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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ジパング編

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「宿屋はねえけど……、よかったらウチ来るか?」
 
「ええっ!いいんですか?」
 
「ああ、あんたら見てたら色々他国の話も聞いてみたくなったんだ」
 
「有難うございます!」
 
「……だけど、明日の朝にはすぐに此処を発った方がいいぞ……」
 
おじさんはそれだけ言うと先にのしのし歩き出した。
 
「なんなんだよ……、マジで此処は……」
 
田や畑、自然も多く、一見喉かな国の様であるが、又恐ろしい戦いの
幕開けに4人は今、雅に巻き込まれようとしていた。

ジャミル達はおじさんの家に案内された。屋根が藁の作りの住居であったが、
それでも見た感じでは、この村の中では比較的大きい部類の家の感じである。
 
「なにもねーけどゆっくりしてってくれ……」
 
「あんたー、帰ったのかい!」
 
体格のいい太ったおばさんが部屋の奥から出て来る。
 
「ただいま、珍しいお客さんだ、この人達は外国から
いらっしゃったそうだ」
 
「あれあれ!それはまあ!」
 
おばさんは気さくな明るい人ですぐにジャミル達とも仲良しになった。
 
「待っててねー、今、美味しいごはん沢山作るからねー!」
 
「わあ、楽しみだねー!お腹ぺこぺこだもん!」
 
暫く元気がなかったアイシャに笑みが戻った。
 
「飯が出来るまで暫く村でも見て回るといい、まあ、大したモンねえがね」
 
ジャミル達は外に出て村を散策してみたものの。
 
「ホントに何もねえな……、畑ばっかりだ」
 
「のどかな雰囲気でいいじゃない、私はこういうの好きだけどな」
 
「なんか……、通る人、みんなジロジロこっち見てるよお……」
 
「気にすんなよ、俺達がどうせ珍しいんだろ、外から来たからな」
 
「……」
 
小さな子供がアイシャに近づいて来る。
 
「あ、こんにちは……、なあに?」
 
「これ、おねえちゃんにあげるね、ばいばい」
 
「あ……」
 
子供はアイシャに飴らしき物を手渡すと何処かへ走って行く。
 
「折角だから貰っておきなよ、アイシャ」
 
「うん、今度またあの子に会ったらちゃんとお礼言わなきゃね、
ふふっ、甘くておいしいわ!」
 
アルベルトに言われてアイシャが嬉しそうに飴を口に入れた。
 
 
そして夕ご飯……。見た事がない珍しい美味しそうな料理に
ジャミルは生唾を飲み込む。どうやらこの国では、お箸と言う物を
使って食事をする習慣らしい。ちなみに今日出してくれた夕ご飯は
野菜の煮つけ、お味噌汁、ほかほかのご飯と焼いた魚。
 
「……弥生はどうした?」
 
「又遊び歩いてんでしょうさ……、全く、困ったモンだよ……」
 
「弥生って、娘さん?」
 
ジャミルがそう聞いた途端、夫婦の顔が曇った……。
 
「……俺、何か悪い事聞いた?」
 
「い、いや……、そうじゃないんだよ、ただね……」
 
「?」
 
「お前、やめろ……、客の前で……」
 
「いいじゃないか!誰かに喋って愚痴を聞いてもらいたいよ……!
あたしらにはそれしか出来ないんだもの……」
 
何やら深刻になってきた雰囲気にジャミル達4人は顔を見合わせる。
 
「……実は……、娘は……、弥生はもうすぐ生贄として……、
死んじまうんだよ……」
 
今まで黙っていたおじさんが漸く重い口を開いた。
 
「……死ヌう!?」
 
「実はな、……この国にはやまたのおろちと言う恐ろしい怪物が
住みついているんだ、今までに沢山の若い娘が殺されたんだよ……、
どうにも出来ないわしらの前に不思議な巫女、卑弥呼様があらわれてな……」
 
