二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 29

INDEX|7ページ/11ページ|

次のページ前のページ
 

 デュラハンとオロチは、イリスの後光に蕩けていくのだった。
    ※※※
 シン率いるオロチ封印の組は、予定通り進んでいた。
 ヒナが太陽の巫女の儀式をするために必要不可欠となる、踊る人形を回収し、シンはオロチを封印できる唯一無二の男、スサを連れていた。
 一行はガイアロックを目指していた。
「シン、久しぶりに会ったかと思ったら、オロチが復活しているなんて本当か?」
 スサが訊ねた。
「本当だ、残念なことにな」
「だったら村の酒をありったけ飲ませてやらないと、戦いにならないぞ」
「その必要はない、今ロビンが一人で戦って、そして圧倒している事だろう」
「ロビンが一人で!? いくらあまくもの剣を使えるからって、一人じゃ無謀じゃあ……」
「無謀なんかじゃないわ。むしろ余裕よ」
 ヒナが言った。
「ヒナさんまで。相手は絶対死なない魔龍だぜ? 余裕なはずは……!」
 スサは、全ての話が信用出来なかった。
 スサとシン達は、最早力の次元が違っていた。
 酔わせた所で戦い、死の間際にするまで攻撃し、ようやく封印するのがスサの最大の策であったが、今はそれでは返り討ちに遭う事であった。
「ちょっと二人とも、お喋りはそこまでよ。フジ山が見えてきたわよ」
 後少しといった所に、決戦の地ガイアロックが見えてきた。
「いよいよだな……スサ、作戦は分かっているな?」
「オレとシンで麓で待機、ヒナさんが頂上で儀式をして、儀式が成ったら一気に洞窟を駆ける、だろ?」
 スサの答えは一字一句間違いなかった。
「その通りよ、スサ。今度の戦いでもあなたの力が絶対に必要になるわ。よろしく頼むわね」
 ヒナは言うと、ガイアロックの頂上を目指して岩壁に手をつけた。
「さて、行きましょうか。シン、ないとは思うけどスサに危険を感じたら絶対に守るのよ」
「姉貴のほうこそ丸腰なんだ。もういないとは思うが、魔物には気を付けるんだぞ!」
 二人は言い合うと、それぞれの職務を全うした。
「さーて、姉貴がやってくれるまでヒマだな……」
 シンは余裕に伸びをした。
「スサ、オレのいない間のイズモ村はどんな感じだった?」
「どんな感じって、別に大きな変わりはなかったよ。村の掟で、死んでもらう、って騒ぎはあったけどそれっきりだ。海を航る手段がなければ、死んだも同然だったからな」
「討滅者の事は覚えはないか?」
「討、滅者? なんだそれは?」
「やはり知らんか……」
 イズモ村には、村に仇なす可能性のある者が村を抜けようとしたときに、討滅者を決める掟があった。
 その討滅者の任を担ったのは、リョウカという、シンの妹であった者である。
 彼女は、イリスが依代にしていた少女であり、イリスがもとの姿に戻った時、イリスの翼になった。
 今は存在そのものが消えてなくなり、長く共にいたシンと仲間達の記憶にしか残っていない。
 覚悟はとうの昔に決めていた。そのつもりであったが、やはり、スサとも友人であったリョウカがスサの心にも残っていない事実はとても辛いものがあった。
「どうしたんだ、そんなに黙り込んで? お前らしくもない」
 シンは、リョウカの事を思い出していた。
「ああ、すまない。ちょっと昔の女の事を思い出していた」
 スサに心配をかけまいと、シンはヒナのように冗談を言った。
「こんな時に正気か?」
 いくらシンとヒナが瓜二つの見た目であっても、ヒナほど冗談は上手くは言えず、シンは余計にスサを心配させてしまった。
