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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アリアハン編

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「けど、親分、こんなガキどうするんで?」
 
盗賊の子分が頭らしき男に聞くと、頭はフンと鼻を鳴らした。
 
「まあ、顔は中々可愛いからな、……人買いにでも売り飛ばしてやるさ、
……少しはコレの足しにもなるだろうからな!」
 
「!」
 
頭は指で丸ポーズを作ると子分達の方を向いてニタニタ笑う。
……アイシャは慌てる。
 
「……ちょ、ちょっと、キャー!いやああっ!放しっ……!んー!」
 
声を出そうとしたが、頭のごっつい手で口を塞がれてしまう。
 
「騒ぐんじゃねえっ、静かにしてろっ!おい、取りあえずこのまま塔の
最上階まで行くぞ、ちょっくら用があるんでな……、行くぞ、おめーら!」
 
「はあ……」
 
頭は脇にアイシャを抱えるとダッシュで塔の上の階まで突っ走って行く。
道中、襲い掛かってくるモンスターには煙幕をぶつけ、ばら撒きながら
逃走する……。アイシャはそのまま盗賊達と一緒に連れて行かれてしまうの
だった……。
 
(どうしよう~、困ったなあ~、私……、どうしよう、どうしよう……)
 
 
……そして、洞窟中、アイシャを探し回るジャミル達であったが……。
 
「駄目だ、探したけど、何処にもいないよ……」
 
「オイラの方もだよお~……」
 
「チッ……、外にはいかねえと思うし……、だとしたら……、
やっぱり……」
 
腕組みをしてジャミルが考える。やはり考え付いた事は
これしかなかった。
 
「……先に行っちまったな、塔へ……、あのジャジャ馬めえ~……」
 
「とにかく……、僕らも先へ進んで塔の方へ向かおう、此処よりも
モンスターも強くなってるだろうし、アイシャが心配だよ……」
 
「あの、オイラ……、もしかしたらアイシャがひょっこりと
出てくるかもしれないから、此処でお待ちして……」
 
「……洞窟中散々探しただろ、もう此処には絶対いねーっての!」
 
「それに、ジャミル、さっき塔へと続く階段を見つけたんだ……、
その前にこれが落ちていたよ……」
 
アルベルトがジャミルにある物を渡す。……アイシャがいつも両耳に
着けている耳飾りのかたっぽである。それはやはり、アイシャが先に
塔へと入って行ってしまった事を決定的づける証拠であった。
 
「……ひえええーーっ!!」
 
ダウドの顔が斜めにひん曲がる……。
 
「……曲ってる場合じゃねえっての、とにかくだ、これで俺らも
塔に進めるな、あーのージャジャ馬っ!!見つけ次第デコピンの刑だっ!
行くぞ、アル、ダウドっ!」
 
ジャミル達は急いで塔内部へと突入する。……おまけのミッションも
増えてしまったが……。

「……ねえ、何か足音がしないかい……?」
 
「……ひっ、ひーっ!?」
 
「静かにしてろっ!バカダウドっ!……」
 
耳を傾けると……、確かに塔内からズシンズシンと……、
足音と地響きがしてきた。
 
「モンスターだっ!!それもかなり大きいよ、ジャミル、ダウドっ、
構えてっ!」
 
「……出やがったかっ!」
 
ジャミルは銅の剣を構え直し、ダウドは……、丸くなって脅える。
3人の目の前に立ち塞がるのは、初めて対面するモンスター、巨大カエルの
フロッガー、人の顔をした変な顔のチョウ、人面蝶であった。
 
「どけよっ!邪魔なんだよっ!てめーらっ!」
 
「ジャミルっ!むやみに突っ込んだら危ないっ!」
 
アルベルトが止めるのも聞かず、ジャミルは人面蝶に突っ込む。
……人面蝶は羽から何やら鱗粉の様な物を放出。……それは
鱗粉の様に見えたのだが、人面蝶の放った魔法、マヌーサであった。
ジャミルは幻に包まれてしまう……。
 
