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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アリアハン編

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離れた場所で戦いを見守っていた盗賊集団達。彼らが天に選ばれし者で
ある事だと分るのはまだ当分先の事。
 
「……!!」
 
等々残り一匹になった魔法使い。……最後の力を振り絞り、
ありったけの力を籠め、最大のメラをジャミル達に放出しようと
したが……。
 
「もう、終わりだよ……、ヒャドっ!!」
 
最後の最後で……、アルベルトも氷魔法、ヒャドを唱える。氷柱に
閉じ込められた魔法使い。……あっという間に氷と共に砕け散ったので
あった。
 
「アル、いつの間に……、わ、私よりも先にヒャド覚えてるなんて、
……あはっ!でもすごーいっ!」
 
燥いで喜ぶアイシャの姿を見て、アルベルトも笑みを浮かべた。
これにて、漸くバトル終了。で、丸く収まる筈がなく……。
 
 
……
 
「んで、こいつらがアイシャを誘拐したワケだ、
……ふうう~ん……」
 
盗賊集団達はジャミル達に囲まれ、当然の如く、質問攻めにあっていた……。
 
「そうだよ、わりィかよ、……もう獄にでも送るなり何でもしやがれ!
どうせ俺なんかよ、何やったって駄目なんだ、所詮無駄なんだよ……、
生きてたってな、どうせおもしれえ事なんか何一つありゃしねえんだよ……」
 
「あ、あっしらが親分の罪を背負いますっ!だから、お願いします、
どうか親分だけは許してやってくだせえ、……たのんます……」
 
「この通り、お願いします……」
 
子分達は土下座してまでジャミル達に頭を下げ、頼み込む……。
 
「……ふざけてんじゃねえぞ、てめえらっ!てめえらそれでも賊かっ!!
ええーっ!?みっともねえ真似すんじゃねえっ!!」
 
プライドを捨ててまで、頭を許して貰おうと子分達が土下座する。
そんな彼らを見て頭は一喝するが、それでも子分達は土下座を止めず……、
ぺこぺこ頭を下げ続ける……。
 
「二人とも、あなたの事が本当に好きなんだわ、だからこんなに
心配してるんじゃないのっ!バカっ!あなた、こんなに子分さん達に
信頼されてるのよっ!どうして二人の気持ちが分からないのよっ!
……バカバカバカっ!!」
 
「バ……、バカだとううう!?」
 
「そうよっ、バカよっ!それに他にも生きていく道なんか沢山あるわっ!
要するに、あなたは危険な事や悪い事に向いてないのっ!だからっ!!」
 
「お、おい……、アイシャ!?」
 
「……」
 
先程からバカ連発を発していたアイシャ。急に無言になると
頭の側に近寄り、そして……。
 
「あなたが本当の悪人なら、子分さん達をほおり出して自分一人でも
逃げてる筈だわ、でも……、あなたはそれをしなかったんだもん、
やっぱりあなたも子分さん達の事を心から大切に思っている証拠だわ、
……ね?」
 
頭の手を……、そっと握りしめたのであった。
 
「単純な嬢ちゃんだな、そう纏めるか……、ケッ……、どうしようもねえ
お節介な糞ガキだ……」
 
口ではそう言っているが、頭の表情からは険しさが消えていたのであった。
 
「……ううっ、おやぶうう~ん!」
 
「……うおおお~ん!!」
 
「はあ、俺達、何仕事やっても上手くいかなくてな、職場の出来損ない
仲間だったのさ、ヤケを起こしちまって……、んで、一緒に攣るんで
性悪盗賊稼業に手を出したワケだよけどそれも無理だったな……、どら、
又次の仕事探すか……、今度は真面目にな……」
 