「平気だよ! そ、そうだ、スサ、クシナダとはどうしてる?」
 シンは、強引に話題を変えた。
「どうしてる、ってクシナダとはもう結婚したよ」
「そうか。しかし、クシナダも物好きだな。村で暴れん坊で有名だったお前を結婚相手に選ぶんだからな」
「誰が暴れん坊だ! 子供の時の話だろう!」
 スサはむきになって否定した。それほどに恥ずべき過去であった。
「そうそう、小さい頃のお前は負けず嫌いの暴れん坊で、村の男にケンカを仕掛けて、負けては泣いてたよなぁ」
「だからそれはもう昔の事だと言っているだろう、しつこいぞ!」
 スサは、暴れん坊の割にケンカはそれほど強くなかった。恥の上塗りであった。
「けれどもまあ、大切な人ができたんだ。クシナダを泣かすような事はするなよ」
「当然だ。お前に言われるまでもない」
 二人が話し合っていると、ふと光が射し込んだ。
 空を見上げると、雲の隙間から太陽の光が地上を照らしていた。
「この光、姉貴がやってくれたみたいだな!」
 雲の隙間から射し込む太陽光は、太陽の巫女たるヒナの儀式が完了したという証拠であった。
「行くぞスサ! ここで締めくくりだ!」
「ああ! オロチはオレが封印する!」
 二人は岩窟の中へと駆けていった。
    ※※※
 オロチの祭壇の間。
 イリスが自ら放つ後光で、デュラハンとオロチの融合を解こうとしていた。
「なかなかしぶといな。イリスの力をもってしても解けないとは……」
 ロビンは言った。
「やはり私の光では、融合を解くに至らないようです。再生能力を止めるのがやっとです……」
 ふと、ロビンは剣を抜いた。
「なあ、再生能力を失った今なら、首を飛ばせば融合は解けるんじゃないか?」
「そう上手く行くでしょうか? このデュラハンの耐久力も侮れませんよ」
「大丈夫、上手く行くさ。なんならそのまま殺す事ができるかもしれないしな!」
 ロビンは斬りかかった。その瞬間だった。
「うっ!」
「眩しい!」
 突如として、祭壇の間が昼間と変わらぬ光へと包まれた。
「この光は……!」
「ロビン、イリス!」
 シンが、スサを引き連れて祭壇の間へと駆け込んできた。
「この光、ヒナさんがやってくれたんだな」
 ロビンは察していた。
「ロビン、デュラハンはどうしてる?」
「オレとイリスで倒すことはできた。だが、融合が解けずじわじわ再生されるばかりだ……」
「そうだったのか。だが、もう安心だ。姉貴の儀式は成功した。この光はオロチ唯一の弱点、太陽光だ」
 弱点に触れ、デュラハンのオロチの肉体は溶け始めていた。
「……ぐおお! オロチの体がもう保たぬ融合が、オロチとの融合が……!」
 デュラハンが言うと、ついに融合が解けた。
「グアアアア!」
 融合が解けて、デュラハンのおかげで僅かばかり耐性があった太陽光に当たり、オロチは体を溶かしながら叫び声を上げた。
「相変わらず苦しそうなのに死にそうにないな」
 ロビンが言った。
「ここはオレの出番だ!」
 スサは前に出る。
 スサの言うところの呪術というエナジーを、スサは一点に集めた。
 呪術が最大に膨れ上がると、スサは放った。
『昇華封滅!』
 スサの手から光線が走り、オロチの肉体へと当たった。
「グオ、ガ、おおおお……」
 スサの呪術を受けたオロチは、再びその体を石へと変えていった。
「オロチは封印された。終わったな、デュラハン」
 封印され石となったオロチを尻目に、ロビンは言った。そしてソルブレードの切っ先を、地面に横たわるデュラハンに向けた。
「や、止めよ! 我の命を奪ってなんになる!?」
「世界が平和になるだろう? オレの命を奪っておいて貴様だけ助かると本気で思っているのか?」