「へえ……」
 
「……」
 
少し昼間の状況を思い出したのかアイシャがまた不安そうな顔をする。
 
「だ、大丈夫だよ、アイシャ……、いや、ヘタレのオイラが言うのも
何ですが……、正直、オイラもやっぱり怖いです……」
 
「ふふ、ダウドったら、……でも、ありがとうね!」
 
アイシャが笑う。珍しくダウドがアイシャを元気にさせようとしたが。
やはり無理だったらしい。
 
「卑弥呼様は不思議な力を持っていて、何とおろちの怒りを鎮めて
下さると言うんだよ」
 
「……」
 
「だが、その代償として三か月に一度、生贄に若い娘を捧げよと……」
 
「等々家の娘の番になっちまってね……」
 
今まで明るかったおばさんの顔がみるみる壊れていく。
ジャミルはどうしてこの村に若い女の子があまりいなかったのか、
何となく理由が分かってきた。
 
「明日が娘の……、最後の日さ……」
 
「ただいま」
 
と、玄関の方で声がした。
 
「弥生……、帰ってきたのかい…」
 
どっこいしょと、おばさんが立ち上がり娘を呼びに行った。
 
「……おきゃく……さん……?」
 
部屋に入って来た綺麗な黒髪の美少女がジャミル達を見た。
 
「挨拶しなさい、この方たちは外国からいらっしゃったんだよ」
 
「俺、ジャミル!」
 
「僕はアルベルトです……」
 
「私、アイシャ!よろしくね!」
 
「オイラ、ダウド!」
 
4人が一斉にと弥生に挨拶する。
 
「あっ、こんにちは、初めまして……、私は弥生です……」
 
「また今日は随分遅かったね……、何してたんだい」
 
「お母さん、ごめんなさい、私、今まで地下室に隠れていたの……」
 
「……そんな事をしても無駄だよ……、お前は明日死んでしまうのだから……」
 
もう諦めきった様におじさんが口を開く。
 
「私……、死ぬのが怖いの……、まだ死にたくない……、でも、もう
お終いなのね……」
 
「んなもん、俺達がやっつけてやるよ!」
 
「えっ……!?」
 
全員がジャミルを見た。
 
「あなた達は一体……、何なんです?」
 
「私たち、アリアハンから来たの!魔王を倒しにね!」
 
おじさんが不思議そうに首を傾げるとアイシャがウインクする。
 
「……風の噂で聞いているよ……、あちこちで騒動ばかり
起こして台風の様に去って逃げて行く謎の勇者達一行の噂を……、
まさかあんたらが……」
 
おばさんが驚きの声をあげた。だから、騒動と台風は余計なんじゃと
ジャミルは思ったが。
 
「明日、卑弥呼のバカに言ってやんなきゃな、生贄なんかもう
必要ねえって!安心しな!」
 
「本当ですか……?」
 
希望を求める様に弥生がジャミルの方を見る……。
 
「天のお導きじゃ……、神様……、ああ、勇者様……、
有難うございます……、うう……」
 
「あんた……、夢じゃないんだね……、弥生が死ななくてもいいなんて……」
 
希望を持てた事で、弥生の両親も涙を流し合った。
 
ダウドだけは……「やだなー、オイラだけ帰ろうかしら……、
でもんな事したらぶん殴られてしまうわー、きゃーやだなー、
怖いわー」と、ブツブツ言っていた。
 
その夜、ジャミル達、男3人は客用の部屋でおばさんが
用意してくれたふかふかの布団の中で眠りについた。
アイシャは弥生の部屋にお世話になっている。
 
「うふふ、お邪魔しまーす」
 
「女の子同士、どうぞ宜しくお願いしますね、アイシャちゃん」
 
「こちらこそ宜しく!」
 
 
……そして、深夜……、少女達が静かに眠る部屋に忍び寄る
怪しい影が……。
 
翌朝……。