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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ロマリア編

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落とすってハッパを掛けているんだよ!」
 
「……」
 
そうだ……、とでも言う様に魔法使いが再びフードの中から
不気味な笑みを見せた……。
 
「……卑怯者めっ!!」
 
しかし……。
 
「うう~ん、あれ?私、何してるの……?あれ?……きゃあああーーっ!!」
 
「……アイシャーーっ!!」
 
タイミング悪く、アイシャに掛けられていたラリホーが解け、
眠っていたアイシャがその場で目を覚ましてしまう。
アイシャはどうして自分が魔法使いに抱かれているのか、
訳が分からずパニック状態に……。
 
「やだやだやだあーっ!キャー!おろしてっ、いやーーっ!!」
 
「落ち着け、アイシャっ!直ぐに助けるっ!!」
 
ジャミルがそう声を掛けるが、錯乱したアイシャは暴れ出し魔法使いの
腕に思い切り噛み付く。
 
「……!!……~!!」
 
「きゃ、……きゃあああーーっ!!」
 
「……やめろおおーーっ!!」
 
腕を噛み付かれ、怒り狂った魔法使いは……、遂にアイシャを腕から放し、
身体を上に持ち上げそのまま亀裂の穴の中に……、暗い奈落の穴へと
叩き落とすのであった……。

「畜生っ!アイシャ待ってろっ!今行くっ!」
 
「……」
 
ジャミルは急いで自分もアイシャを助けに亀裂に飛び込もうとするのだが、
……目の前の魔法使いが立ちはだかり往く手を阻んでいる……。
 
「だ、ダメだよお!ジャミルまで飛び込んだらっ!……怪我しちゃうじゃ
ないかあっ!」
 
ダウドは無茶をしようとするジャミルを必死に止めようとするが……。
 
「無茶でも何でもだっ!オメーはアイシャをこのままにして
おけってのかっ!?バカダウドっ!!」
 
「だ、だってええ~、……ううう~……」
 
ダウドは答えようがなかった。亀裂に落とされたアイシャの事も勿論
心配で無い筈がない。しかし、今ジャミルまでが亀裂に飛び込んで
しまったらと考えると不安で仕方がないのであった。
 
「じゃあ、僕らも一緒に行こう!ダウド、それでいいかい?」
 
「アル……」
 
「え、えええーっ!?……オイラ達もっ!?わ、分ったよおお~……」
 
今は目の前の魔法使いよりも、アイシャの無事が最優先である。
男3人は顔を見つめ合うと、覚悟した様にこくんと頷く。
 
「よし、一斉に行くからな……、タイミング合わせろよ、……1、2、……」
 
「……」
 
「……だあああーーーっ!!」
 
ジャミル達は魔法使いに向けて一斉に3人で魔法使いに向けて
飛び蹴りを噛まし、遠くにおっ飛ばす。油断した魔法使いは呪文の
詠唱の暇もなく、亀裂を飛び越え亀裂の向こう側にふっ飛んで
行ってしまった……。
 
「……今だっ!飛び込めーっ!」
 
ジャミルの合図で、アルベルト、ダウド、そして最後にジャミル自身も
真っ暗な亀裂の穴の中にダイブするのであった……。
 
 
……
 
「ジャミル、……ジャミル、ねえ、大丈夫……?しっかりして……」
 
「う……、この声……」
 
自分を呼ぶ聞いた事のある声に耳を傾け、うっすらと目を開ける。
目の前にいたのは……。
 
「……アイシャ……か?」
 
「あはっ!良かったーっ!無事でっ、助けに来てくれたのね、ありがとうーっ!」
 
「……ちょ、お前怪我としかしてねえのか?」
 
「うん、大丈夫よ!」
 
「そうか……」
 
アイシャにそう言われ、ジャミルは自分の手や足を動かしてみたり
自分にも怪我がないか確認してみる。確かにジャミル自身も大丈夫の
様である。アイシャはアルベルトとダウドの方にも怪我をしていないか
状態を確認しに行った。
 
