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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ジパング編

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「ジャミル!大変だよお!早く起きてよ!」
 
ダウドの悲鳴に近い声でジャミルは目を覚ます。
 
「ジャミル、起きたかい!?」
 
「……まだねむい……、ふぁ~っ……、アルまで何だよ、
お前らもう起きたのか、やけに早いな……」
 
ジャミルが欠伸をする。これから知る大事件などとはまるで無縁な……、
本当に気持ち良い朝であった。
 
「……アイシャがいなくなっちゃったんだよ!」
 
アルベルトもかなり動揺していた。
 
「……船に戻ったんじゃねえの?」
 
「それが……、いなかったんだよおー!村の中も探してみたけど
何処にも……!」
 
「……っ!」
 
ジャミルの顔つきが変わり……、何かを悟った様にその表情が険しくなる。
 
「ゆ、ゆ、ゆ……、勇者様あ~!」
 
おじさんとおばさんが二人で慌てて部屋に転がり込んできた。
 
「どうかしたのかい?」
 
「……弥生が……、弥生が……、いないんだよ!!」
 
「何だって!?」

「村中何処を探しても見つからなくて……、近所の者にも
聞いてみたんだが……」
 
「ああ、弥生……、何て事だい……、弥生、弥生……」
 
おばさんが両手で顔を覆い、その場にしゃがみ込み、
おじさんはおばさんを慰める様に支える……。
 
「あ、あ、あ、……アイシャもいないんだよお~っ!」
 
ダウドもわたわた、慌てふためく。
 
「考えられる事は只一つだ」
 
「あ、ジャミル!どこ行くのさ!」
 
「……クソッタレ卑弥呼のとこだ!」
 
「待って!僕も行くよ!」
 
「う~、しょうがないなあ……!」
 
ダウドも急いでジャミルとアルベルト、二人の後を追った。そして、
ジャミルが向かった場所とは……、卑弥呼の宮殿であった……。
 
「てめえ……!アイシャ達を何処へやった!?」
 
ジャミルが卑弥呼に掴み掛った。
 
「フン……、強情な夫婦だったわ……、いつまで立っても娘を
差し出そうとせぬ、わらわ自らの力を使い、迎えに行ってやったのじゃ、
弥生共々あの小娘もおろちの生贄じゃ!」
 
「……そ、そんなあ~っ!……う、うそでしょ……」
 
ダウドがショックで座り込む。
 
「何処へ……連れてったんだよっ!!」
 
「東の洞窟じゃ!だがもう遅いわ!もうおろちに食われて今頃は
骨になっておるかも知れぬぞ!」
 
「……アル、ダウド、行くぞ……!」
 
二人がジャミルの顔を見てこっくりと頷いた。
 
「ほお~っ……、暇人が何処へ行こうというのじゃ?」
 
「……決まってんじゃねえか!うるせえババアだな!
おろちを倒して弥生さんもアイシャも二人共助けんだよ!」
 
「愚か者!おろちはこの国の守り神じゃぞ!?倒すじゃと!?
不届き者めが…!」
 
「……人を殺すのが神なのですか!?沢山の人を悲しませる事が
神のやる事ですかっ!!」
 
「ア……、アル、……落ち着け……、いつまでもこいつと
相手してても時間の無駄だ、二人が連れて行かれた場所は
特定出来たんだ、早くアイシャ達を助けにいかなきゃ……」
 
