眩む、怪しい光
ジン達の前に来たガーゴイルは、それぞれを見据えながら、あまり動こうとはしておらず、余裕を持って監視している様子だった。
「お前達なんて、オレだけで十分だからな。
…まさかひ弱な人間に呼び出されるとは思わなかったが。」
ガーゴイルがマサキやタカハルと戦い始め、お姉さんに脅迫している様子を見て、レナが前に出る。
この時、一人の少女が図書室に入って来ていたのだが、誰も気がついていなかった。
レナは、ガーゴイルの正面に立って指先をガーゴイルに向けて、怒った。
「あんたね!!どこから来たのか知らないけどさ、態度、でかいよ!!!
デビルの癖にいきなり私達の世界が終わりだとか偉そうに…ふざけんじゃないわよ!!!」
ガーゴイルは軽くため息をついている。
「…威勢のいい小娘だな。…よかろう、俺達に逆らうとどうなるか、教えてやる。」
そう言うと、ガーゴイルはレナの手首を掴んだ。その時
「待って。」
と、紫色の長い髪をした、ピンク色の服に白いロングスカートを履いて肩掛け鞄を身につけた、大人しそうな雰囲気の少女が、ジン達の近くにやって来ていた。
ガーゴイルは、レナの手首を掴んだまま、その少女を見る。
「ん、お前は…アミ!!
ヴァルハラから居なくなったと聞いていたのだが、ここに居たのか!!」
ガーゴイルの視線は、アミに集中しているようだった。
アキラは
「カシハラ アミさん…?」と小さく呟いている。
「アキラ、知ってるのか?」
ジンも小声で隣にいるアキラに尋ねる。
「あぁ。アミって言って、今日クラスに転校して来たんだ。」
ガーゴイルは口角を上げて話した。
「…ならばちょうどいい。アミ、俺と一緒に来るのだ!さもなければ、この小娘を八つ裂きにしてしまうぞ!!」
ジンとアキラは焦っていた。
「ジン!レナが…」
「くそっ…どうすればいいんだ!!」
アミという少女は、ジンとアキラを少しの間見ると、何かを決心したかのように、伝えた。
「アキラさん、そしてあなたはジンさんと言うのですね。お願いです。
これを受け取って、そして、あのデビルと戦ってください。…それは、デビライザーという、デビルを扱うための召喚器です。急にこんな事を言われて、驚かれるかもしれませんがすみません。…あの方を助けるためにも、お願いします!」
アミはそう言いながら、鞄の中から、アルファベットのDを左右に反転させたような形の、持ち手のある独特の機械のような物を取り出し、ジンとアキラに見せてそれぞれ手渡そうとする。
ジンの方に向けられている物は白く、ライオンのような装飾が一部分に施されており、
アキラの方に向けられている物は青く、リュウのような装飾が施されていた。
「ジン」
アキラはジンを見た。
「あぁ。俺達、やるぜ!!レナを助けなきゃ!!」
アミは、少しほっとした表情になった。
「その召喚器を、デビルに向けてください!!」
ジンとアキラは、それぞれデビライザーと呼ばれる独特な形のそれを取り、デビルへと向けると、デビライザーから、激しい光がほとばしった。
そして、それぞれ地面に五芒星のマークが現れ、そのマークから、それぞれオーラの幕のような物が地面から空中に円柱状に伸び、中から、それぞれデビルが現れる。
ジンのデビライザーからは、黄色いライオンのような姿に赤いたてがみのついたデビル、
アキラのデビライザーからは、青色のリュウのような姿に白い爪を備えたデビルが現れた。
ライオンのようなデビルが、ジン達の方を見て話し出す。
「この俺達をコールしたのは、お前達か…?」
次に、リュウのようなデビルが話し出した。
「デビルと人間の2つの力を持った、デビルチルドレン。…いいだろう、俺達を、パートナーとして選ぶがいい。」
そして、ジンとアキラの元へそれぞれ近づいていった。
ガーゴイルは状況がわからず混乱しているようだった。
「馬鹿な…ただのひ弱な人間が…デビルチルドレンに、なった……?……???」
ライオンのようなデビルは、ジンに向き合う。
「オレはソルレオンのランドだ。
よろしくな、デビルチルドレン!」
「オレはジンって言うんだぜ!よろしくな。」
リュウのようなデビルは、アキラと話していた。
「オレはヘイロンのゲイル。よろしく。」
「あぁ。オレはアキラ。よろしくな。」
「….チッ、ひ弱な人間ではなく…デビルチルドレンになったというのなら、話は別だ。
……覚悟ッ!!」
ランドが、ジンとアキラの方を向いて言った。
「ジン!アキラ!デビルチルドレンとして、あいつと戦うぞ!!」
ジンの前にランドが、アキラの前にゲイルが並び、ガーゴイルとの戦闘になったが、いざ戦い始めると、それぞれランドとゲイルがどのような必殺技や魔法を持っているのか、二人は理解することができた。
「ランド!ライトハウリングだ!!」
「ゲイル、ダークハウリング!」
そして、ランドとゲイルの必殺技が炸裂し、ガーゴイルは倒れた。
「グッ……こんなはず、では…」
そして、すぅっとガーゴイルの姿は消えていった。