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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ポルトガ~ダーマ編

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「……お前……、可愛くねえ……、てか、いつもヘタレて嫌がるくせに
何で今回はこんなに張り切ってんだよ……」
 
「いいんだよお!オイラだってお宝収集に燃えますっ!」
 
「あっそ……」
 
ついでにアイシャも一緒に真似し、拳を口に当てて目をキラキラ。
ダウドに同意を求める。
 
「行ってみたいよねー!ダウド!」
 
「ね~っ!」
 
「……どうする?アル……」
 
「僕は別に構わないけど……、皆が行きたいっていうのなら
お付き合いするよ」
 
はっきり言ってジャミルはめんどくさかった。神殿の周りで
LV上げする方が何かあってもすぐに宿に戻れるので楽だったからだ。
 
「アルだけ行かせる訳にいかねーしな……」
 
餓鬼二人、アイシャとダウドは行く気満々である。
とにかくアルベルトは体力が無く、場合によっては
アイシャよりも酷い時が有り、すぐにぶっ倒れる……。
かと言ってジャミルも体力が有る訳ではない。
 
……このパーティは貧弱な全員もやし集団だった……。
 
「……う~っ!めんどくせーなあー!!」
 
ベッドの上で寝っころがって吠えているとダウドがひょいっと
上からジャミルの顔を覗き込む。
 
「ジャミル……、一緒に行ってくれないの……、うるっ……」
 
相当古いが突然アイ○ルのcmと化すダウド。
 
「わかったよ、行くよ!行きゃあいいんだろ、行きゃあ!なんなんだよ、
このパターン……」
 
「わ~っ!やったあ~!!」
 
燥ぎだすダウドとアイシャにジャミルがこめかみを抑える……。
普段の茶らけた彼からすればあまり似合わない仕草である。
 
「……あー、頭いてえ……」
 
(……いつも君に悩まされる僕の気持ちが判ったでしょ……、くくっ……)
 
そして、腹でこっそり笑うアルベルトなのであった。

他の3人を除いておぼつかない足取りでガルナの塔へと
歩いていくジャミル。
 
ぴょこっ……
 
突然草むらから何かが姿を現した。銀色に輝く物体、それは……。
 
「メタルスライムだあ~っ!!」
 
「あんまり騒ぐと逃げてしまうよ、ジャミル……」
 
「わかってるって、アル、よぉ~し!」
 
狩る気満々で鉄の斧を構え、ジャミルがメタルスライムへと近寄って行くが。
 
ざざざざざ……!
 
