め、銀色の髪をツインテールに結んでいた。
 突然、明らかな外国人の登場に、三人は言葉を失っていた。
「……えーっと、どちら様でしょうか?」
 シュウがおずおずと訊ねた。
「アイムチェロン、古菅(ふるすが)チェロンねェ」
 浮世離れした姿の女は、チェロンと名乗った。
「チェロン、帰ったのか」
 ミヤが言った。ミヤの様子を見るに、チェロンとは知り合いのようだった。
「ミヤのオカゲでだいぶグレートなオフィスがデキそうダヨ」
 チェロンは上機嫌であった。
「お前たちにも紹介しておこう。彼女は世界救済会という組織のトップで、都庁を活動拠点としている」
 ミヤが説明した。
「世界救済会……?」
 シュウは、それがどんなものなのか、まるで思い付かなかった。
「ドラゴン来襲でトーキョーはメチャクチャ。でもそんなジョーキョーでも生きているヒトがいる。ヒトが集まる都庁ではイロンナヨーボーも集まる。それを何とかするのがワタシの役目ネェ」
 チェロンの説明によると、世界救済会とは、都庁で起こる様々な問題を解決していく組織であった。
「ミヤのオカゲでできたのは、ズバリクエストオフィス! 都庁中のコマリゴト、リクエストイロイロ集まるバショネ」
「それってつまり、人助けのためのオフィスですか?」
 シュウは訊ねた。
「ユーアーライト! 世のタメヒトのタメ働く、これがワタシのクエストオフィスよ」
 チェロンは答えた。
「それからもう、サシアタッテの依頼があるヨ。ピルケースを失くしたマダムがいて、探してきてホシイみたいなんダヨ」
 女性が都庁に移動した後に、常備薬を入れたピルケースを紛失したらしかった。
「かわいそう。よーし、私が見つけてきてあげるよ!」
 シュウはクエストを受けることにした。
「グレイト! 困ったヒトを放って置けないヒーロー登場ってカンジ?」
「……それで、どこで落としたとか情報はないの?」
「地下シェルターから都庁にくるマデに失くしたらしいヨ。ダカラ、地下シェルターが怪しいかも?」
 ピルケースの在処は、新宿御苑の地下シェルターにあると思われた。
 帝竜ウォークライを倒し、都庁を奪還した折に、シェルターに逃げ延びていた一般人たちは一人残らず都庁へと移動していた。
 ムラクモ機関の人間、及び自衛隊を除く一般人は、シェルターから移動したら都庁を出ることを許されていなかった。
 今失せ物をした女性も当然一般人で、シェルターに戻ることはできない。ここでムラクモ機関の人間であるシュウの出番となる。
「分かったわ。地下シェルターね! そうと決まれば行くわよ!」