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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ポルトガ~ダーマ編

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ジャミルはカンダタの背中にしっかりと鉄の斧を突きつけている。
 
「あんたが熱弁してる時……」→糞ガキ共、武器を捨てろ!それから……、
の辺り。
 
「……何~い!?」
 
「ひゃ~っはっはっは!わりィねえ~、オイラ足の速さだけが
自慢なのさっ!!」
 
幾ら足が速いったってありえな~いである。
 
「……ち、ちくしょううううめ……」
 
カンダタの身体が怒りでブルブル震えだした……。
 
「ねえ、いい加減その子放してやってくれる?」
 
「この野郎っ!こうだっ!」
 
「いやーーっ!」
 
カンダタのナイフが今にもアイシャの顔を斬ろうとしたその時。
 
「この野郎、言う事聞けっ!……急所シュートっ!」
 
ジャミルは斧ではなく、カンダタのおまた目掛け、足を振上げると
思い切り蹴り上げた……。
 
「……グ、グオオオオオォォォ……」
 
あまりの痛さにカンダタがぴょんぴょんし、漸くアイシャから手を放す。
 
「……ケホッ!ケホッ!」
 
「アイシャ!大丈夫かい!?さあ、こっちへ!もう少しだよ!」
 
「アイシャ、頑張れっ!急いで走って!」
 
「アル、ダウド……、うっ、ごほ……、うんっ!」
 
……アイシャは息を切らしダッシュでアルベルト達の方へと駆け出す。
アイシャがカンダタから解放されたのを確認するとジャミルもその場から
逃走した。
 
「アイシャあ~!無事でよかったよお……」
 
「みんな……、怖かったよ~!うわ~ん!!」
 
「もう大丈夫だからね……」
 
「やれやれ……、世話が焼けるよ、ったく……」
 
「ジャミル……、アル、ダウド……、ひっく……、ありがとう…」
 
こうしてアイシャは無事救出され、カンダタもこれ以上手のうち様が
無く……、……白旗を掲げ、素直に敗北を認めたのであった。
 
「さーて、おっさんの後始末はどうしようかー?」
 
「くっ……!煮るなり焼くなり好きにしやがれーっ!」
 
カンダタは腕組みをし、胡坐を掻いてどかっとその場に座り、
巨体を落ち着けた。
 
「……お前なんか食ったって脂身ばっかりで美味くねえよ……」
 
「……口の減らねえガキだな!!」
 
「ほら、これ返すよ、もってけどろぼー!」
 
そう言って縛ったままの子分共を蹴とばした。
 
「俺は弱い者虐めはしねーんだ、さっさと消えろ!!」
 
「くそ~っ!今回はこれで撤退してやるっ!……覚えていやがれ~っ!!」
 
子分共を引きずりながらカンダタはスタコラ逃げて行った……。
 
「はあ、出来ればもう忘れたいもんだがねえ~……」
 
……色々大変な目に遭ったが、こうしてジャミル達は無事に
ラファエルとコンスタンツ、二人を家まで送り届ける事が
出来たのだった。
 
 
……
 
 
「……おお、勇者様達……、感謝の言葉もありませぬ、本当に何とお礼を
言ったらよいのやら……」
 
「ジャミルさん達、本当に有難うございました……」
 
「このご恩は一生忘れませんわ……」
 
オテじいさんが涙を流し、ラファエル、コンスタンツも深々と頭を下げた。
 
「べ、別にいいって……」
 
「それに比べて……、ラファエル、お前は何と未熟者なのだ……、
儂があれ程……」
 
「お義父さん……、申し訳ありません……」
 
「……お父様!ラファエルは私を命懸けで危険な場所に
助けに来てくれたのですよ!!」
 