今日は珍しくアルベルトとジャミルの立場が逆である。
 
「こんなバカ相手にするだけマジで時間の無駄だ、行こう!」
 
「分ったよ、ジャミル、……急ごう!」
 
ジャミルにバカと言われたらお終いである。
 
「フン……、倒せる物なら倒してみるがよいわ……、フフフ……」
 
「アイシャ……、弥生さん……、頼むから無事でいてくれよ……」
 
心の中で祈りながらジャミル達は東の洞窟へと急いだ。
 
 
東の洞窟
 
 
……むわああ~っ……
 
洞窟の中は砂漠なんて目じゃない程の暑さだった……。
 
「うへえ~……、なにここお……、げーっ!溶岩がーっ!あっつーい!」
 
萩○欽一の如くダウドが何でそーなるの!状態ですっとび上がった。
 
「ふう、本当に暑いな……」
 
いつもは冷静なアルベルトでさえ今日は言葉を口に出してしまっていた。
 
「ジャミルは大丈夫……?」
 
ダウドがジャミルに声を掛けるがジャミルも辛そうである。
 
「これぐらいで……、まいってたら……、先に進め……」
 
ジャミルの体がふらつき、ぶっ倒れそうになる……。
 
「あ!ジャミル、平気!?」
 
アルベルトがジャミルを支えるとジャミルは慌てて体制を立て直した。
 
「あ、ああ……、何とかな……、平気だよ、ちょっと目まいしただけさ、
それにしても流石にこれはまいるぜ……」
 
「この溶岩が……、プールだったらいいのにねえ……」
 
ダウドがしゃがみ込んで溶岩を眺めた。
 
「やめろ、余計気が散る!」
 
「でも、サウナにはなりそうだね……」
 
「……」
 
何故か無言でダウドがジャミルの下腹部を……、じーっと
見つめている。
 
「な、なんだよ……、ダウド……」
 
「ジャミル……、最近下っ腹が出てきてない……?丁度いいかもよ……」
 
「あれだけバクバク食べればね……」
 
アルベルトも同意し、首を静かに縦に振る。
 
「あんまりおデブさんだとアイシャに嫌われちゃうよ!」
 
ダウドがくっくっと笑った。
 
「……うるせー!俺は太ってなんかねえっ!」
 
「自分で見ただけじゃ、案外判らないものさ」
 
「そうだよね、細そうに見えても隠れ内臓脂肪とかある場合
あるもんねえ~」
 
「今は関係ねえんだよっ!……んな事より、早く先進むぞ!先!」
 
「あ、誤魔化したな……」
 
「誤魔化したね……」
 
「うわっ!!」
 
「……ジャミル!どうしたの!?」
 
突然、溶岩の中から真っ赤な岩の塊の魔物が現われ行く手を塞ぐ。
 
「あつっ!何だよコイツ!」
 
「溶岩魔人だっ!気を付けて!」
 
「……ひいーーっ!」
 
ダウドがコテンとその場にひっくり返った……。
 
「ダウド……、悪いけど、回復頼めるかな?」
 
アルベルトがダウドに薬草を手渡す。
 
「うん……、わかった、て、あれ???」
 
ダウドが返事をする間もなくジャミルとアルベルトは溶岩魔人に
突っ込んで行った。
 
「……二人はあんなに凄いのに……、オイラ弱虫だ……、何にも出来ない……」
 
「ダウド!回復を……!頼む!」
 
「あっ、うん!」
 
「きっと…オイラにだって…見つかるはずさ……、きっと何か
出来る事……」
 
……溶岩魔人は何とか倒したものの、ジャミルが体の彼方此方に
火傷を負い、負傷してしまう……。
 
「う~……、やまたのおろちってどんなんだろう……、怖いなあ……、
ドキドキ…」
 
先程の戦いを見ていたダウドがビクビクする。
 
「急ぐぞ!マジで時間がない!余計な手間掛かっちまった!」
 
3人は一斉に走り出す……。やっとジャミル達は地下2階へと
たどり着く。錯乱した人骨があちこちに散らばり、かなり嫌な臭いの
する場所だった。おろちの生贄になり、喰われた村の娘達の人骨かも
知れなかった……。……3人は心の中で犠牲者達の冥福を祈り、先へと進む。
 
「……痛っ!」
 
「平気かい?火傷した所だろ?」
 
「これぐらい……、屁でもねえよ……」
 
そう言ってジャミルは火傷した自分の右腕をちらっと見る。