「アルもダウドも、助けに来てくれて有難う!」
 
「アイシャも……、無事で良かった……」
 
「はあ、心配させないでよお~、もう~……、無事で良かったけどさあ~……、
ぐしゅ……」
 
……どうやら全員無事の様である。アイシャ達はジャミルの元に
駆け寄ってきて、無事に皆再会を果たした。
 
「それにしても、深そうに見えても案外落ちた穴が浅かったみたいだな……、
とにかく助かったぜ……、ふう……」
 
ジャミル達はぼけーっと、4人で頭上を見上げてみる……。
 
「後はこの階から脱出するだけだね……」
 
「で、でも……、もしも、上に上がる手段がなかったら……、
オイラ達、この場所に閉じ込められて……」
 
「もうっ!すぐ悪い方向に考えちゃ駄目っ、ダウドっ!」
 
「だ、だってええ~……」
 
アイシャに怒られるダウド。リレミトの魔法さえ使えれば
別に脅える事も何もないのだが、しかし、リレミトを覚えられる
ジャミルもアイシャもアルベルトもまだそのLVの領域までは達していない。
特にジャミルは覚えられるLVがかなり遅く、一番最後である。
 
「とにかく、上の階への階段を探そう、何処かに有る筈だよ……」
 
「だな、ヘタレてばかりいても此処からは出らんねーからな、ダウド……」
 
「わ、分ったよおお~……」
 
4人はのそのそ再び動き出す。階段を探し……。
 
……ドスッ!!
 
「!?」
 
突如、何かがドスンと落下した様な物音がし、4人は恐る恐る後ろを
振り返る……。すると……、あのしつこい魔法使いが立っていた……。
4人を追い、魔法使いも自ら亀裂に落ち、追い掛けて来たのである……。
 
「……」
 
「……ひええええ~っ!!」
 
「ダ、ダウド……」
 
ダウドは慌ててアルベルトの後ろに身を隠す……。
 
「くそっ、しつけーなっ!あーもうっ!」
 
「もうっ!さっきはよくもやってくれたわねっ!……アル、まだMPは
残ってる……?」
 
「うん、何とか大丈夫だよ……」
 
アルベルトの表情を覗い、アイシャがにこっと笑った。
 
「私もやっとヒャドが使える様になったから……、連携プレイよっ!
二人で魔法使いをやっつけちゃいましょっ!!」
 
「アイシャ……、ああ!」
 
アルベルトも強く頷き、目の前に立ちはだかる魔法使いを睨む……。
 
「おい、お前らだけで大丈夫か!?」
 
「大丈夫よ、今回は私達二人で頑張るから!ジャミル達は休んでて!」
 
「分った……、気を付けろよ……」
 
ジャミルはアイシャとアルベルトを信頼し、二人に全てを任せる事にした……。
 
「はあ、オイラお休みー、……良かったあー!」
 
「……良くねーってんだよっ!」
 
「あいたああーーっ!!」
 
ダウド、ジャミルに一発ポカリ、……ゲンコツを食らう……。
 
「行くわよっ、アルっ!一気に決めましょ!」
 
「了解っ!!」
 
負けずに魔法使いの詠唱の素早いメラ、アイシャとアルベルトに
襲い掛かった。アイシャとアルベルトは呼吸を合わせ、二人同時に
ヒャドを魔法使いへとぶつける。二人が同時に放ったヒャドは魔法使いの
メラを忽ち凍り付かせる……。そして、魔法使い自身も凍り付き粉々に
砕け散るのであった……。……魔法使いの氷漬けはこれで3体目である……。
 
「やったなっ!アル、アイシャっ!」
 
「凄いよおおーっ!」
 
ジャミルとダウドも急いで二人の側へ駆け寄る。……流石に疲れ気味の
アイシャとアルベルトであった物の、無事勝利を確信出来た事に安堵の