「なんだこれ……、周りが何も見えねえ……、おい、アル、ダウド、
何処行ったんだ?」
 
「アルう~、ジャミルが何かやばいよおお~……」
 
「マヌーサに掛ったね……、全く、だからあれ程……、仕方ない、
僕も攻撃魔法を……」
 
しかし、次の瞬間……、呪文を詠唱しようとしたアルベルトの
身体目掛け、フロッガーが長い舌を出す。アルベルトは舌に身体を
巻き付けられ拘束されてしまった。
 
「アルううーーっ!!」
 
「くっ……!か、身体が動かな……、ああーーっ!?」
 
フロッガーはアルベルトを拘束したまま、口元まで身体を引き寄せる。
……そのままアルベルトを丸呑みにしようとしていた。
 
「こらーっ!ア……、アルをはなせえーーっ!!」
 
ダウドも慌ててひのきの棒でフロッガーの身体を殴るが。
しかし、ダウドの腕力と武器がひのきの棒では真面にフロッガーに
ダメージを与えられない。その間にも、アルベルトはどんどんフロッガーの
口元へと吸い寄せられてゆく。
 
「会心の一撃っ!!」
 
「ジャミルううーーっ!!」
 
ジャミルの会心の一撃、後ろからばっさりとフロッガーを斬った。
……巨体のフロッガーはその場に倒れ、塔内には一瞬、又物凄い音が
響き渡る。
 
 
「……何だ、この音はよ……」
 
「親分……、モンスターですかね……、エライ音がしたなあ~、
それになんか雄叫びが聞こえた様な……」
 
アイシャを攫った盗賊集団、此処まで突如聞こえてきた大きな音に
足を止めて辺りを見回した……。
 
「ジャミル達だわっ!きっと塔まで来てくれたのね!モンスターを
やっつけたのよ!」
 
「やかましい小娘だな!ハン、誰が入って来たんだか知らねえけどよ、
んな、ど素人の冒険者は途中でくたばるんだよ!」
 
「……何よっ!あんた達なんか大ガラスやスライム相手でも
戦わないで逃げ回ってるだけじゃないのよっ!!」
 
「んとに、うるせー小娘だな!大人しくしてねえとっ!
……どうなるかわかんねーぞっ!」
 
「わかりたくもないですっ!……第一おじさん達、ちゃんと
お風呂入ってるのっ!?臭くてしょうがないのよっ!!清潔に
しないと大変なんだから!」
 
「おい……、あれ出せ、こいつうるさくてしょうがねえ……」
 
「は、はあ……」
 
頭が子分に目配せする。子分は下げていた袋からある物を取り出す。
……袋の中から……、ズタ袋である。
 
「暫くこん中に入ってろ……、まあ、塔の最上階までもうすぐだからな……、
それまで酸素は持つだろ……、よし、お前らやれや!」
 
「やああーーっ!えっちっ!へんたいーーーっ!!……もごもご!」
 
アイシャは暴れるが、子分達に身体を抑え付けられ……、ズタ袋の中に
押し込められる。頭はアイシャが入ったズタ袋を肩に担ぎ上げる。
 
(……もうやだあーっ!これじゃ私、まるで芋虫さんじゃないのよう!
えうう~……)
 
「これで少しは静かになんだろ、さあ、行くぞお前ら、最上階まで
もうすぐの筈だ……」
 
「へ、へい……」
 
……盗賊一味は再び最上階目指し、アイシャを抱えたまま走り出す……。
 
 
そして、再び此方はジャミル側。
 
「あの変顔の蝶、いい加減で剣振り回してたら適当に攻撃が
当たって倒しちまった……、畜生、幻覚術なんか掛けやがって、
なめんじゃねーっつーの!」
 
「はあ、とにかくアルも無事で良かったよお~……」
 
「うん、何か唾液で身体中ベトベトだけれど……、仕方ないね、