コンスタンツが必死で訴えるとジャミルもラファエルの横に立った。
 
「娘さんの言う通りだ、まあ……、結果的には奴らに
捕まっちまったけど、たった独りで悪党共の所に行った事は
事実だよ、すげーじゃねえか、なあ!」
 
そう言ってジャミルは笑ってラファエルの肩に手を置く。
 
「ジャミルさん……」
 
「……ラファエル……、すまなかった……、これからも娘の事を
宜しく頼むぞ…、お前のその勇気で娘を守ってやって欲しい……」
 
「お父様!!」
 
「お義父さん!……僕の方こそ!これからもどうか宜しくお願いします!!」
 
爺さんがラファエルに手を差し出すと、ラファエルもその手を
握り返すのだった。
 
「とりあえず一件落着だな」
 
「うふふ、ラファエルさん達、本当に嬉しそう!良かった……」
 
「ふぁ、やれやれだよお……」
 
「うん、今回も無事、終わったんだね……」
 
4人は絆を深めた親子のやり取りをそっと見守るのだった。
 
「勇者様達に是非お礼をさせて頂きたい!儂らに何か出来る事が
ありましたら何でも言ってくだされ!!」
 
「い、いいよ、そんな気ィ使わなくたって……」
 
「いいえ!このままでは儂らの気が済みませぬ!」
 
ふんふんと鼻の穴を広げる爺さん。
 
「弱ったね……」
 
ジャミルは困った様に他の3人を振り返る。
 
「それじゃあ……」
 
アルベルトが頷くとジャミル達も同時に頷く。
 
「実は僕達は黒胡椒を探しておりまして、この町にあると聞いて
やって来たのですが何かご存じありませんか?」
 
「そんな事でよいのですか?もっと気の利いたお礼をしたいのですが…」
 
「い、いえ!皆さんの温かいお気持ちだけで本当に嬉しいです!」
 
「そうですか……、それならば、黒胡椒はうちの店に置いてありますよ」
 
「えっ!?」
 
「うちは元々黒胡椒屋なんですが、娘が誘拐されてしまった後、
店を閉めていたのですよ……、ああ、お代は要りませんぞ、娘の命の
恩人ですからのう、せめてこれぐらいお礼をさせて下され、好きなだけ
持って行って下さい……、又明日から営業再開ですじゃ!又、この町に
来た時は、勇者様達もいつでも気軽に店に寄って行って下され!
歓迎しますぞ!」
 
「いやったあ~!黒胡椒ゲーット!!」
 
ジャミル達は爺さん達にお礼を言い、急いでポルトガに戻ると
ナイトハルトに報告し、黒胡椒を無事渡したのであった。
 
「ご苦労だった、港にある船は好きに使うが良い……」
 
こうして苦労の末あってようやく念願の船を手に入れる事が
出来たのだった。
 
「よし、皆、船に乗り込むぞ!出航だあーっ!」
 
「おーーっ!」
 
ジャミルの合図で船に乗り込み、いよいよ4人は壮大な
大海原へと繰り出す。此処からが彼らの本当の旅の幕開けと
なるのである。
 
 
……
 
 
そして、遂に念願の船を手に入れたジャミル達4人。
ナイトハルトが提供してくれた船はかなり大きく、
本当に凄い船であった。皆は船内を探検したりと、
もう大はしゃぎである。
 
「殿下の大切な船なんだから……、大事に使わせて貰うんだよ、皆……」
 
「へいへーい!」
 
「分かってますよお~……」
 
「大丈夫よっ!」
 
殿下命のアルベルト。浮かれている他の3人に注意をしておくが。
 
「ひょー、すげええっ!どれぐらいスピードが出んのかな、この船っ!」
 
「……」
 
アルベルトは一番船を破壊しそうな心配な危険人物、ジャミルを
ジト目で見るのであった……。
 
 
今は休憩室にて、ジャミル、アイシャ、ダウドのメンバーは休憩中。
アルベルトはと言うと、船室で趣味の読書タイムに入ってしまった……。
 
「ハア……、漸くこれでやーっと一息つけらあ……」