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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ポルトガ~ダーマ編

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休憩室のテーブルに突っ伏すジャミル。
 
「でも、この船……、埃だらけだわ、そうね、アルの言う通りだわ、
まずは皆でお掃除しないと!これから暫くの間お世話になるんだもの!
大切に使わせて貰わなくちゃね!」
 
チョロチョロ動き回り、張り切るアイシャを見て、おい、頼むから
じっとしててくれや……、と、疲れたジャミルは思う。彼女は
船の中でも何だか迷子になってしまいそうな感じがしたんである。
 
「う……」
 
「ダウド……、どうしたの!?顔色が悪いけど……」
 
「お約束です……、ぎもちわる……、お……、げえ~っ!!」
 
「おい、ダウド……?おーいっ!?」
 
「きゃーっ!此処で吐かないでーっ!」
 
 
「……おええええ~っ!!」
 
 
……ダウド、早速船でやらかす。4人の旅はまだまだ前途多難なのでした……。

して、念願の船を手に入れたはいいが、……次の目的地は一体全体
何処に向かったらいいか分からず、海を漂流する4人だった……。
 
「……気持ちわり~い!うっぷ!」
 
そして、船酔いが治らないダウドが甲板から海に向かって突進を繰り返し
飯も食えず大変な事になっている。
 
 
「おええええ~……」
 
 
「……大丈夫かい?ダウド……」
 
アルベルトがダウドの背中を擦ってやるが、ダウドの顔は青ざめゾンビ状態。
 
「ね~、アルー」
 
アイシャがアルベルトの側までトコトコ歩いて来る。
 
「ん?何?」
 
「この船って誰が操縦してるの?」
 
「ジャミルだろ?」
 
「んーん、ジャミルならマストの上で寝てるよ」
 
「……自動操縦なんだよ……、きっと……」
 
と、無理矢理片付けてしまうアルベルト。
 
「あ、そうだ、ねーねー、みてみてアル、ここおすすめスポットだって」
 
アイシャがナイトハルトから貰った世界お勧めガイドマップを
アルベルトに見せた。
 
「へえー、なになに?ダーマの神殿職業転職所、転職してあなたの人生
リフレッシュしてみませんか?か、ふ~ん……」
 
「俺も転職したいんだけどよう!」
 
「うわ!おどかすなよ!」
 
いつから来ていたのかジャミルも側に立っていた。
 
「……ジャミルは勇者なんだから~、勝手に変えられないでしょ!」
 
「ちぇっ!」
 
「僕もこのままで問題ないし、アイシャは?」
 
「私もこのままでいいな」
 
「じゃあ用ねえじゃん」
 
「え~っと、修行も出来るんだって、神殿の近くにメタルスライムが
沢山います、是非一度お越し下さい」
 
「……そいつは美味しそうだ……」
 
「行ってみようか」
 
と、ジャミル、アルベルト、アイシャ、3人の意見が合意した処に……。
 
 
「おえええ~……」
 
 
「う~ん、重症だな、こりゃ……」
 
「ダウド、大丈夫かい、ほらほらほら……」
 
アルベルトが心配そうにダウドを気遣う中、ダウドはしこたま
吐くだけ吐くと、ふらふらと……、又船室に引き返して行った。
 
「ねえ、私が前に提案した海水浴!実行して休憩しようよ!
その間に、ダウドを休ませてあげられるわ」
 
「賛成ー!俺も息抜きしたい!けど、オメー、泳ぎたい口実に
ダウドを出汁にしたな?」
 
「ぶー!何よっ!……えへへ、それもちょっとはあるかも……」
 
「まあ、仕方ないか……、僕も少しは落ち着いて読書タイムが
