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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ムオル~番外編

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アルベルトがいつも通り溜息をついた。
 
その日はそのままポポタの家に泊まらせてもらう事になり、
夜にはポポタの両親も仕事から帰宅し一行は楽しい一時を過ごした。
 
……就寝時。
 
アルベルト達3人は客室用の部屋を借りてすでに床についていた。
ジャミルだけはポポタがどうしても一緒に寝たいと言うのでポポタの
部屋を貸して貰っている。
 
「……ファ~ッ……、ポポタ、オメーまだ寝なくていいのか?」
 
「まだねむくないもん!」
 
「元気だな……、おじさんはもう限界だ……」
 
「もうー!なんでおにいちゃんなのにおじさんなのーっ!」
 
ポポタがきゃーきゃーと枕でジャミルの頭をべしべし叩く。
 
「……痛いよコラ!そういう事しちゃいけませんー!もう!こんにゃろ!
おじさんは噴火しますよーっ!」
 
             ブッ!
 
「おにいちゃんくさーい!!きゃはははは!!」
 
「あー、マジ限界だわ……、ねむ……」
 
「ねえねえ、ジャミルおにいちゃんて、アイシャおねえちゃんすきなの?」
 
「コ、コラ……、おこちゃまがそんなませた口をきくんじゃありません!べしっ!」
 
そう言って軽くポポタの頭を叩くジャミル。
 
(……少し目が覚めたじゃねえか……、たく……)
 
「すきなんだあー!!」
 
「おーい、いい加減でもう寝ろよ、ポポタ……」
 
「やだよー!」
 
「よーし!ゆう事聞かない子はこうだぞ!うりゃっ!」
 
「キャハハハハハ!くすぐったあーい!」
 
「オラオラ、早く寝ないともっとくすぐるぞー!!」
 
(……いいお兄ちゃんが出来てよかったのう、ポポタ……)
 
部屋のドアの前で涙ぐむポポタの祖父。
 
(しかし、この調子じゃと、明日はどうなるかのう……)
 