子分達も頭に駆け寄り大号泣。……見ていたジャミル達男衆はあんぐりと……、
パペット人形の様にぱかっと大口を開けるのであった……。
 
「っと、口開けてる場合じゃねえ、けど、アイシャを誘拐した事は
話が別だ……、どうしてやっかなあ~……」
 
「待ってジャミル!私はもういいよ、……盗賊さん達を許してあげて!
……お願い!」
 
「アイシャ、お前……、あのなあ~!」
 
今度はアイシャが必死でジャミルに頼み込む。お人好しなアイシャに
ジャミルは呆れるが……。
 
「ジャミル、許してあげたら?アイシャは無事だったんだから……、
ねえ?」
 
「アルっ!」
 
ちょっと困った様な表情をしていた物の、アイシャの気持ちを感じ、
アルベルトもジャミルを説得してみる。
 
「オイラもお~、ヘタレだから……、皆の気持ちがよお~く分るよおお~、
ぐすっ、う~、しょっちゅう殴られるんですよお~、この……、意地悪
アホジャミルにーっ!!」
 
「坊主もかい、……大変なんだなあ~……」
 
「……おおお~ん!」
 
ダウドまで加わり、子分達と号泣し始める……。
 
「……こ、この馬鹿ダウドっ!誰が意地悪だっ!あ、あーっ!
もうええわっ!お前ら、はよどっか行けっ!……たくっ!!」
 
「あはっ!ジャミル、ありがとうーっ!」
 
「……たくっ!」
 
アイシャは感激してジャミルに抱き着く。……ツンデレているが、
ジャミルの顔は赤い……。
 
 
……
 
「じゃあな、お前ら元気でやれよ、嬢ちゃんもな……、又どっかで会おうな!
色々ありがとな!」
 
「うん、みんなも元気でね!もう悪い事しちゃ駄目よ!」
 
「さよならー!」
 
「お元気でー!」
 
盗賊達はアイシャとジャミル達に礼を言い、壁の無い個所から
下の階に飛び降りると、その場を去った……。
 
「はあ、これで一段落ね、どうなる事かと思ったけど、盗賊さん達も
新しいお仕事探すみたいだし、本当によかっ……」
 
「良くないですよー、お嬢さ~ん……?」
 
「……きゃ、きゃっ!?」
 
ジャミル、嫌らしい笑いを浮かべ……、指ピンピンで空気を弾いている。
 
「な、何よおお~、ジャミル、その顔……、あは、あはは、
……きゃああーーっ!!……いやああーーっ!!」
 
「やる事はきちんと致すーーっ!デコ出せーっ!心配掛けた罰だーっ!
成敗してくれるーーっ!!このジャジャ馬ああーーっ!!」
 
「やーんっ!ジャミルのバカあーー!!」
 
ジャミル、逃げ回るアイシャを追掛け、再び塔中を掛けずり廻るのであった……。
 
「アイシャ……、MPも大分無くなってる筈なんだけど……、
大丈夫なのかな……?」
 
「まあ、ジャミルの所為で取りあえず元気なんだから、
……いいんだよお~……」
 
 
「……はあ~……」
 
 
アルベルトとダウド……、その場に残された二人は揃って
大きな溜息をついた。


その4


色々あったが、無事アイシャもチームに戻りジャミル達も一安心。
……が、この後も彼女は事ある事に時に暴走し、危険な目に遭い
事ある事に騒動に体当たりでジャミル達に冷や汗を掻かせる事に
なるのであるが、それはまだ当分先の話。
 
「漸く辿り着いた……、やっと、最上階だ……」
 
疲れた様にジャミルが呟いた。4人は一度、最上階まで上がり、
怪しい小部屋を発見するが、扉の前に他の所から入れとの張り紙が
してあり、鍵が掛かっていた。遠回りして別のルートの階段から回り、
やっとこさ、部屋への別の裏入り口を見つける。
 
「はあ、わざわざこんな回りくどい事しなきゃなんねえとか、
面倒くせーなあ、んとに……」
 
「ねえ、ジャミル……」
 
「あん?」
 
「この塔で手に入るのは盗賊の鍵よね、盗賊さん達が言ってたの、