zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 イシス編
ジャミルは食べていたハンバーグを思いっきり喉に詰まらせた……。
「だから言ったでしょ!も~!すみません、お水下さーい!」
急いでジャミルに水を飲ませ背中を擦ってやるアイシャ。
ジャミルは思った。もし、今背中を擦ってくれたのがあのムキムキ
角女王だったら内臓が飛び出してしまったかも知れない、……そう想像したら
ホラーチックになってしまい、怖くなった。
「何かご用ですか?」
ジャミルの代わりにアルベルトがわざわざ宿にやって来た衛兵に応対する。
「明日、女王様主催の相撲大会があるんですが、是非どうぞ、貧弱でお股も小さい
ジャミルさんを鍛えてやりたいと女王様が……」
「……じゃかあしい!誰が行くか!!……てか、ドサクサに紛れて何か
余分で余計な事いっとるやろが!!」
……
食事を済ませ、4人は今夜泊まる部屋へと移動する……。
「ねえねえ、お風呂入りに行こう、ジャミルも元気でるよ!」
先頭をちょこちょこ歩いていたアイシャが立ち止まり、ジャミルの方を
振り返った。
「風呂?」
「此処のお風呂ねえ、水風呂なんだって!」
アイシャは熱い風呂よりも冷たい水の方が好きなのだった。
「水風呂か、……一日疲れたからな……、さっぱりしてくるかな」
「じゃあ決まりね!皆で行こうね、♪おふーろ、おふろ♪」
4人は部屋に一旦行き、荷物を置いた後、宿の浴室へと足を運んだ。
「……うわ!これじゃ風呂っていうよりプールだよ~!」
いかにもな冷たそうな巨大な風呂を見てダウドが震え上がった。
「あはは、きゃー、つめたーい!きもちいーい!」
隣の風呂からアイシャの燥ぐ楽しそうな声が聞こえた。
「とにかく入ろうや……、よっ、と……」
ジャミルが風呂に片足を入れる。……冷やりと冷たい水の感触が
砂漠を歩いて日に焼けてヒリヒリ痛んでいたジャミルの足を冷やして
癒してくれる。
「……ふー、気持ちいいな~……」
「生き返るねえ~!」
「うー、たまんねー!」
男衆3人揃って何だかお爺ちゃん臭い。
「……ねえ、ジャミル」
「何だよ……」
「今、変な事考えてなかった?」
「何が?」
「だって、アイシャ、今裸だよお?」
「……」
ジャミルは黙ってダウドの頭を押さえて水風呂の中に突っ込ませた。
「うぎゃ、ちべた~い!!」
静かなので隣の浴場から声がよく聞こえてくる。アイシャのキャンキャンした
黄色い声が。
「あ~ん!」
ぺちぺちぺちぺちぺちぺち…
「わたしのおっぱいどうしてこんなに小さいの~っ!……ぐすん……、
いいもん、どうせ私はペチャパイよ、でもっ、今に大きくなるんだもんっ!!」
ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち、ぺちぺちぺちぺちぺちぺち、
ぺちぺちぺち……、ぺたぺたぺた……
「……」
「ジャミルどうしたの!?顔真っ赤だよお!」
「ハナ血でてるけど……、って、お~い!」
ジャミルは風呂に撃沈した……。
「あ~、気持ちよかったあ~、うふふ!」
風呂上り、お肌もつるつるすべすべ、香水も着けたらしく、いい香りでご機嫌で
ルンルンなアイシャ。
「はは、それは何よりだね、良かった……」
「あら?アル、ジャミルはどうしたの?姿が見えないけど……」
「……うん、ちょっと風呂でのぼせたみたいで……、沈んじゃったんだ、
ダウドが先に部屋まで連れて行ったよ……」
「ええ~っ!?み、水風呂でっ!?」
「……」
翌朝。
ジャミル達は町にいる人を捕まえて片っ端から話を聞き情報を得る。
「……うーん、港町……、か」
「船貸してくれそうな所、ないかな?」
「ここら辺じゃないけど、ポルトガって言う町に丈夫な船を作ってくれる
職人さんがいるって聞いた事があるよ」
「……ポルトガねえ……、行ってみるか」
「ああ、ちょっと待って、確かポルトガはロマリアの関所を通らないと
いけないんだけど、そこは特殊な鍵じゃないと開かない筈だよ」
「鍵?俺らこれ持ってるけど、駄目なのか?」
ジャミルが盗賊の鍵をおじさんに見せる。
「駄目だよ、魔法の鍵じゃないと、砂漠のピラミッドにあるらしいよ、
確かイシスから……、北の方角に建っている筈……」
「……んじゃあ、鍵手に入れられたら、一旦は又ロマリア近辺に
戻らなきゃ駄目って事か……」
ロマリアと聞き、又ギャンブル国王の顔を思い出したのか
苦笑するジャミル。
「ピラミッド……、当然ミイラ男とかいるよね、嫌だなああ~……」
やはりダウドさんはあまり気が乗らない様子。
「嫌でも何でも行かなきゃ、この先に進めねーんだよ、ダウド!」
「……やっぱ、だよおねえ~……」
仕方がないので魔法の鍵を探しにピラミッドに潜る事になったのである。
「……また暑い所か……、ふ~……」
……4人は再び糞暑い砂漠を横断する羽目に。そして、糞暑い中、更に
ややこしい事態に巻き込まれるのである。
「……あつい、あついよおお~……」
「おい、又暴走すんなよ……」
「分ってるよお~……」
ジャミルが横目でダウドを見るが、うっかりするとジャミル自身も
暴走しそうだった。
「皆、モンスターよっ!」
「!!」
アイシャの声にジャミルとアルベルトが身構え、戦闘態勢を取る。
現われたのは、コウモリの様な羽が生え、外観は猫みたいなモンスター、
キャットフライ2匹、そして、緑色のカニのモンスター、地獄のハサミの
2匹の計4匹。
「カニがんなとこチョロチョロしてんじゃねーっての!ナベに入れて食うぞ!」
ジャミルは勇ましく剣を構えるが……、未だ自武器が銅の剣であった事を
思い出す。
「てか、よくこれで此処まで無事だったな、俺……、つーか、書いてる奴、
いい加減にせえよ……」
「オイラもまだひのきの棒なんです……」
「私もよう……」
「はは、……まあ、しょうがないよね……」
「~!」
「あっ!」
地獄のハサミが一斉にスクルトを唱え、自身の守備力を上げる。こうなると
打撃攻撃では歯が立たなくなる。
「ジャミル、大丈夫だよ、呪文でケリを付けるから!」
「私達にお任せっ!」
「……頼む、アル、アイシャ!」
この状態になった場合、やはり強力な攻撃魔法を使える二人に任せるしか
なかった。……しかし。
「……~!」
「あ……、っ!……!?」 (声がっ!?)
「……!……!」(マホトーンだわ!ど、どうしよう……)
キャットフライがアルベルトとアイシャに的を絞り、マホトーンで
声を出させなくし、呪文を唱えられない様にしてしまったのである……。
4人は大ピンチに陥る……。
「……なろお、この場合、やっぱ俺がやるっきゃねえってか、よし!
なめんなよ、俺だって多少は攻撃魔法が使え……」
「~!!」
しかし、更に又キャットフライのマホトーンがジャミルをも襲う。
このマホトーンは特殊仕様で……、ジャミルの口に剥がれない
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 イシス編 作家名:流れ者