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混沌が渦巻く日常

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そうして、達哉達は悪魔達と交渉したり、倒したりしながら進んでいく。
途中、アポロが新しい技を使えるようになった。
そしてその打撃技、ギガンフィストを放つ。
ちょうど遭遇した魔術師の悪魔・アグリッパの弱点だったようで、大怪我をしたりすることなく無事に倒すことができた。
「相手が悪かったな。」

戦闘が終わった後、それぞれ宝箱を探したり中がどのような構造なのか、別れて散策していた。

広い部屋の中を歩きながら、達哉は考えていた。
最初は、自分が通う高校に変な噂が流れ始めたと思っていたのに…
ジョーカーを追っていく流れの中で、街の様子もだんだん、カオスで混沌とした雰囲気になってきているように感じていた。

現れた仮面党員、ヒューラーを筆頭とする軍隊、そして、その他の一般市民の中でも、人類の進化したイデアリアンという存在を信じる者とそうでない者達…
珠閒瑠市は相変わらず空中に浮上したままで、地上にある珠閒瑠市の外側の地域はどうなっているかわからない。
そして、珠閒瑠市が浮上する時に周りが悲惨な事になった衝撃も未だ忘れられない。

あり得ない事が次々と起こっている。
以前の平和な街の雰囲気が懐かしくて恋しい。そしてそれとは別に、これからを歩いていかなければ、とも、思う。

不安感や閉塞感が、ゆっくりとしかし静かに、街を蝕んでいっているように感じていた。

兄の職場である警察署は先日爆破され、その付近で兄を見かけた時はある市民を軍隊に会わないように誘導しているようで、忙しそうだった。

言葉にするのは恥ずかしくて言えたものじゃないのだが、死なないでほしいと思う。

爆破された警察署は、数日は経っているがそのまま放置されている。
警察署の人達も、市民の安全のことで忙しく、今はそれどころじゃないのだろう。
平和だった日常は遠ざかっていっている。



しばらく、部屋を散策し、宝箱を開け終わったあたりで、今日はこれくらいにして一旦撤収しようと提案する。
やりたい事が色々ある。
早く自分達と同じ姿をしたシャドウ達から水晶髑髏を回収しなければと気が焦っていた。

本当はすぐにでも突如現れた宮殿に出向きたいのだが、これまでのダンジョンで、一度入ったらなかなか出られなくなることも多く、
準備はできるだけ万全にしてから向かいたかった。


「皆、この後少し寄りたいところがあるんだが、大丈夫そうか….?」
廃工場を出たあたりで、達哉が呼びかける。
「私は大丈夫だよー!情人!」
ギンコは一緒に行きたがっている様子だ。
舞耶姉、淳、永吉も大丈夫そうだった。
「淳に知っておいてほしい場所があるんだ。」
「僕に、知っておいてほしい場所…?」
「あぁ。」
「タッちゃんが悪魔と戦った後に寄るって事は…ベルベットルームか?」
「…そうだ。」

作品名:混沌が渦巻く日常 作家名:きまま