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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 29

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 メガエラの怒りは、ロビンの慢心に向いていた。
「まあまあ、メガエラさん。ロビンかてわざとやないんや。そう怒らんとき

「うるさいわよ、アズール! 私は、圧倒的有利の状況で、デュラハンを逃がしたことに腹が立っているのよ!」
 普段のメガエラであれば、デュラハンに復讐することを第一に考えるものだが、今は違い、ロビンの失態に怒りを示していた。
 メガエラは、つかつかとロビンに近寄ると、胸ぐらを掴んだ。
「今すぐデュラハンを追いかけて倒してきなさい! この私がデュラハン殺しを譲っているのよ。さっさと行きなさい!」
「落ち着いてくれメガエラ。オレもそうしたいが、奴は気配を消している。オレでも奴の気配を察知できないんだ」
「だったらハモとか言ったわね? 予知の能力でなんとかならないの!?」
「……実はずっと前からデュラハンを探していました。ですが、やはりと言うべきでしょうか。霧がかかってはっきりしないのです」
 ハモの予知能力を持ってしても、デュラハンを見つけ出すことはできなかった。
 ハモの力でも見つからず、事態は深刻になった思われた。その時であった。
「……っ!? これは!」
「姉貴、どうしたんだ? 急に大声出して」
「あたしの天眼には、僅かだけど予知能力があるの。ハモの足下にも及ばないけどね。だけどハモとは違う方向で予知できるのよ」
 ヒナに宿る天眼の能力、それは対象の存在する力を読み取ることだった。
 ハモのように、予知能力を視覚化できない代わりに、ヒナのみに限ってであれば、捜索の対象を感じ取る事ができた。
「それじゃあデュラハンの位置が?」
 ロビンは訊ねた。
「分かるわ。分かるんだけど、デュラハンの存在がとても弱いの。まるで存在そのものが消えていくように……」
 存在が消えていくというのがどう言うものか、分かるロビンらはある期待をした。
「もしかして、死にかけの状態で死神に喰われているんじゃ……!?」
 デュラハンは、あらゆる世界で悪逆の限りを尽くしていた。そしてロビンらとの戦いで、体力を致死量と思われるほどに失っている。
 そしてついに死亡し、その肉体は死神の腹に収まったと思われた。
「デュラハンの気配が、消えたわ」
 ヒナは、天眼に映る気配がなくなった事を告げた。
『プリディクト』
 ハモは、今一度予知のエナジーを発動した。
 ハモの予知能力を持ってしても、デュラハンを見つけ出せなかった。
「……ウェイアード中を予知しましたが、デュラハンが見つかりません。これは本当に」
「デュラハンを倒せた、ということですかハモ様!?」
「死神に取り込まれたという事を考えれば、デュラハンは死に、その肉体は死神のものに。そう考えなければ辻褄が合いません」
 ロビンと仲間達は、勝利の喜びの声を上げた。
「やったなロビン! お前達のおかげであの最悪の強敵を倒すことができたんだ!」
 ジェラルドは、ロビンをがっちりと抱き抱えた。
「いたたたた、痛いよジェラルド」
「これで世界は平和になりますね」
 イワンは言った。
「ロビン、ハモ様、イリス、シン。良くやりましたね」
 メアリィは、皆が喜ぶのを見て微笑んだ。
ーーデュラハンが死んだ……?ーー
 皆が喜ぶ中、ヒナは何か引っ掛かりを感じていた。
 アネモス神殿での戦いでは、ロビンとその仲間達で同士討ちをさせる最悪の術という、デュラハンによるものとは思えない手段によって逃走している。
 今回も、全身から霧を発生させるという、エレメンタルの違う術で逃げたが、死んだ。
「姉貴? どうした、そんな難しい顔して?」
 シンはヒナの顔を覗き込んだ。
「ああ、いや、何でもないわ。あまりにも呆気なく終わってちょっと考えただけよ」
 ヒナは、考えを口にしなかった。
「それより、これから先どうするのか決めなくちゃ」
 デュラハンが死んだ事により、シバに植え付けられた魔脈も消えてしまった。
「イリス、シバは助かるのか!?」
 デュラハンによる活力源を失ったシバを心配するガルシアがイリスに積めよった。
「落ち着いてください、ガルシア。私の力で容態は良くなっていきます」
 ガルシアは、再びシバを見た。
 呼吸は安定し、ただ眠っているだけのようだった。
「オレとメアリィ、ピカードの能力も効いとるさかいに、もう安心しても大丈夫や」
 アズールは自信を持って、シバの回復を保証した。
「シバ……」
 ガルシアは呼び掛けた。早く目を覚ましてほしい。ガルシアはその一心であった。
「……ん……」
 不意にもれた声が、ガルシアの願いが叶った時だった。
「シバ!」
「ん……ガル、シア?」
「そうだ俺だ、ガルシアだ。分かるかシバ!?」
「分かるわ。そう大声出さないで。頭がくらくらするわ……」
 シバは完全に目を覚まし、ガルシアに静かにするよう訴えた。
「す、すまん! そうだ、一月は何も食べていないだろう? 腹は減ってないか?」
 シバの栄養状態は最悪であり、今こうして話せているのはイリスらに、回復の力を与えてもらっていたからであった。
「そうでもないわ。寝起きであまり食欲もわかないし……」
「だったら良いものを作ってあげるわ。ピカード、この船の台所を借りるわね?」
 ヒナが料理をするのを提案した。
「構いませんよ。ですが、何を作るおつもりで? 材料はろくなものがありませんよ?」
「それは秘密よ。けど、ものすごい効き目があるものよ」
 ヒナは言い残すと船のキッチンに向かっていった。
 ものの数分でヒナは戻ってきた。
 深目の皿に、匙を付けて、何やらスープがよそられていた。
 焦げ茶色で、独特の匂いのする、恐らく食感は悪いであろうスープである。
「できたわよ。飲めば立ちどころに元気が出るスープよ」
「こ、この匂いは……!?」
 ガルシアは、覚えのある匂いに顔をしかめた。
「匂いは悪いし、味も保証できないけれど、飲めば元気になれるわ。シバ、このスープを飲んで」
「これは……間違いありませんね」
 ピカードも渋い顔をした。
「ええ、超兵糧丸に違いないですね……」
 イワンは険しい顔をした。
 超兵糧丸を前に引く一同の中、二人がそれを前に喜色を見せていた。
「超兵糧丸のスープだって!? 美味しそうじゃないですか」
 一人はロビン。もう一人は。
「シンと修行してた時の丸薬と匂いがそっくり。絶対美味しいわよ、シバ」
 ジャスミンである。
「ええ! ジャスミンまで!?」
 以前に超兵糧丸を服用し、苦しい思いをした者、全てが声を揃えた。
「そんなハモってまで言わなくても……私何か変なこと言ったかしら?」
「変どころじゃねぇよ! ロビンにジャスミン、お前らとんでもねぇ味音痴だぜ!」
 ジェラルドが代表するように言った。
「ジェラルド、それはお前の意見だろ? 超兵糧丸は旨い。そんなわけでシバ、スープを飲むんだ」
「そっちこそお前の意見じゃねぇか」
「大丈夫、味はオレの折り紙付きだ。スープを飲め」
 ロビンが言うと、ヒナが超兵糧丸スープをシバに渡した。
 シバは受け取ると、器を満たすスープを覗き込んだ。
 茶色い、さらさらしたスープである。超兵糧丸で痛い目を見た仲間達の言うように、ひどいところは無いように思えた。