……翌朝。ポポタの祖父が心配した通り、大騒ぎになるのであった……。
 
「……うわああーーん!ジャミルおにいちゃんいっちゃやだーーっ!」
 
「これ、ポポタ、我儘を言うでない、ジャミルさん達はもう出発を
なさらなければならないのだよ……」
 
「やだやだやだーーっ!」
 
ジャミルと離れたくないポポタが大号泣。4人は困り果てるが……。

……ジャミルは泣き止まないポポタの顔を見ると、ふうとため息を付いて。
 
「ポポタ……」
 
「おにいちゃん……」
 
「あーあ、なんて顔してんだよ、いい男が台無しじゃねえか……」
 
そう言って指でポポタの涙を掬ってやる。
 
「約束する、バラモス倒したらまた会いに来るよ……」
 
「ほんとう……?」
 
「ああ、約束するよ、だから、もう泣くな……」
 
そう言ってジャミルはポポタに小指を差し出す。
 
「……うんっ!やくそく!」
 
ポポタは小さな手でぎゅっとジャミルの小指を握りしめた。
その時にはもうポポタはいつもの笑顔に戻っていた。
 
「……っか~っ!ええ話や……、あのジャミルが……、ぐす……」
 
「うん、普段あまり真面目なお話にならないものね、ぐすん……」
 
「ジャミルも玉には真面目になるんだね……」
 
……ちょっと一人づつ、外野を一発引っ叩いて来たい心境の
ジャミルだった。
 
「おーい、ジャミルさぁぁ~ん!!」
 
「……ゲッ!!」
 
大勢の村人がジャミル目掛けて、猪の如く、又突進してきた。
 
「もう行っちまうのかい!?淋しいな……」
 
「別れの前に美味いまんじゅー食っていけ!ほれほれ!」
 
「ううう……、お別れだなんて……、おばちゃんはさみしいよ~っ!!」
 
昨日の太ったおばさんがジャミルを力いっぱい抱きしめる。
 
「……く、苦し……ギブ……」
 
「おばちゃんやめてよーっ!おにいちゃんしんじゃうよーっ!」
 
わーわー騒ぐポポタ。
 
「……あ、あら……、私ったら……」
 
おばさんが慌ててジャミルから手を放す。
 
「疲れたらいつでも立ち寄ってくれな!」
 
「おじさんの事もわすれねーでな!」
 
「これ、船の中で食べるおにぎりだぁ、皆で食べてけろ」
 
「ここから東に不思議な泉があるって聞いた事あるでな、
行ってみるといいよ」
 
「みんな……、ありがとう……」
 
優しい村人たちの言葉に胸が熱くなるジャミル。
 
「……あのジャミルが……、プ~ッ……!似合わない……、くくく……」
 
「ダウド!うるせーっつーの!!」
 
「……これ、おにいちゃんにあげる」
 
ポポタが兜をジャミルに差し出す。
 
「ん?なんだい、それ」
 
「この兜はポカパマズ殿が去り際にポポタにくれた物でしてのう、
ポポタもそれはそれは大事に宝物にしとったんですわ」
 
「そんな大事な物貰えねーよ、大事にとっとけよ」
 
「おにいちゃんにもらってほしいの」
 
「え……」
 
「うわあああ~……、すごい兜だよお~……」
 
困ったなと、ジャミルは一瞬躊躇うが、兜をよーく見てみると、
兜は大きな角が2本付いており、あのイシスのツフ女王を思い出させ、
あまりカッコ良い感じの物ではなく、ジャミルはさらに戸惑った。
 
「どうぞ貰ってやって下され、このまま此処に置いておくよりも
息子さんに使って貰った方がわしらも嬉しいですし、本望ですじゃ」
 
「ねー、ねー、ジャミルー、兜かぶってみてよー!あ、これシャレじゃ
ないからねー!」
 
「ばっ、馬鹿ダウド!!」
 
「おお、それは良い!お父上の志を継いだ勇敢なお姿を是非!」
 
「ジャミルー!早く早くーっ!」
 
アイシャ達も急かしだした。
 
「しょうがねえなあ……、一回だけだかんな……」
 
仕方なしにジャミルが兜を身に着ける。
 
「……」
 
「あはははははは!うわ~!ジャミルださ~い!ぎゃははははは!
腹いたーい!」
 
アイシャとダウドは転げまわって大笑いする。
 
「……プ~ッ……、ジャミルさん、よーくお似合いで……」
 
この間の仕返しとばかりのアルベルト。
 
「……この野郎!お前も被ってみろ!アル!!」
 
ブチ切れたジャミルはアルベルトにも兜を被せようとした。
 
「ご遠慮しまーす!」
 
笑いながらアルベルト達が逃げ回る。
 
「何処かおかしいのですか?とてもお似合いですが……」
 
「爺さんあんたセンス悪すぎ……」
 
「そうですかのう?」
 
「さてと、本当に行かなきゃな、ポポタ……、元気でな……」
 
……やっと外せると、ジャミルが安心して兜を外した。
 
「うん、おにいちゃんもね、またあそんでね……」
 
ポポタはジャミル達が乗った船が見えなくなるまでいつまでも
いつまでも見送っていた。
 
「ばいばい、ジャミルおにいちゃん……」
 
 
……
 
 
船がムオルを離れ、暫く時間が過ぎたその日の夕方。いつもはギャーギャー
うるさいジャミルが今日は妙に静かなのがアルベルトは気になった。
 
「ジャミル、やっぱりさみしいのかな?」
 
「……何が?」
 
「ポポタとさよならしちゃったから……」
 
アルベルトがくすっと笑う。
 
「アホっ!んな事あるかよ!ガキじゃねーんだぞ!たく!
あーあ、眠くなっちまった!少し寝てくるわ!!」
 
「……素直になればいいのに……」