出来るし、ふふ」
 
こうして話は纏まり、一行は小さな小島に船を止め、バカンス休憩へと繰り出す。
 
 
……
 
 
「じゃ~ん!みてみて~、やっと着れたよ~!水着ー♡」
 
フリルヒラヒラのワンピース水着でキャッキャと燥ぎ、砂浜を
走りまわるアイシャ。
 
「……う~む、相変わらず胸がないのう……、イテッ!」
 
「ふんだっ!ジャミルのバカっ!」
 
アイシャにおもいっきり足を踏まれるジャミル。
 
「はあ、相変わらず二人は元気だね……、じゃあ、行ってらっしゃい」
 
「ん?アルは泳がねーの?」
 
「えー!アルは行かないの!?駄目だよ、本ばっかり読んでちゃ!」
 
相変わらず本ばかり読んでいて動こうとしない運動不足気味の
アルベルトを心配し、アイシャが腕を引っ張るが。
 
「僕はいいんだよ……、ここで休んでるからさ、どうぞお構いなく」
 
「オメー、もしかしてカナヅチ?とか……」
 
ジャミルが口に手を当て、プッ、あら、アルベルトさんいや~ねえ!
……の、カマポーズを取る。
 
「……失礼だな!バカジャミル!……疲れたんだよ、それに
ダウドが心配だし……」
 
「……お、オイラは平気……、う……うぷっ!」
 
再びダウドが吐き気を催し口を押える。それを見たアルベルトは呆れる。
 
「ほら~!治ってないじゃないか!も~!」
 
「しぃましぇ~ん……」
 
「ダウドは僕が見てるから、二人で泳いできなよ」
 
「じゃあ、ダウドはアルにお任せして……、いこっ、ジャミル」
 
アイシャの小さな手がジャミルに触れ、ジャミルの手をそっと握った。
 
「え……?あ、あ……、あ……、あう……」
 
ジャミルは困って顔を赤くし、ドギマギ、戸惑う。
 
「ふふ、ジャミルって思ったより純情なんだね」
 
「……何か言ったか~!?アル~!!」
 
「なんでもないよー!」
 
 
……それから数時間後、船内にて……、ジャミルとアイシャの
絶叫が響き渡る……。
 
 
「いてててて!ちくしょうう~!……しみるーーっ!」
 
「……いたい、いたい、いたいよーーっ!」
 
 
「♪ふんふふふ~ん、……あれ?」
 
すっかり船酔いも落ち着き、ポッキーを銜えてご機嫌のダウドが
船室から出てくるが、甲板から聴こえた悲鳴に気づくと階段を登り、
上に上がって行った。
 
「ねえ、皆、何してるの……?」
 
ダウドが甲板に行くと座り込んでいるジャミルとアイシャ、
……そして二人の両足に薬を塗って介護しているらしき
アルベルトの姿が。
 
「……泳いでいてクラゲに刺されたらしくてね、もう大変なんだよ……」
 
「そっか、今はシーズンだもんね……」
 
「アイシャの方は痛いのすぐ収まると思うケド……、ジャミルの方は
重症かも……」
 
「……バカ?」
 
「ダウドに言われたくねーよっ!」
 
「しびれくらげに刺されたのならキアリクですぐ治せるけど、
モンスターじゃない、普通のクラゲじゃ僕は治せないからね!」
 
 
……むにゅう~……
 
 
そう言いながらジャミルの足にチューブタイプの塗り薬を大量に
塗りたくるアルベルト。
 
「フギャーーっ!!」
 
「いたいいたいいたああ~いっ!!」
 
大騒動の末、あっという間に日が暮れてしまったのだった……。
 
 
「……う~、ひでえ目に遭った……」
 
その夜、痛む足を摩りながら甲板の上でうなだれるジャミル。
 
「アイシャとダウドはもう寝ちゃったよ、慣れない船旅で
疲れたんだろうね……」
 
「アイシャの奴、よく寝れるよなー、ったく、俺は足が痛くて
寝られやしねえよ……」
 
「……そりゃあれだけ刺されたら当たり前だろ……、ん?」
 
「……う~」
 
「ジャミル、敵が来る!構えてっ!」
 
「え?」