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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 29

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「……いただくわ」
 シバは匙を取り一掬いすると、ゆっくりと口にした。
「シバ、大丈夫か! 味あわず飲み込むんだ!」
 ジェラルドは叫んだ。それとほぼ同時にシバは超兵糧丸スープを飲み込んだ。
「これは……」
 シバからは不味いという言葉が出るかと思われた。
「美味しいわ」
 驚愕の一言であった。
「ええーっ!?」
 超兵糧丸の味が分かる者は声を揃えて叫んだ。
「正気かシバ!? まだ体が本調子ではないから、味覚が狂ってるのか!?」
 ガルシアが捲し立てるように言った。
「ガルシアにみんな、一体何を驚いているのか分からないけど、スープは美味しいわよ? 甘味があって香ばしいわ」
「なるほど、超兵糧丸はスープにするとそんな味になるのか。塊だとミートボールの味だけどな」
 ロビンは言った。
 シバはスープをすすり続けた。
「なんだろう、スープを飲む毎に元気が出てきたわ。不思議……」
 スープを飲み終えるころには、シバは血色がよくなり、デュラハンに長く監禁されていたとは思えないほど元気になっていた。
「ヒナさん、ご馳走さま。おかげで元気になったわ!」
 その証拠を見せるように、シバはエナジーの波動を放って見せた。
 それに止まらず、シバはベッドから跳ね起きた。
「シバ、病み上がりの体で何を!?」
「はああああ……えいっ!」
 シバは、エナジーを使って船室内部に強風を巻き起こした。
「うお!?」
 ガルシアは、自分の弱点とする風のエナジーを受けたために、尻餅をついた。
「シバ、止めるんだ!」
 ロビンが叫びシバを止めた。
「なんだろう、エナジーが溢れ出てくるみたい! なにより体がすごく軽いわ!」
 超兵糧丸の効能は、シバにも大きく現れていた。
「相変わらず味はさておき、効果は絶大だな……」
 シンは言った。
「これなら私も役に立てるわ! 戦いで力を見せられる」
 シバは自信に満ちていた。
「戦いっつっても、デュラハンは死んじまったし、もう相手がいないぜ?」
 ジェラルドは言った。彼の言う通りデュラハンの脅威は去っている。最早目指す敵はいなくなっていた。
「えぇー、そんなのつまんないわ……」
 超兵糧丸の効果で、シバは好戦的になっていた。
「いいえ、戦いはなくなったけれども、まだ私達にはやることがあるわ」
 ジャスミンが差し挟んだ。
「そうだな、オレ達には灯台を灯すという最後の仕事が待っている」
 ロビンの言うように、一同には大きな役目があった。
 ウェイアードのあちこちに存在する神の創りし、エレメンタルの灯台に灯を点すという役割である。
 エレメンタルの灯台が消えている事で、ウェイアードの東西の海にガイアフォールという巨大な底知れぬ滝がおちている。
 エレメンタルが大きく減少しているため、ガイアフォールはさらにその勢力を増し、ウェイアードを飲み込まんとしていた。
 海のない北の最果てにも、ガイアフォールと同等のものが存在していた。
 エレメンタルの灯台の一つ、マーズ灯台が最果てに位置し、ガイアフォールに飲まれかけていた。
「状況は急がねばならぬ。ガイアフォールに飲まれる前にマーズ灯台に早く灯を灯さねばな」
「そうだな、ガルシア。デュラハンとの戦いで日が経っている。お前の言う通り、灯台を灯すのが世界に平和をもたらす最後の機会だ」
 ロビンは言った。
「事態は猶予がない。船で飛んでいく時間はない。『テレポート』を使うべきだろう」
「それなら私の出番ね!」
 ガルシアが言うと、シバが得意気に前に出た。
「シバ、お前は確かにテレポートラピスを使えるが、お前一人で世界を回るのはいささか無茶があるのではないか?」
「大丈夫よ、ガルシア。私にも分からないんだけど、どういうわけか、私に新しいエナジーが宿っているの。『テレポート』のような、ね」
「それはもしや、テレポートのラピス無しで『テレポート』を使えるということか!?」
「そうね、どうしてか分からないけど、さっき、ちょう、なんたら、がん……? のスープを飲んでから不思議な力がわいているのよ」
 一つ口にすれば、強大な力をもたらす超兵糧丸の効果であった。
「テレポートのラピスはイワンに使ってもらって、私はラピス無しの『テレポート』で灯台に行く。何人かに別れて言った方がよさそうね。一人じゃまだ少し危ないからね」
 シバの策はこうである。
 四つの灯台の内、二つに班を分けて、全部の灯台に人員を配置、一斉にエレメンタルスターを火口に入れ込み、確実に灯台を灯すというものだった。
「全員で向かう必要はないだろうな。ただ灯すだけならば、それほどの危険は伴わんだろう。『テレポート』役と護衛役一人一人で行くのがよかろう」
 ガルシアは言った。
「そうだな。もう邪魔するようなやつはいないし、ガルシアの言う通りだ」
 ロビンは賛成した。ロビンだけでなく、他の仲間も同様に賛成した。
「そうしたら、誰々が行くんだ?」
「デュラハンを倒しに行かず、ここで留守番してた人が行くってのはどうかしら?」
 ヒナが提案した。
「それはいいな、姉貴。正直、オレは疲れてるからな……」
 シンは疲労に包まれていた。
「オレはまだ疲れてないけど、船で待機もいい加減飽きてきてるだろう? ガルシア」
「そうだな。これ以上ロビンやイリスに向かわせるのは申し訳ない。灯台へは留守番組が向かうべきだろう」
 ガルシアは、ヒナの提案に賛成した。
「ハイハイ、私マーズ灯台に行きたい!」
 ジャスミンは、手を上げて立候補した。
「ジャスミンが行くというのなら、私もついていくわ」
 メガエラは言う。
「私はイミルのマーキュリー灯台に行きますわ」
 メアリィは、故郷へ行くことにしていた。
「僕も行きますよ、メアリィ」
 同じエレメンタルに属すピカードは、メアリィと一緒に行く事を希望した。
「当然、私はジュピター灯台に行くわ」
 シバは言った。
「それで、私には誰がついてきてくれるのかしら?」
「俺が行くぞ」
 やはりというべきか、ガルシアが名乗り出た。
「大丈夫か、ガルシア。お前のエレメンタルと正反対だぞ? エナジーをうまく使えないかもしれないぜ?」
 ロビンは、心配して言った。
「確かにロビンの言う通りだが、別に戦いに行くわけではない。それに、万が一戦うことになっても、俺には黒魔術がある。心配には及ばないさ」
 ガルシアの言うことは、いい得て妙であった。ガルシアの魔導書には、デュラハンの力を扱える魔術もあった。ただの魔物相手なら十分足る戦力であった。
「そうか、お前がそこまで言うなら、これ以上何も言わないよ。シバを頼んだぞ」
 ロビンは任せることにした。
「これで三属性に行く人は揃ったけど、後一属性、ヴィーナス灯台が残っているけど、誰が行くのかしら?」
 ヒナが言った。
 エレメンタル灯台に行くには、灯台と属性が同じ者がいた方が、進むのが楽になる。故にマーズにジャスミンが、マーキュリーにメアリィが、そしてジュピターにシバが行くことになっている。
 最後のヴィーナス灯台だけが同属性の者が残されていなかった。
「オレが行きます、ヒナさん」
 ロビンが名乗り出た。