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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ムオル~番外編

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舳先の手すりに手をかけて沈みゆく夕日をアルベルトは眺めていた。
 
「ねーアル、あの建物なあに?」
 
ずっと海を見ていたアイシャが声をあげた。
 
「あれは灯台だよ、夜でも船乗り達が海を迷わない様に灯りで
照らしているんだよ」
 
「へえー、大きいねー!」
 
「折角だからちょっと行ってみようか、ダウド、ジャミルを起こしてきて
来てくれるかい?」
 
「はーい!」
 
「ねえ、ポカパマズさんだっけ、どうして村の人にあんなに人気が
あったのかなあ?」
 
「ああ、村にいた時にちょっと小耳に挟んだんだけど、村人がモンスターに
襲われてる処を偶々通り掛かって助けたらしいよ、子供が大好きな人で
特に小さな子には大人気だったみたいだね」
 
「あー!だからポポタはあんなに、ポカパマズさん、ポカパマズさん
言ってたわけね」
 
うんうんと納得するアイシャ。
 
「それにしても、遅いなあ、ジャミルは……、何してるんだろう……」
 
そして、代表でダウドがジャミルを船室まで起こし行くのだが。
 
「……ジャミルー!おきろー!灯台へ行くんだってばぁー!!」
 
「ムニャムニャ……、もう食えない……」
 
「そんなお決まりの寝言言わないでよおー!!」
 
「ン……」
 
漸く目を覚まし、ジャミルが目の前のダウドを見るが……。
 
「はあ、やっと目をさましたよ……」
 
「……でっけえシュークリーム……」
 
「は……?」
 
 
「……デカシューいただきマンモス!!がおーー!!」
 
 
「ちょ、何寝ぼけてんの~っ!ジャミルやめてよ!アタタタタタ!!!
痛い!痛いよ痛いってば!」
 
ドアの隙間から様子を見ていたアイシャは……。
 
「……見ちゃいけないもの見ちゃったかな……?キャ、キャー……」
 
顔を真っ赤にし、グーにした拳を顎に当てる仕草をし、そそくさと
その場を逃げた。
 
「……たく、いい夢見てたのに起こしやがって……、ブツブツ……」
 
「……」
 
ジャミルに齧られた事は齧った超本人のジャミル自身も
覚えていない様なのでダウドも黙っていた。
 
「あ、ねえねえ!なんの夢見てたの?」
 
先程の現場を見てしまった事を必死に忘れようとするアイシャだった。
 
「……教えねえ」
 
「いーじゃない!ジャミルのケチ!!」
 
「……ダウド、頭のてっぺんキズになってるよ……」
 
気になったのか、先程からアルベルトがじっとダウドの頭部を眺めている。
 
「え?これは……、さ、さっき転がって……、あはは……」
 
「……」

4人は早速灯台へと向かう。灯台の中に入るとおっさんが二人いて
何か話をしていた。
 
「こんちは……」
 
ジャミルが代表で軽く頭を下げる。
 
「おお、これまためんこい子達が来たなあ!」
 
「ささ、坊ちゃんも嬢ちゃんもこっち来て来て!」
 
灯台守のおっさん達は呑気に焼き芋を食っており気さくに
ジャミル達にも芋をおすそ分けしようとする。
……アルベルトは珍しそうに差し出された芋を眺めている。
 
「……ねえジャミル、これは何だい?」
 
「馬鹿だなあ、焼き芋も知らねえのかよ、これだから貴族はよ……、
普段はお堅い気取った飯ばっか食ってるからな……」
 
アルベルトはむっとした顔をして再び芋を見、一口齧ってみる。
……すると、口の中に甘い味が広がりアルベルトの顔がほっこりする。
 
「わあ、甘くてほくほくで本当に美味しい……」
 
「だろ?庶民の食いもんも美味い物は沢山あるんだぜ」
 
そう言ってジャミルも芋を口に入れた。……そしてお約束。屁である。
 
 
……プウウウ~……
 
 
「やだもう!ジャミルってば!ホントにいつでもどこでもっ!嫌な特技ねっ!」
 
顔を赤くしてアイシャが鼻を摘まむ。
 
「……バ、バカ、今のは俺じゃねえぞ!何でもかんでも人の所為にすんなよ!」
 
「普段が普段ですからねえ……、疑われてもしょうがないよお……」
 
「……ダウドっ!スカした顔しやがって!本当はお前がやったんだろ!」
 
「ち、ちがうよおおお!何でそうなるのさあ!実はアイシャが
やったんじゃないの!?女の子だからって純情ぶって誤魔化すのは
良くないよお!」
 
「……な、何よっ!ダウドったらっ!失礼ねっ!酷ーいっ!」
 
騒ぎはどんどん大きくなり、側で見ていたおっさん達は何が何だか
分からずぼーっとしている。
 
「……いい加減にしろよ!話がどんどん違う方向へ行っちゃうだろ!!」
 
「ふ~ん……、だよお~」
 
「ほぉーっ……」
 
「へえー……、そうなのねえ~……」
 
「な、何……?」
 
「ま、そういう事にしといてやるよ、アル、ま、仕方ねえよな……」
 
「何がだよっ!」
 
……無理矢理話を纏めようとするジャミル。結局、今回のおならの
犯人は分らずじまい。
 
「ジャミル?もしかしてあんたら、アリアハンから魔王退治に
出たっていう噂の勇者様ご一行かい?」
 
「そうだけど……」
 
「やっぱり!あんたら行く先々で騒動を起こすって話題と笑いの種に
なってるよ」
 
「ふ、ふうーん……」
 
……この4人の暴走っぷりは彼方此方で話題になっているらしかった。
 
(ったく、誰の所為なんだか……)
 
もぐもぐ芋を齧りながらアルベルトが眉間に皺を寄せる。
 
「役に立つか判らんが、ちょっと旅の情報を教えてやろう」
 
「なんだい?」
 
「ここから船で陸沿いへ南、テドンの岬」
 
「……天丼?」
 
「ジャミル……、真面目に話聞きなよ……」
 
そう言いながら既にいつでも頭を叩ける様、スリッパの準備をする
アルベルト。
 
「テドンの岬から東へランシール」
 
「ふーん」
 
「ランシールからさらに東でアリアハン」
 
「へえ、スタート地点に戻っちまうな……」
 
「アリアハンから北へジパング」
 
「zzzz……グウーッ……」
 
「……6つのオーブを全て集めたら船が要らなくなる……、らしいぞ」
 
「ゴホン……、ちょっと失礼しまして……」
 
「……いでええええーーっ!!」
 
アルベルトがジャミルの両耳を思い切り引っ張る。
 
「き、貴重な情報本当に有難うございました!」
 
「いんやいんや、お役に立てれば……」
 
「それでは失礼致します、本日はお忙しい処、大変お邪魔致しました!」
 
「ハア、気をつけてな……」
 
「旅の無事を祈っているよ……」
 
アルベルトが代表でおっさん達に頭を下げて礼を言い、ジャミルを連れて
そそくさと一行は灯台から退場するのであった。
 
「……個性的な兄ちゃん達だったなあ~……」
 
「もすなあ~……」
 
 
……
 
 
4人は船に戻ったが、切れて機嫌が悪いジャミルがギャーギャー文句を言う。
 
「このバカベルトーっ!耳がダンボになったらどうしてくれる!!
おーいてえ……」
 
「……ジャミル、とにかく南へ行くからね……、本当にオーブも
どうやらこの世に存在するって分ったからね……」
 
アルベルトの顔は笑っていたが血管が浮いていたので
今日はそれ以上何も言わず、ジャミルは逆らわない事にした。