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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 エジンベア編

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「でも、疲れた~、少し一息つきたいよお~……」
 
「……ねえ、あなた達……」
 
「?」
 
「ジャ、ジャミル……」
 
アイシャがジャミルを引っ張る。綺麗なドレスを身に纏い豪華で
煌びやかなティアラ、美しい宝石を身に着けた女の子が此方に近づいてきた。
一目で王家の者だと理解出来た。
 
「何であなた達みたいな薄汚い襤褸雑巾な田舎者が此処にいるの!
さっさと出てお行きなさいな!泥棒に入りに来たのかしら!?」
 
「な、なによおー!酷いわ!そんな言い方しなくたっていいじゃない……」
 
意地悪できつい言い方をする王女の態度にアイシャがむっとする。
 
「……どうも大変申し訳ありません、あの……、僕達は……」
 
アルベルトが王女の前に立ち、何とか弁明し、この場を切り抜けようとするが……。
 
「……」
 
「あ、あの……」
 
しかし、王女はアルベルトを見るなり……、顔を赤くし、一言声を出した……。
 
「……まあ!」
 
「へ……?」
 
「あなたは田舎者ではないのですね!失礼致しましたわ!」
 
「ハア……」
 
「わたくしはエジンベアの王女、セリファトと申します、以後
お見知りおきを……」
 
ドレスの裾を摘み上げ王女が初々しく挨拶する。清楚な顔立ちの
アルベルトだけは異様に気に入ったらしく、好感を持たれた様であった。
 
「ハア……、こちらこそ、宜しくお願い致します……」
 
そして、アルベルトも貴族の息子らしく、丁寧に挨拶を返す。
 
「あなた、お名前は?」
 
「あ、僕はアルベルトです……」
 
「アルベルト様……、まあ、何て素敵な方なのかしら……、ポッ……」
 
「……えーと……」
 
「……何デレデレしてんだよ……、アルの奴……」
 
「門番も嫌だったけど、ここのお城の人達も感じ悪いのね、
頭にきちゃうなあ……」
 
腰に手を当て、ブン剥れながらアイシャが王女を複雑な顔で見つめている。
 
「わたくし今からお茶の時間ですの、ご一緒しませんこと?美味しい
焼き菓子もありましてよ」
 
「え、ええ……?」
 
王女がアルベルトの手を取り……、アルベルトは思わず顔を赤くする……。
 
「……ケッ!なーにがお茶だよ!しけた煎餅でも齧って
おーいお茶でも飲んでろ!」
 
其処に乱入し、ムードを妨害してくる野獣ジャミル……。
 
「……あの下品な態度のお猿さんはアルベルト様の召使いか何かでして?」
 
「友達です……」
 
「まあっ!信じられません!あの様な間抜け顔の珍獣がアルベルト様と!
いえ、例え召使いでもアルベルト様には相応しくないですわ!百歩譲って
精々がペットのバブルス君、もしくはおれ、ゴリラ、社長の代理。ですわ!」
 
「……悪かったな!」
 
さすがのジャミルも新手の毒舌王女の出現に今日は若干押され気味である。
 
「もう……、一体何なのよ、この人……、しかもやたらとペラペラ早口だし……」
 
「何か感じ悪いよお……、険悪な雰囲気になってきちゃったし……、
ジャミルがほんとに噴火しないといいんだけど……」
 
「アルベルト様はわたくしの様な高貴な者とお付き合いを為さるべきです!」
 
そう言って王女はアルベルトを無理矢理に自分の部屋へと連れて行こうとする。
 
「ちょっと待って!……何でアルを連れてっちゃうのよっ!?
アルは私達の仲間なんだからっ!」
 
……遂に我慢出来ず、アイシャが王女の前に立ち塞がる……。
 
「まあ……、これはサカリの雌猿ね……、フン、お下品で嫌らしいですこと……!」
 
「……なんですってえーーっ!?」
 
「け、喧嘩は駄目だよおーーっ!」
 
……遂に衝突しそうになった女子同士にダウドが一人でオロオロする。
 
「子猿もいたのね……、まるでお猿さんの集団だわ……」
 
「……む、むかつくーーっ!」
 
さっきまで喧嘩を仲裁しようとしていたダウド。……一辺に態度が豹変する……。
 
「よせよせ、相手にしたってしょうがねえよ……」
 
「お猿さんはジャングルに帰ったら……?」
 
「……本当にむかつくな……」
 
「わたくし、決めましたわ!決心いたします、私のお婿様として
アルベルト様をお父様に紹介いたします!!」
 
「……なにいーーっ!?」
 
「えええーーっ!?」
 
「あなたの様な知性溢れるお方ならきっとお父様も許して下さる筈ですわ!」
 
「そんないきなり……、唐突すぎだよお……」
 
ダウドはあいた口が塞がらず呆然としている。
 
「おい!ちょっと待てよ……!」
 
「……うるさい人たちですわね!」
 
王女がジャミル達に向かって鍵を放り投げた。
 
「地下室宝庫の鍵ですわ!これで何でも好きな物を取っておいきなさい!
……そうねえ、地下には渇きの壺と言う非常に貴重なお宝が有る筈ですわ、
お金の無い汚い臭い雑巾貧乏人泥棒のあなた達へ心からのおもてなしよ!
有難くお思いなさいな、優しいわたくしに感謝してよ?お父様には
アルベルト様に免じて言わないでおいて差上げます、お~っほっほっほ!」
 
「……」
 
ジャミルは黙りこくり、その場に立ちつくし、去っていく王女とアルベルトを
見つめていた。
 
「さあ、行きましょう、アルベルト様」
 
「ジャミル!アルが行っちゃう!!」
 
「……」
 
「ジャミルってばあ!!どうして何も言わないのよう!」
 
「……」
 
「ジャミルったらあ!!」
 
ジャミル達は地下宝物庫から渇きの壺を見つけ出し、城を後にしたが。
壺にこれはかわきのつぼだよーあたりだよーおめでとう!と間抜けな
札が張ってあったので間違いはなかった。しかし、渇きの壺は
手に入れられたものの……、渇きの壺と引き換えに……、アルベルトが
パーティを離れてしまう事に……。
 
「……せっかく壺貰ったのに……、アルが……」
 
「こんなの酷いわ……」
 
船に戻った3人……。ダウドが溜息を洩らし、アイシャは悲しそうに俯く……。
 
「知るか、あんな奴、ま、あんなん居なくたってどうにかならあ、
何だったらアリアハン戻って誰か連れてくりゃいいんだしさ」
 
「……ジャミル……、本当にそれでいいの?」
 
アイシャがジャミルの顔を見た。
 
「知らねえよ……」
 
「それはねえ……、アルはいつも普段ジャミルの事、アホだのバカだの、
単細胞だの……、ノータリンとか、色んな事言ってるけど……」
 
「……コラ……」
 
「大切な友達だって……」
 
「……プ……、ククク……」
 
「な、何かおかしい!?」
 
「ジャミル……、アイシャは真面目に話してんだよ!」
 
「あははははっ!だっておかしいよ、……すっげーくっせーの!
……あは、あはははは!はあ……」
 
「……ジャミル?」
 
一しきり思い切りわざとらしいバカ笑いをした後、ジャミルは
再び口をつぐんだ……。
 
「馬鹿なのはあいつの方じゃねえか……、流されてアホみてえに
付いて行きやがって……」
 
「ジャミル……」
 
ぼそっとジャミルが呟いた言葉にアイシャはいじっぱりジャミルの
気持ちを察する……。
 
「……もう、いいや……」
 
 
「誰がバカだって!?」
 
「うわっ!?」