速攻でメタやんに逃走される。
 
「あっ、逃げやがったっ!チクショ~!やっぱこの糞斧が
重すぎる所為だっ!おーのー!」
 
「……」
 
アルベルトの眉間に皺がより始めた。
 
ぴょこっ……
 
「ジャミル、又出たわよ!」
 
アイシャが叫びジャミルに知らせる。しかし、このメタル系は
プレイヤーの目からすると画面を押えて逃走を阻止したくなるのである。
……そんな事しましても逃げますが。
 
「よーし、今度こそ……、ダウド!鋼の鞭で攻撃してくれ!」
 
「わかったよお、えいやっ!」
 
すかっ……
 
「あれえ?……お、おかしいなあ~、……もう一回……」
 
ダウドはそう呟いて鞭を握り直す。しかし攻撃は当たらずスカシ
連発になってしまった。
 
「……おおーーいっ!」
 
「だって固くってえー!中々当たらないんだよおー!」
 
「無理だよ、ジャミル……、メタル系はとにかく倒すのが
大変なんだから……」
 
「んな事言ったってよう~!」
 
ダウドを庇いフォローするアルベルトに口を尖らせるジャミル。
 
「あっ!また逃げちゃうっ!」
 
アイシャが叫んだのと同時にメタルスライムも逃走。
 
「……ちくしょ~、こうなりゃ何が何でも倒してやる~!!」
 
「え、えええーー!?」
 
ジャミル以外の3人がハモり、ジャミルに抗議。
 
「えーじゃねーのっ!目標LV24!!」
 
「塔はどうするのようー!」
 
ブン剥れて不満顔のアイシャ。
 
「塔は逃げない!だから後でもいーのっ!ふんっ!」
 
「分んないよお、塔に足が生えて逃げるかも知れないじゃん、ぶつぶつ!」
 
「ダ、ダウド……」
 
此方も段々と不満顔になってきている様子のダウドをアルベルトが心配する。
 
殺気を感じたのかその後、メタルスライムは全く姿を現さなくなった。
出てくるのはゴリラ系のキラーエイプ、ごうけつぐま、そんなの
ばかりになった。
 
そして……。
 
すでに日は暮れてしまい夕方になっており、空のカラスがアホーと
鳴いて通り過ぎる始末。
 
「……ねえ、ジャミル……、まだやるの……?」
 
疲れ切ったアイシャがジャミルに聞く。メタルスライムを倒せなくても
この周辺の敵は余裕で倒せるぐらいLVは充分上がってしまっていたのだが……。
 
「まだまだァ!!」
 
「はあ……」
 
そして騒動が起きる。幻術師にメダパ二を掛けられて混乱した
ジャミルがダウドの頭をぶん殴る事態が発生した。
 
「……うわああ~んっ!いだいよおおーー!ジャミルのおたんちーん!
びえええーーっ!!」
 
流石にジャミルも焦ったのか、ぐずるダウドに謝って今日は
神殿に戻る事に……。暫く二人は口も聞かず険悪な時間が続いたらしい……。
 
「ダウドの頭のコブ……、すごいね……、なんか天まで届きそう……」
 
アゲモリ状態のコブに触ってみたくてアイシャがウズウズしている。
 
「……」
 
笑ってはいけないのでコブを見ない様必死に笑いを堪えている
アルベルトだった。
 
 
ダーマ神殿 宿屋
 
 
「ジャミル」
 
「何だ?」
 
夕食のカツを食べながらアルベルトがジャミルに話し掛けた。
 
「メタルスライムとか、本当に運なんだからさ、あまりムキに
ならない方がいいよ」
 
「ふふぁってふよ、むぐむぐ」
 
「……口に物入れたまま話すなよ、行儀悪いな……」
 
「ふぃふぃふぁい」
 
「……」
 
「っくん!……ここんちのは肉が柔らかくってさ、本当にうまい!」
 
「本当、おいしいよねー、ぱくっ♡」
 
「ん~っ、うまー!」
 
アイシャもダウドも幸せそうにカツを口いっぱい頬張る。
 
(……ダウドはもうコブの事は忘れたんだろうか……)
 
そう思いながらアルベルトもカツを口に入れた。
 
「おかわりはいかがですか?勇者様達ですから無料サービス致しますよ」
 
ワゴンにおかわりの追加分を乗せたメイドさんがやって来た。
 
「ん~、食べたいけど……、お肉あんまり食べると太っちゃうから
私はいいです」
 
「オイラももういいや、お腹いっぱい」
 
「僕もいいです」
 
「しけてんなあ、皆……、俺は食うぜ!」
 
約一名食べる気満々の人が……。
 
「まあ、さすがは勇者様ですね!」
 
(勇者じゃなくったってこの人は食べるけどね……)
 
「ジャミル、僕達は先に部屋に戻ってるよ」
 
「ああ……」
 
 
しばらく後……。
 
「……ぐ、ぐぇっぷ……」
 
皆が部屋へ移動した後、すっかり丸くなった腹を抱えて一人、
ジャミルは食堂で倒れて伸びていた……。
 
「あー、流石にカツ5皿はきつい……、これじゃ動けねえや……、
うっぷ……」
 
次の日、ジャミルが食べ過ぎでダウンし、医務室へ運ばれた為、
塔の探検は中止になり他の3人も神殿でジャミルの容態回復を待ち
休憩する事となる……。